○● 読書感想記 ●○
2003年 【3】

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25 『灼眼のシャナ2』 高橋弥七郎 著

 フレイムヘイズと紅世の徒の敵味方?の関係が奇妙にクロスオーバー。
 ここに悠二のクラスメートもかぶってくるので、話が奥深くなっていると思います。
 まだ互いの状況を理解しているわけではありませんけれど、この状況は今後のことを(長期のシリーズ化)を考えてのことなのかなぁ……とか思ったりして。
 とにかく、人間模様としては面白くなってきているのではないかと。

 悠二のお母さん、千草さんの「秋子さん化」がますます……(笑)。
 一美ちゃんはやっぱり池クンのほうがお似合いなんじゃないかなぁ。
 というか。
 状況が外堀から埋まってきているカンジです。
 どんなことがあっても大逆転はないんだろうなぁ……という切なさを感じるのです。

 が……がんばれ(;д;)。


24
『DADDY FACE 冬海の人魚』 伊達将範 著

 鷲士くんや美貴ちゃんの過去話が少しずつ披露されていって……。
 食事の席での鷲士くんと美沙ちゃんの会話は、もう胸がいっぱいに(T△T)。
 「――もちろん、何度でも」
 の台詞がキました。
 かつて幾度と無く繰り返されたであろう展開なのは分かっていますけれど、自分の信じることを確かに心に持っている人、そして愛しい人を大切に想う気持ちには、ジーンときてしまうのです。
 しかも鷲士くんがまた、この台詞を口にするのが似合っているんですよねー。

 こうした過去話が披露されていくので、シリーズの中ではダウナー系の異色な展開を見せる今作。
 面白い……というより、良かった、という感想です。


23
『DADDY FACE 世界樹の舟』 伊達将範 著

 シリーズ2冊目で〜す。
 「無敵パパ育成計画」……って、スゴイなぁ(笑)。
 「大学生の父親と12歳の娘が贈るラブコメアクション」……のほうは、父娘がカップルなんじゃないかって読むこともできるので、ちょっとアレかも(^_^;)。
 鷲士クンは、美貴ちゃん一筋デスヨ!

 しかし娘の美沙ちゃんに振り回される姿が、さらに上にきているような。
 というより、美沙ちゃんの暴走ップリがアップしてるんでしょうか?
 樫緒くんも、少しずつパパへの気持ちが変化してきているというか、表に出てきているというか……。
 可愛いですね。

 いや、それでもっ、わたしはお母さんの美貴ちゃんを応援したく!

22 『灼眼のシャナ』 高橋弥七郎 著

 Kanonの舞と秋子さんが出てくる話……。ちと違う(苦笑)。

 正直、吉田一美ちゃんの心情の変化は説得力薄いな〜という気がしないのでもないのですけれど、案外そういうものなのかもね〜という気もしています。
 どちらにせよ、シャナと一美ちゃんのやりとりは面白いのです。
 間に立つ悠二のオロオロする姿も含めて(笑)。

 いとうのいぢサンの絵も、合ってますね〜。

 アクション物としては物足りない気がしますけど、それよりも人間関係を楽しむ作品なのかなぁと思います。
 不必要に登場人物を多くもしてませんし。
 なかなか計算された配置だなぁと。

 敵方の行動意識とか、クラスメートの団結力・協調性などを見ると、作者の高橋センセは「良い人」なのではないかと思います。


21
『DADDY FACE』 伊達将範 著

 『COOL DOWN』が面白かったので、買ってみました。
 どうかな〜と期待半分だったのですけれども、面白いです!
 やっぱり伊達センセは、動きをカンジさせる文章がスゴイです。

 登場人物も個性的な面々ばかりで愉しいです!
 はじめは「12歳の娘」ってどうなのかな〜、と思っていたのですけれど、ちゃんとお父さんの鷲士クンを意識しているところなんか、カーワイー!(≧▽≦)
 あと一般的女の子に比べると、ちょいと言動にクセがある美貴ちゃんも!
 いや、もう、この2人のヒロインにはヤラレマシタッ!

 神話伝承に関して、独自の解釈を用いて物語っているところも好感触。
 その説明描写の点では「説明が過ぎる」きらいもなくはないですけれど、オリジナルってこういうことなんだと思います。
 ――他者の創作物を借りてくるのではないという意味から。


 特殊能力を会得しているキャラクターたちが、オーパーツを巡って争う……って、『ROD』を思い出しちゃったんですけれど(苦笑)。
 んでも、わたしは今作のほうが好きかな〜。

20 『へっぽこSP なごみ!』 直 遊紀 著

 表紙だけで判断したら、なごみって男の子だと思ったんですけど――。

 この作品も、またしても短編かぁ……。
 でも、扱う内容からすると、短編が合っていたとも思います。

 わたくし的嗜好では、可もなく不可もなく……というトコロ。
 何と言いますか、読後に、あまり残っていることが少ないんです……。
 そういう意味では、わたしには良作ではなかったんでしょうね(^_^;)。

19 『シャドウプリム』 出海まこと 著

 う〜……。
 ちょっと肌に合わなかったかも……。
 戦うメイドさんって……。
 短編集だったっていうのも、わたくし的には敗北感。

 あと、またしてもクトゥルフ神話ネタが……。
 でも、短編集で用いるのは分からないでもないかなぁ。
 文章量の関係で、あまり独自の設定を説明しきれないでしょうから、ある程度の認知度がある設定を用いるのも……。

 でも、やっぱり納得いかないのでした(^_^;)。

18 『COOL DOWN』 伊達将範 著

 アクション映画を見ているようなカンジでした〜。
 終始、緊迫感があって、次はどうなるんだろうっていう期待を抱かせる文章。
 こうした「動き」をカンジさせる文章を書ける人は尊敬します。
 下手をすると、状態だけを書きつづっていく、非常に間の悪い文章になりかねないと思うんです。
 この辺り、絵画に似ているのかな〜。
 非常に精密に描かれた絵よりも、適度にぼやかしてアレンジの入った絵のほうが感覚的には受け入れやすいというカンジ。

 世界設定的にはいろいろ未消化な部分がありますけれど、それを言うのはこの作品では野暮かなぁ……と。
 冒頭近くのヒロインの一族の話なんて、エッセンスみたいなものでは?


 あと、Webを回ってみて気付いたんですけれど、この作品を「ハリウッド映画みたい」と述べておられる人が少なくなかったんですけれど、まあ、そうかもしれません。
 でも個人の好き嫌いと「ハリウッド映画→駄作」という認識は違う話だと思いますヨ。
 そういうのって、結局のトコロ、楽しみかたの違いなんだと思います。
 少なくともわたしはこの作品を「ハリウッド映画的」と評するのは間違ってないと思いますけれど、それはそれで愉しかったですもん。

17 『シルフィ・ナイト』 神野淳一 著

 面白かったデス。
 主人公2人、ジーンとライムの恋愛感情の進行具合には、ちょっと大味なきらいもありますけれど、定番中の定番な流れなので、もはやそこに首を傾げるのも野暮ってものかな、と。
 ……まぁ、それだからこそ、「ありきたりな話」として受け取られてしまう可能性もありますけれど、定番の何が悪いか!
 命を賭けた戦いの中で出会った男女が、いつしか恋に落ちて何が悪い!
 お互いを守りたいが為に自分が犠牲になる、身を引く、そんな行動に(多少なりとも)感銘を受けなかったら、初めからエンターテイメントなぞ望まないでもらいたく!

 そんなカンジで展開には不満は無かったのですけれど、キャラ描写には不満が。
 主人公2人を除くと、あまり効果的な登場のさせかたをしていないように思えるんです。存在が希薄だったというか。
 そもそも1巻の中で終わらせるのですから、そうした場面も致し方ないのかもしれませんけれどねー。


 あ、あと不満、もう1点。
 成瀬裕司さんのカバー絵に惹かれて手に取ったのに、挿し絵は別の人なんですね……。
 成瀬センセの挿し絵を見たかったんですけど……。

16 『猫猫雑伎団』 篠崎砂美 著

 うーん……。
 ドタバタし過ぎちゃってて、惹かれなかったデス。
 「獣人」というくくりなら、『ブルースター・シンフォニー』のほうが雰囲気良かったと思いますし。

 気になった一文。
「スカラティスは町中での殺戮をほしいままにした」
 この「殺戮」っていう言葉には某かの意志が感じられてしまうんですけど、スカラティスって「虫」なんですよね?
 最後まで読み終えてネタも明かされた上で考えるなら、なるほどそれは「殺戮」だったのかもしれませんけれど(……でも違う気がするけど、まあ、おいといて)、このシーンで用いる語句としてはいかがなもんでしょ?
 虫に意志がある……という形而上的な問題なのかもしれませんけれど、そうした考えで書かれているのは、ここだけですし。
 むしろ、知的生命体に及ばない存在として「スカラティス」という「虫」が、まるで「自然という災厄」のように描かれてきているのですが。


 サーカス物なのかな〜……と思って読み始めたせいか、反動大きくて不満なのかもしれません。

15 『ユーフォリオン』 高瀬美恵 著

 イラストの「みきさと」サンって、「樹里祐二」サンのことでしたか!?
 どこかで見覚えのある人だなぁ……とか思って買ったんですけれど。

 エピローグがすごく後味悪いんですけど。わたし的には。
 でも、現実を描いた作品としては、それなりに意味のある締め方なのかなぁ……とも納得できるトコロもあったりします。
 まあ、それを好きになれないだけで。
 この場合の好き嫌いは、作品の良し悪しとは全く別の話ですので。はい。

 ……というか、それ以外でも、あまり救いのない話だったりしますか?
 この作品を読んで、「そんな現実でも精一杯生きていこう」とか思わないような気がするんですけども。

14 『放課後のストレンジ2』 大崎皇一 著

 うむむ。百桃雛子の名前を1巻で登場させたのは、続刊のため?
 初めから予定に組まれていたんでしょうか。
 前作で名前が出たときは不思議に思っていたんですよね。

 同じ時間が繰り返されるというネタで、『悪魔のミカタ』の「パーフェクトワールド 休日編」を思い浮かべてしまいました。
 やっぱり、この類のネタは、文章では難しいんじゃないかなぁ……という感想です。
 わたしが莫迦なだけかもしれませんけど。

 「死にたい人間はいない」という事に対しての理由付けもまた、前作と同じく納得できる説明でした。
 大崎センセとは、こうした主張に関するところで波長が合うのかもしれません。

 雛子が感じる閉塞感みたいなものって、共感できるかも。
 彼女みたいに恐慌状態までは陥りませんけれど。


 それにしても鞘香の注目度がかなりアップなんですけれど?
 なんですか、継也を意識しまくりな、あの態度は!
 それも本人も周りの人間も、それに気付かないときてます!
 あはは!(≧▽≦)
 そして継也は継也で、胡桃を巡って皇莉にコンプレックスありまくりですし!
 4人の関係が前作に比べて、すごく微妙になってきて面白いったら!

 ……えーと、わたくし的には継也を応援する所存であります。
 つまり、一番、報われなさそうなワケですね(笑)。

13 『放課後のストレンジ』 大崎皇一 著

 山本京センセのイラストは、かなりの色気があると思うんですが。
 あ、でも女の子キャラ限定に感じるので、日本語で言う色気というより、フェティシズムに近いのかも。

 お話的には、最後のまとめかたがどうも納得いかないです。
 主人公が、いままで見せなかった超パワーを発揮して一挙に形勢逆転/問題解決って、なんか意外性の欠片もないというか。
 それも窮地に陥ったがゆえにこの場で覚醒したものではなく、以前からその存在を知っていた力だったというのは、どうも……。
 主人公的には真の意味で窮地ではなかったわけで、問題はいつその力を発動できるかにあった……わけですよね?

 そうした終盤の展開を除けば、キャラ立ちも好きですし、《異質な誘導体》という設定なども好きな作品でした。
 《変異体》の行動原理も、昨今の作品のなかでは納得できるというか。
 単に本能とか言っちゃう人もいるでしょうけど、そういうのともチト違う気が。
 というか、理由を求めるという行為自体が人間側のエゴなわけで。


 主人公4人の揃えかたも絶妙かな、と。
 胡桃も鞘香も、わたしの中ではメガヒット級のヒロインですよ。
 次いで継也、皇莉と続きます。

12 『デモン・スイーパー』 関口和敏 著

 正直、クトゥルフ神話ネタは苦手です。
 さらにいえば、単にフレーバーとしてしか用いてないのであれば、余計に納得がいきません。

 ……ミスカトニック大学という名称を出す理由があったのでしょうか?
 そのあとに続くこの作品独自の設定に対しての権威付けというふうにしか感じられなかったのですけれども。

 『あの』ミスカトニック大学から分かれたオカルト大学。

 ――というくだりに表されるように。

 この件以外でも、名称などがほとんど借り物のようなんですけど。
 言葉には力があるので、なるほど、それを用いることで威を借るというか、読み手に印象付けようという方法なのかもしれませんけれど、そういうのって好きくないです。


11
『シーキングザブラッド』 岩佐まもる 著

 表紙はウリュメル……なんですよね?
 右の人も、左の人も。
 手に取ったとき「新キャラ?(特に右の人)」とか思ってしまいました(^_^;)。

 この間では前作の『ダンスインザウインド』で影の薄かった感のあるウリュメルの人となりが見えてきたり。
 料理作ってるところとか、いーですよね。

 他のキャラも、この巻で色が付いてきたカンジです。
 マダムLとか、ミンさん、ラルフ、そしてレイカ・サンジョウさん。
 レイカさんが、どうしてグバイ・ファームで秘書を続けているのか、その理由が明かされたとき、ヤバイとと思いました。
 あの時、空港でストールを出迎えたとき、土下座をして謝ったと書かれているところで胸がいっぱいになったです。
 安っぽいと言われようが、こういうのに弱いんですよ、わたし。
 岩佐センセは、こういうところ、上手く持ってきますねぇ。

 DRのほうも、動いてきて面白くなりました。
 前巻に続いて冒頭に、ある竜の血統が記されてますけど、これがどの竜のことなのかずーっと気になってました。
 したら、クーのライバルなんですね。この子が!
 むぅ。
 ジグルス・レースでは、ウリュメルのお兄さんより、ラルフのほうが強敵になるのかなぁ。
 フリーになってからの騎乗は見事ですもんねー。
 んでも、ユリアスも、強い竜を見つけてきそうですけど。
 こちらも伝説の再来とかいって。


 ところで「レヴ」ってどういう意味なんでしょう?
 ユリアスがマダムLに対して使ってましたし、今作ではメイシア公がストールに対して使ってましたよね?
 やっぱり「愛しい人」とかそういう意味合いなのかな?

10 『悪魔のミカタ It/ドッグデイスの過ごしかた』 うえお久光 著

 藤田香さんの冒頭マンガが哀しかったです……。
 コウが……。

 しかし本編のほう、ちょっとパワー不足なカンジでしょうか。
 前作の引きであれこれ考え込んじゃって悶々と過ごしてきた身には、淡泊……とは、ちと違うか。なんというか、そっち方向で話が進むんデスカ?といった心境。
 これまで出番の少なかった部長とかアトリに光が当てられたというカンジ。
 ……これに関して、また登場キャラ増えてるし。

 そんな次第で、シリーズファンとしては物足りなく。
 新キャラの魅力は、なによりこれからなのでしょうし。
 でも、あれです。
 部長が卒業したあとって、それはまた楽しくなりそうです。
 そこまで書いてくれるんでしょうねっ、センセ!
 あそこまで書いて煽ったからには、責任を取ってもらわねば!
 部長の後継者って、「赤毛の美しい女」ですよね?

 そんなわたしの今作の一番の楽しみは、真嶋先輩とイハナのエステシーンでした。
 あー、この2人って、こういう会話をするような仲になったんだー……みたいな。

 あ、真嶋先輩って言えば、ヤスミンの言葉。
 (……この子、何か思い違いをしているんじゃないのかな)
 ――は、どういう意味!?
 もちろん、そういう意味だったら嬉しいけれど、何かちょっとアレだなぁ……。
 事実のあるなしで今更真嶋先輩への評価が変わるわけではないし、好きでいると思うんですけれど、もし、うえおセンセが彼女に対しての重荷を取り払ってあげよう的に展開させているんだとしたら、ちょっと失望感が。
 むしろ、それ込みで生きようとしている真嶋先輩に失礼な気も。

 その展開であるなら、やっぱり、事実を話してコウも反応をたしかめる「バカな」真嶋先輩のシチュエーションを希望。
 部長だったら「それでキミの何かが変わったのかい?」とか言いそうですけど(苦笑)。
 コウも同じだと思うんですけどー。
 ちうか、真嶋先輩が真嶋先輩であるなら別に構わなくて、日奈の存在がある以上、その件についてはアンタッチャブルなんじゃないかなぁ。
 ……というシチュエーションを希望してるんです(笑)。


『ダンスインザウインド』 岩佐まもる 著

 はわ〜。
 筆者にとって好きな題材を思い切り書いているのは、読んでいて楽しいですね。
 DR(ドラゴンレース)って、竜と馬の違いはあっても、競馬そのものですし。
 競馬のギャンブル性を薄くして、ドラマ性でちゃーんと盛り上げてくれます。

 あ、でも、産まれた子を育てる育てないで一悶着あって、その子は白い身体を持っている……って、シルフィードだなぁ(笑)。
 そこに竜ならではの設定を加味してあるのは良いですね。
 あの、種の違いというものですけど。

 牧場の仕事形態も、家族的なところがありますね。
 これがスニーカー大賞優秀賞受賞作だったってコトは、岩佐センセはやはりもともとそういう形のある人だったのでしょう。
 専属契約を勧める牧場主ストールに、見捨てる真似は出来ないと言い返すラルフがッ!

 登場人物が良い部分だけでなく暗部も持っている……抱えている?ところも、読んでいて引き込まれる部分でしょうか。
 より人間味を感じられるというか。

 あー、でも。この巻だけではキャラ把握するのは厳しいですねー。
 主役クラスでも、とくにウリュメルなんかは、ちとイメージ薄いです。
 この辺りの肉付け、続刊に期待しても良いのでしょうか?
 楽しみです。

『ブルースター・ロマンス かりそめの花嫁』 岩佐まもる 著

 『ブルースター・ロマンス』のほうがシリーズ名?
 『かりそめの花嫁』がタイトルなんですか?
 買うまで気が付かなかったです(^_^;)。

 そんな次第で『宙からの求婚者』の続編。
 えーと……。
 哀しくないですか、スーシャ様。
 もちろん、本来なら高みにある立場のお人だからこその行為なのかもしれませんけれど、レトも、ヌアサも、みんなを大切に思っている姿勢が。

 そんなスーシャ様にくらべて、今回のヌアサは……。
 口汚く言えば、ヌアサが「姉」の立場に満足していれば(立派に果たしていれば)、こんなことにはならなかったという。
 ……んでも、その気持ちは、別段、悪意あってのものではないし、年頃の女の子としては許容できる範囲というか。
 だからこそ、やるせないワケで――。

 いや、でもやっぱり、スーシャ様が(T△T)。
 あのラストは無いですよ……。
 「えっ!?」とか思って、終章だけを何度も読み返してしまいました。
 そんなハズがない……と、頭が理解することを拒否反応起こしました。
 ――やられました。岩佐センセに。


 ともかく!
 モイラの正体とか、その他いろいろと謎が多くて!
 レトとスーシャ様がどうなってしまうのか知りたいので、激しく続刊希望です。

『ブルースター・ロマンス 宙からの求婚者』 岩佐まもる 著

 『シンフォニー』が面白かったので、買ってみました。
 はぁ〜。レトの「声」が、『シンフォニー』での「旋律」なわけですね。
 そう考えると、物語の基本材料は同じ意味合いなのかも。

 雰囲気は良いですし、読みやすいのですが、オススメするにはもう一歩……なカンジでしょうか、ねぇ。
 気になる単語(世界設定に関しての)が、ところどころ現れているので、面白くなりそうな予感をカンジさせるのですけれど、如何せん、この本だけでは分からない点が多すぎるのが残念。

 ヌアサがヒロインなのかなぁ……と思っていたのですけど、まさかスーシャさまだったとわ!
 つまりアレですか?
 理想のヒロイン像としては――

 幼なじみ < 押し掛け女房

 ――の図があるんでしょうか?(笑)
 まぁ、物語としては分からないでもないです。
 押し掛け女房のほうが、物語が動きますし。

 ウェブ巡回してみたら、ヌアサ人気が強くて、スーシャさま不遇……。
 わたし、好きなんですけどねー。
 とくにラスト。
 あのシーンがあればこそ、レトがヌアサを守っても、スーシャさまがヒロインたる位置にいるのではないかなぁ……と思うわけで。

 この作品では、辺境にある村という社会が「血の繋がりに拠らない家族」を表していたりしますし、岩佐センセはそういったシチュエーションに思うところがある人なのでしょうか。
 そうだとしたら、わたし、かなりプッシュなのですけども。

『ブルースター・シンフォニー 上』 岩佐まもる 著

 オーケストラを描いたライトノベルって、あんまり見たことないような。
 やっぱり専門的なことが少なくなくて、調べるにしても色々と手間が掛かりそうな題材だからでしょうか。

 んでも、そこにこだわりは感じましたけど必要以上には踏み込んでおらず、雰囲気作りとしては成功しているのではないでしょうか。
 オーケストラという組織が持つ、非合理性かつ家族性みたいなものが。
 そこにいる人たちは「夢を食べて生きてるんだ! 仲間なんだ! 文句あるか!」……と言ってるみたいな(言いませんけど)。

 クキがカルラのこと、それでも「俺の娘」と言った場面はうるうるきてしまいましたよ。
 クキ、久しぶりに見る、イイ大人だよ……(T▽T)。


 登場人物は基本的に動物の特徴を持ってます。
 ネコ耳とかウサ耳とかですね。
 これも可愛くて◎。
 そんな中で特殊性を表されているのが人間という種であって……。
 単発のお伽話設定としては、かなり強いとこ引いたんじゃないかと思います。

 音楽という素材が持つ要素を、上手に物語に折り込んでいってるんじゃないかなぁ……と。
 例え素材はありふれた定番に近しいネタでも、オーケストラという素地があれば、かなりの意味づけを持たせることになっているのではないでしょうか。
 別に「剣と魔法の世界」でも使用可能なネタですけど、そこにオーケストラという舞台を用意したトコロがスゴイということで。

 こにしひろしサンの絵も良かったです。
 雰囲気、出てる〜!

 面白かったので、下巻の刊行を早く早く!


『みんなの賞金稼ぎ2 略奪ベイビー。』 池端亮 著

 白亜右月さんのイラストが、ハマッてると思うんですよねー。
 口絵のカヲルが2巻続けて後ろ姿なのは、意図的?
 1巻の後ろ姿は意味ありましたよね〜。

 また今作でもバッタバッタと人が亡くなってたり。
 んでも、やっぱり、「人が命を落とす」という過程がきちんと描かれているので、カヲルたちの緊迫感のようなものを感じるのです。
 例えば「この時の戦いで300人が亡くなった」とだけ描かれても、そこには何の感情も見えなくて、ただの事実があるのみなのではないかと。
 その起因が主人公にどれだけあっても、です。
 その方が、1人の命を軽視しているような気もします。
 えーと、つまり、何が言いたいのかっていいますと、300人が命を落とすにしても、同じ死に方なんて1つもなくて、300通りの死に際があるんですよね……ってことです。はい。

 カヲルの我が道を行く性格も相変わらず。
 「あたしにはこんな赤ちゃんより、そっちの阿呆女の方が大事だもん。むかつくけど」
 ――は、その一例。
 でもこの価値基準、間違ってないと思う。
 人の命は地球よりも重い……なんて、信じられるわけないし。
 他の誰に拠るでもなく、自分の基準を持ってる人は尊敬できます。
 だからこそ船上での最後のシーンを理解できるのだと思います。
 というか、このシーンではカヲリの行動それ自体より、アオイとヒカリとの絆みたいなモノのほうに感動してしまいましたデスヨ。
 信じられるって素晴らしい。


 あと、ちょっと雑感。
 ヒカリが可愛い!(俗すぎな感想)
 芳明さんと義隆さんって、『家族計画』のあの2人を思い出したり……。
 イントロ?の社会情勢に関してのコメント、三者三様で性格出てておもしろーい。
 カヲルの日記、好き。他人の日記はやっぱり面白いのであった。
 しかも今回の日記は、本編に活かされてくるし。


『みんなの賞金稼ぎ』 池端亮 著

 ぴ……ピカレスク!!!?
 カオル、アオイ、ヒカリの自分が価値を認めた者以外への無関心さには、むしろすがすがしさを感じます。
 ガラ、わるぅ〜(笑)。

 彼女たちが身にまとう服飾関係の説明の細かさも好きですね〜。
 知識をひけらかしているようにも見えますけれど、少なくとも彼女たち各人のキャラクターに合っているブランドを着用することで、より彼女たちがどういった人間なのかが分かるようになっていると思います。
 そういうブランド名を連呼されるのを嫌う人はいると思いますが、手法として間違ってないと私は思うのです。
 くどく感じるところもなきにしもあらずなので、その手法を絶対的に正しいともいいませんけど。

 アクションについても躍動感があって良いですね〜。
 その場面を思い描けるというか。


 そんな次第ですっごく好きになった作品ですけど、これ、人によっては毛嫌いするかもしれませんね。
 そのた大勢の人物の命に関しては、ひと山いくら?なカンジで、次々に殺されていくので、そういう展開が嫌いな人は……。
 しかし異論はあると思いますけど、そうした展開を採ることで彼女たちが置かれた状況やこの世界が示されているのだと思います。
 必要だから、人の命が軽く描かれているということで。
 軽視しているのではなくて、「人」だからといって必要以上の価値を存在させない、霊長であっても森羅万象の中の1つなんだよ……というカンジを受けるのですけど。

 とにかく、わたしは好きな作品です。

『天国の本屋』 松久淳&田中渉 著

 んー……。なんかちょっと物足りないかな……と。
 さとしとユイが親しくなっていく過程とか、戻ってきた後でさとしがユイを探す場面とか、そういうトコにある葛藤みたいなものが、読む前にわたしが期待していたものなんですけど。
 このままだと、映画の情報量しか持たないかな……と思ったら、映画化するんですか。
 素直に映画化すれば良い作品になるような気がします。

 「きっと、君をみつけてみせる」
 「それは無理だろうな」
 「オレはユイがわかる。絶対に」

 ――とか、このあたりの件を、もちっと掘り下げてほしかったという感想。

 お伽話を聞いてラスト「めでたしめでたし」で終わったら、「どうして2人がそれで倖せになれるの(なれたの)?」という疑問を持つ感覚と似てるような気がします。
 うーん、うーん、うーん……。
 そういうことを考えること自体、すでに邪なのかな〜……?

『明日の夜明け』 時無ゆたか 著

 期待(予想?)していたのとは違ったかなー……。
 綺音が中心にきている物語かと思ったんですけど、どうも“魔女”としては名前倒れな印象。
 力があるのは分かるんですけど、それがイイ方向で使われてないと思うんです。
 もったいないというか。

 剛と功の男の子2人は頑張ってたと思います。
 そばに女の子がいるときの頑張りようが雰囲気良かったです。
 敦は……(苦笑)。

 もちっと各登場人物間での絡みがあったら良かったかな〜。
 相互間で関係が薄いっちうか。


 手法の好みかと思いますけど、最後になって犯人がダァーッと一気に種明かしを語るというのは好きくないです。わたしは。
 犯人を特定していくなら、個々の事象について、その都度、是非を示していって、残った可能性が犯人を示すという形式がわたしは好きです。
 たしかに最終的に残った人物が犯人というのは、形の上では同じことになるのかもしれませんけれど、その素直さがドキドキ感を生んでない……と。
 意外性が足りないというか。


 ラスト、どうするのかな〜……と思っていたら、そうきましたか、というカンジです。
 希望を残しての終わり、なかなかでした。

『野望円舞曲』 5巻 田中芳樹&荻野目悠樹 著

 わたしには淡々と語られているように感じます荻野目センセの文体も、こと『野望円舞曲』に関していえば良い方向に作用しているように思います。

 なんだかベアトリーチェが悩んでばっかになっちゃったなぁ……。
 もっと有能だった印象があるんですけど。

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