○● 読書感想記 ●○
2003年 【2】

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23 『ホーム・チェリー・ホーム』 結城貴夜 著

 富士見ミステリー文庫が「どこかミステリー?」という意味合いで「変」と思われているらしいですけれど、この作品を読んでもやっぱり「変」としか……。
 でも米澤穂信センセが『愚者のエンドロール』で触れられてるとおり、ミステリーといっても「推理モノ」という意味だけではないのは事実なんですけど――。
 だとするならば、「無理をして推理モノの体裁を整えようとしている作品が多い」という理由が、このラインナップを「変」と思わせている理由に1つなのかもしれません。

 推理パートの存在価値が分からないんですよね。
 理不尽な大人の社会にぶつかってあがく若者たち……を描きたいなら、もっと衝動的というかアクティブな事件を起こして、そこから人間関係をメインに据えた物語を描いていけば良かった……のに、会社の意向がそれを許さなかったのでしょうか?

 妖怪の類があっさりと存在を肯定されているのも、推理モノとしてはマイナスなんじゃないかと。
 ファンタジーならかまわないと思うんですけど。
 それと、作者自身が妖怪の存在を信じているからといって、現代物である作中に何の科学的根拠もなく登場させていることには疑問を感じます。
 この存在を認めるなら、証拠を積み重ねていって真実にたどりつくハズの推理が、ややもすれば根底から覆されるのではないでしょうか?
 「それは妖怪がやったことだから――」
 として。


 イラストの水上カオリさんは、良かったと思います。
 ファンタジーよりも、現代物の方が合っているのではないかとも思いました。
 少なくとも『第61魔法分隊』では資料が少なくて描ききれなかった部分があるように見えるのに対して、今作では現代物ということもあって御自身の知識を活かして自由に描かれている雰囲気を受けました。
 資料が少ない――というのは、けっして水上センセが資料集めをしなかったという意味ではなくて、筆者のイメージが水上センセに伝わってないという意味です。
 なんというか、自分の頭の中にあることを、ちゃんと文章化できてないといいますか……。
 そういうのって、大変だったのではないかと(^_^;)。

22 『マリア様がみてる 真夏の一ページ』 今野緒雪 著

 読み始めて24ページで、ちょー驚き。こんなカンジで → (重いですヨ!)

 面白かったんですけど……。けど……。
 甲之進さんって、男性キャラ不要論者の非難をかわすために、ああいう人にしたんじゃないかって気が……。

 祥子さまがあのように倒れるなんてわたしのイメージじゃないし(倒れるにしても、もっと別の表現があったかと……)、黄薔薇姉妹はいつも通りですし、やっぱり白薔薇姉妹なんでしょうか?
 いえ、好きですけども。志摩子さんも乃梨子ちゃんも。

 面白かったんですけれども、別にリリアンや姉妹でなくても描ける話だった……というのが不満なんでしょうか。
 リリアン女学園という特異な場所が生み出す雰囲気が好きなんですよね、やぱし。。

21 『僕の推理とあの子の理屈』 村瀬継弥 著

 美樹本晴彦さんが描いた表紙の意味が分かりません。
 少なくとも、作中の誰かとか、どこかの場面を描いたものではないと思うんですけど。

 ミステリとしては安心して読んでいくことが出来ました。
 事件状況を丁寧に提示してくれましたので。
 2つの事件?を1つにまとめていく形式も面白かったですし。

 ただ、探偵役のキャラクターたちが、もう一方の事件に対して関心をもっていく理由が、ちょっと分からなかったです。
 多分……、いきずまった感のある当初の事件から息抜きしたかったとか、あるいは純粋に知的好奇心が働いたとか、そういう辺りだと思っているのですけれど。
 でも、仮にその理由で当初からの事件を中座して、もう一方の事件に関心を寄せるのだとすれば、当初の事件に対しても関心の度合いはその程度だったのではないかと思ってしまったのですけど。
 他に興味があることがあれば、そっちにも関心を寄せてしまうという程度の。

 そこだけが、気がかりでした。
 あと、無理に男女の仲を出さないでも良いんじゃないかなぁ……とか思ったり。
 ラスト。


20
『アリソン 2』 時雨沢恵一 著

 そんなわけで、2巻です。
 お……おもしろ――いっ!(≧▽≦)
 活劇なので当然といえば当然なんですけど、キャラが活き活きしてるんですよね。
 「生」の輝きを持っているというか。

 ヴィルの友人とか、アリソンの同僚とか、スゴク良いです。
「そんな――、誰が反対するもんですか! やりましょう!」
 の台詞で、大笑い。
 こういうノリがいい人、好きです(^_^;)。

 好きっていえば、今回、ベネディクトさん、大活躍でした。
 これも嬉しかったです。
 むしろ、アリソンとかヴィルとか、狂言回しに使われてます?
 王女さまとめでたくも次の約束取り付けてるしーッ!
 やるな!(笑)


 それにしても計画的な文章ですねぇ。
 物語として伏線ほどではなくても、いちいち過去の描写をあとになって活かす配慮がなされているというか。
 こう文章って、読んでいると嬉しいですよね。
「約束ですからね」
 ――は、もう、サイコーッ! ベネディクト!!(≧▽≦)


 首都に来ることを勧めたアリソンのほうが、2人の関係においては大人なんでしょうか?
 そういうのも、いいですよねーッ!

 しかしヴィル、なにげにカッコイイぞ?(笑)
 

 でも、続刊があるとして、また1年後なんでしょうか。
 ううう……。


19
『アリソン』 時雨沢恵一 著

 黒星紅白センセの画集を見て、その内容がチラッとわかったので購入。
 ……なんで、もっと早く!(笑)
 デコ出し元気少女と、控えめ理知的少年と、真面目なナンパ野郎と、プロペラ機と、宝探し――という要素が入ってるって、どうして教えてくれなかったんですか!
 ヒドイです、神様!
 あ、でも、2巻が今月発売されたんですか?
 ステキです、神様!

 ――まあ、上で書いたことが、そのままあるってことで。
 こういった少女×少年の冒険活劇は、読んでいてドキワクしますね。
 2人の関係が初々しくて微笑ましいというか。
 折り込みカラーのヴィルって、カッコ良すぎ……な気もしますけど、こうなのかな?
 作中でも、カッコいいですもんね〜。

 アリソンの無茶さ加減、迷惑さ加減は、それなりに理解不能ですけれども、少なくとも自分が何をしていて何が出来るのか、そして自分にとって大切なことは何なのかをちゃんと分かっている様子なのが、見ていてこちらも納得できるといいますか。
 我を通すのと、我が儘なのは、ちと違う……という次第。
 前者は、自分が何者であるのかを知っていないと出来ないことだと思います。

 しっかし、どうしてこうも黒星センセのキャラなんでしょうか。
 イラスト、イメージにピッタリですよ(≧▽≦)。

18 『灰色のアイリス 2』 岩田洋季 著

 美木家の兄妹は、またというか、やっぱりというか、そういう関係なんですか……。
 こう次々に直接的にこられますと、「そんなの、大したことないデショ」とか言っているようにも見えます。
 はたして、そこに意味があるのか、はたまた無いのか。
 まぁ、だからこそ姫子のような存在が好ましく思えてくるのですけれども。

 でも、この巻は、優夜ちゃんですよね〜。
 優しい夜と書いて、優夜。
 たまりません(笑)。

 真夜より≪崩落のフェンリス≫のほうが強そうに思える……ちうか、インパクトあるっていうか。


 優夜と奏の関係って、『悪魔のミカタ』の真嶋先輩とコウの関係に似てますね。
 というか、「心に絶対の存在を持ってしまっている男の子を好きになってしまった女の子」というパターンです。
 ……弱いんです、わたし(笑)。

17 『灰色のアイリス』 岩田洋季 著

 あ……。大作の予感、が。
 萌えとか燃えとか、そゆんとは関わり無い世界なので、人気が出るとか難しいかもしれませんけれど、しっかりと前を見据えて作ってるな……って気がします。
 そういう意味で、続刊が楽しみです(刊行されてますけど)。

 全てを語らない、答えを出さないことについて、当初は何か間違っているような気もしながら読み進めていったのですけれど、ちゃんと続きを考えてのことだと分かれば、それもまた良し!です(^_^;)。

 でも、男女の性関係をこう持ってくるのって、どうなんでしょうか。
 そこに目を向けていることがこの作品の価値を高めていると思うんですけれど、なんかちょっと無防備過ぎない?って気もします。
 安易……とまでは言いませんけれど、ちょっと俗っぽいかも。


 関係無いですけど、『風使い』ってマンガを思い出しましたことよ。
 本文ではなく、イラストのほうで。

16 『さよなら月の船』 片山奈保子 著

 イラスト(竹岡美穂センセ)に惹かれて買ってみたのですけど、当たりでした。
 両親とか、男の子とか、微妙な距離感をとる多感な年代が素直に描かれてます。
 こういうセンス、いいなぁ……。
 もちろん、夢のような綺麗事ばかりでなく、きちんとした現実(それも、ちょっとばかりシリアスな)をふまえて物語が成り立っているのも好感できます。


 アレですアレ。
 『水色時代』とか『フルーツ果汁100%』とか好きな人にはオススメ!
 (ちょっと古いですか?)
 もしくは本田恵子センセあたり……。
 (さらに古くしてどうする)

15 『月17世』 天河りら 著

 ブルボン王朝の、こうした新設定って、あまり見たことなかったような。
 そういう意味で斬新かと。
 でも、当時の時代背景描写にある種のこだわりを感じてしまうのは、どうなんでしょ?
 風俗関係、そんなに重要かなぁ……と思ってしまうのデス。

 シリーズ物になってますので、とりあえず保留〜。

14 『七夜物語 DT異聞』 和智正喜 著

 ゲームソフトの世界をノベライズ……ってことで、多少、説明不足な感もありますけれど、それなりに雰囲気はつかめました。
 んでも、この雰囲気って、ゲームじゃ出てないんでしょうねー。
 寂れた温泉街とか廃墟とか好きなんですけど。

 文体は、すっきり必要なことだけを描いてあるってカンジですか?
 あまり凝った描写をするわけではないような(良い意味で)。
 この辺り、小説というより脚本の要素に近いものが。

13
12
『悪魔のミカタ6 番外編 ストレイキャット ミーツガール』 うえお久光 著
『悪魔のミカタ7 番外編 ストレイキャット リターン』 うえお久光 著

 ここで小休止ですか?
 番外編で、恕宇と日奈の幼い頃の出会いを。
 ……って言っても、『リターン』の最後まで読むと、全然番外編じゃないってことに気付かされますけども。
 次に進むために、必要なコト。
 『リターン』の中心存在なんかは、これまでと毛色が違っているから「?」とか思っていたんですけれど、終わってみればなんのことはない、ちゃんと『悪魔のミカタ』の世界法則に則してる存在でしたし。

 それにしてもですねー、恕宇の秘密?には参りました!
 完璧に叙述トリックにはまりましたよ、わたしは。
 そりゃ確かに、そうは書いてなかったですよねっ。
 あうっ。

 コウが年上キラーだってことも、ようやく理解できましたし。
 あー、まだまだ奥が深い話です。

 次号の電撃HPの表紙がアトリなんですよねー。
 楽しみ楽しみ。


11
『悪魔のミカタ 5 グレイテストオリオン』 うえお久光 著

 シリーズ最長のページ数! それだけに読み応え、あり!
 真嶋せんぱーいッ! ラブ!!(≧▽≦)
 ああ、もうっ、ホントに可愛い!
 コウの戦う理由が自分のためではなく、その向こうにある冬月日奈のためだと分かっていても、それでも今この瞬間は自分を賭けて全力で戦ってくれるコウを好き……って気持ち!
 うわぁぁぁぁん(T△T)。

 コウを酷い男だって言うことはできます。
 でもね! でもですよ! ……うわあん。
 ボクシングシーン、燃えた!

 いままで日奈のイメージが強かったんですけど、今作で先輩が上回りました。
 先輩、応援するデス!
 エピローグが、これまた次作を期待させるといいますか。
 こゆ終わり方、『悪魔のミカタ』の定番ですよね。


 ハナちゃんも良かったですよね。
 コウのセコンドについて、(先輩と一緒にですけど)コウのほっぺにチューするとことか。
 決闘後にコウと病室で2人きりになってるシーンとか。
 リンゴの皮、むきますか〜?(笑)
 少しずつ、感情が出てきてるとこが良いです。
 先輩とも心が通じ合ったみたい?ですし。

 恕宇は恕宇で出番少ないですけど良かったナ〜。
「お前はコウに負けた。ならば私が負ける道理は無いな」
 ……って、やっぱ恕宇はコウのこと、認めてるんだなぁ。


10
『悪魔のミカタ 3 パーフェクトワールド・平日編』 うえお久光 著
『悪魔のミカタ 4 パーフェクトワールド・休日編』 うえお久光 著

 平日編。
 うわぉ! イハナさま、かーわいー!
 コウの言葉に傷ついたと自分で評するあたりなんか、もー!
 あと、サクラのデートを取り付けるために外野をつとめてるところとか。
 『このウスバカゲロウ』には笑いました(^_^)。

 あとは、やっぱり、コウ? またしても。
 飛行艇でのみんとのやりとりは、男気アップですよ!

 カウンセラーの2人とか、教頭センセとか、ベルゼバブ様とか、新キャラも個性的で。
 そのせいか恕宇の出番が減って……ますか?
 あんな気さくな蠅の王、初めて見た気が……(笑)。
 カウンセラーの安県の挿し絵は、えらくカッコイイしなー。
 イヤなヤツだと思うんですけど、それも魅力っていうか。


 休日編。
 この2巻、表紙もふるってますよねー!
 並べると、非常に意味を感じるというか。
 なんとなく、この巻で、サクラがちょっとだけ可愛く思えました。
 ……というか、可哀想、かなぁ。
 イハナとも、真嶋先輩とも、コウへ向き合う位置が違うので。
 このままだと、孤独な勝利者になれるか、あるいはライバルにもなれないかのどちらか……かと。
 まぁ、それもサクラちゃんらしいですけど。

 パーフェクトワールドの能力については、ちょっと分からないところもあったのですけれど、それでもシリーズで初めて「こちらの良心が痛まない」契約人だったので、その点は良かったというか(ひどっ!)。

 あとは、やっぱりイハナちゃんが!
 真嶋先輩の、泣きながら笑っている姿も良かったですけど、やっぱり病室での2人がっ!
 サクラとイハナの名前の謎?も浮上してきましたし、日奈のライバル本命はやっぱりイハナなのかなぁ……。

『悪魔のミカタ 2 インヴィジブルエア』 うえお久光 著

 はわ〜。ますます面白くなっちゃって、もー!
 コウも恕宇もかっこいいし、ハナちゃんも真嶋先輩も可愛いし。
 日奈は、いなくなってますます存在感を増しているという。
 でもサクラは正直恐いですね。
 いろいろと。

 透明人間?ネタは古典ですけど、現代風味を効かせるとこういうカンジになるんですねー。
 4本勝負?も面白かったですけど、そこに至るまでの過程が興味深いです。

 あー。ナチュラルに女たらしのコウ、格好いいし面白いなー!(≧▽≦)


『悪魔のミカタ』 うえお久光 著

 いまさらかと思いますけど、正直、面白かったです!
 小気味良い、テンポある文章。
 必要な、そして個性的なキャラ配置。

 ストーリーヒロインの冬月日奈ちゃんの推理力は反則ッポイですけれども、そこは物語に必要な部分ではないですし、強引であっても良いのかなぁ……と。

 叙述トリック……なんでしょうか。
 ミステリとは言えませんか。やぱし。その辺りはセンセ御本人も触れてますしね。

 コウの行動原理とか、その他のキャラにしてもそうですけれど、何か理屈をかざすなら、これくらい飛び抜けていた方がいいと思うんです。
 第3視点である読者を納得させなければならないのは、理屈その物ではなくて、その理屈をかざして行動するキャラクターなのではないかと(この場合、納得させるのではなくて、イメージ可能か否かが勝負の分かれ目)。

 この文体、誰かに似てるなぁ……と思ったら、滝本竜彦センセにカンジが似ているんです。
 なるほど。
 わたしが好きなる文体というワケですね。

 シリーズになってますので、これからしばらく楽しみです。

『第61魔法分隊』2巻 伊都工平 著

 まぁ、そんな次第で読み続けているワケですけども。
 いきなり2巻で外伝っぽい位置付けの話だったりするわけで。
 これで「ひとまず役者が出揃いました」って言われてもなぁ……。
 そういうところで登場する役者ってなんだろうって気が。
 今作の主役扱いのデリエル嬢が、シリーズの主役であるなら意味分かりますけど。

 気になるのはですね、キャラの性格/描写に統一感が無いことなんです。
 例えば、これまで必死に勉強をしてきて、生い立ち故に大人びた性格になってしまったデリエルは、嫌味なくらいに整然とした理屈を振りかざす人物であってほしいわけですよ。
 それが、「隣村といっても、わたしたちだって簡単に行けるような距離ではないんですよ?」ということを相手に分からせる際に「隣の、――といっても歩いて随分かかる距離なのですが――、町へ調査に行きました」なんて言わないと思うんです。
 そんな「随分と」なんて主観的判断を、このときの説明に用いるなんて!
 なにか中途半端な造形の印象を受けるのです。
 作りモノめいた。

 その他、世界状況についても首を傾げるんですけど。
 語り手がそうだ!と言ってしまえば読者は納得するしかないのですが、その状況を不自然に感じてしまうんです。
 北方諸国と王国、教団、そして法士庁の膠着状態の理由って、わたしには何故?と思ってしまいました。

 あと、作品のキモになる魔法も説明不足気味……。
 語られるべきときに語られるのかもしれませんけど、今はまだ「○行詩」とか「属性」といった文字に引っぱられているカンジです。


 他にもいろいろあるのですけど、これだけはスゴイなぁと思ったのは、2作目の主役級に、1巻からの登用で、デリエル嬢を選んだこと。
 これは間違いなかったと思います。
 だって1巻で一番活き活きと描かれてましたもん(^_^)。


 上でいろいろ文句言ってますけど、あくまでわたしの場合。
 勢力膠着の理由だって、わたし以外の読者は理解出来るのかもしれませんし。
 とりあえず、あと1巻ですか。
 今度は王都での話ですか? シュナーナが活躍……って聞いたんですけど。
 ロギューネとはどうなるのかなぁ……。

『第61魔法分隊』 伊都工平 著

 何だか読みにくかった文章……。
 わたしとはリズムが合わないみたいでした。
 この辺、「描写」と「説明」の感覚の違いなんじゃないかなぁ……とか思う次第。
 あと、事件を解決する場面での盛り上がりに欠けるような。
 大立ち回りに入るところで終わってしまうというか。

 ロギューネ以外のキャラの行動原理があまり分からなかったです。
 どうしてそういう感情になるのか、そういう行動をしているのか……etc。
 キャラが立ってるとかは別にして。
 キキノとデリエルなんか、立ち位置、かぶってると思うんですけど。

 シリーズ物になってるので、もうしばらく読み続けていってみます。
 でも「この物語は続きます。商業的にどうかは売れ行き次第なので、応援よろしく御願いします」……って言うくらいなら、少なくともこの本においては1冊でまとまっているように書くべきなんじゃないかな……とも思いました。
 各所に配置された設定は、明らかに続編を意識してのものですし、それが編集サイドのOKもらっているということは、商業的にも続編が許されている立場だったんではないかと邪推してしまいました。
 その上で、上記のような発言をするのは的外れというか、理解不能というか。

 うーん、うーん……。
 わたしが読み違えてるのかなぁ……。

『鵺姫異聞』 岩本隆雄 著

 あーっ! このエピローグって!?
 なるほど、なるほど。
 そこにつながるんですねーっ!
 うわーっ! うわーっ! うわーっ!

 ……とまぁ、星虫世界を楽しんでいる人にはたまらない作品ですね、『鵺姫異聞』は。
 隆と広樹の会話や、そのあとのイ艇長との会話など、もう嬉しくって!
 プロジェクトに合格した、かつてのクラスメートたちの名前も!
 この辺りの話、これから書いていくのかなぁ。
 楽しみ楽しみ。

 これからっていうなら、ブロック博士や――ローランド氏かな?
 特に、ローランド氏。
 イルカでくるとみた!

 星虫の世界として1本、芯は通っていても、それぞれの作品の根幹にあるテーマ?ジャンル?が異なっているのには脱帽です。
 言ってみれば、同じ材料から、幾多の料理を作ってるかのごとく。
 調理法が違えば、味が違うってことで。


 シリーズで読んでいたら、ダーコーヴァを思い出してしまいました。
 あれも、シリーズの体を成してますけど、時代や場所が作品ごとにことなって、同じキャラクターでも年齢が違っていたり、子供や子孫、ご先祖サマの活躍が入り乱れてますもんねー。
 ふむふむ。
 わたしは、あーゆー作品が好きなのか。

 とりあえず、今度はキャラをメモりながら『星虫』から再読してみたいと思います。



『鵺姫真話』 岩本隆雄 著
『イーシャの舟』
『ミドリノツキ』上・中・下 巻
 例えば『星虫』は陽の部分の物語だったと思うんですよ。
 で、『鵺姫』は、言ってみれば陰の部分だったかな〜、と。
 単に物語開始時での主人公が置かれた状況を指してそう思っているだけかもしれませんけれど。
 まぁしかし、陰陽……とまでいかなくても、対比させることが出来るような主人公を造形できる岩本センセのイメージはすごいなぁ……と思いました。

 タイムリープものを意識しての数々の伏線の張り方が秀逸で〜。
 それが活かされる段階になると嬉しくなっちゃいます。
 まさるの成長っぷり、イカスなぁ(笑)。
 あの奥歯の……は、読んでるこっちも身を震えさせられるというか。


 『イーシャの舟』は、冒頭からニヤリ、と。
 SDOの代表って、純ですよね?
 微角は、三……ごにょごにょ。
 こういう出会い?があるから、シリーズ物は楽しいというか。
 ただ、そうした楽しみが強くて、物語として好きなのは『鵺姫』のほうかな〜。


 『ミドリノツキ』は星虫シリーズとは異なるシリーズ?なのですけど、根は同じことを描いてるのだと思います。
 で・も!
 わたし的に好きなのは、やっぱり「囚われの姫様を王子が助けに行く話」だったからだと思います!(≧▽≦)
 岩本センセの基本スタイルですよね〜。
 あと、「囚われの城」に王子様が乗り込むに際に使用する移動手段が、自作の飛行機ってのも燃えるぅ!
 皆を共謀者にしたくないから自分一人でやろうとした主人公のもとに、クラスメートたちが「俺も混ぜろよ」的に集まってくるシーン、サイコーッ!
 おまけにイヤなやつだったインテリも、さりげに手を貸してくれるしーッ!
 こういう友情モノには弱いんだーっ!(T▽T)

 ウェブで探した書評の中には、上中下巻に分けたことの弊害みたいなことを指摘したものもあったのですけど、あまり気になりませんでした。
 それよりも、終盤の盛り上げ方が星虫シリーズより弱かったような気がします。
 んでも、3巻構成として考えるとき、上巻と中巻の引き方は見事かなぁ……と思う次第。
 1冊で終わっている内容でありながら、続刊への興味を湧かすという。

 ピュンの言動って、イーシャに似てる気がする……(笑)。


 とにかく、岩本センセはオススメの先生になりましたですよ。
 あと既刊で残っているのは、『鵺姫異聞』でしたか?
 こちらも楽しみです。

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