ズブさんの
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21世紀10年(まがたま80号より)

この文章は、「まがたま80号」(2011年2月発行)に書いた記事を一部なおしたものです。「またがま」とは、私が所属する天文同好会、さいたま☆天文同好会(旧SPGAS)の会報です。なお、さいたま☆天文同好会のサイト内にある「webまがたま」では、まがたま49号(2000年12月発行)以後の記事の一部が紹介されています。

21世紀になって、もう10年が過ぎてしまいました。子どものころ西暦2000年なんてまだ先のことだと思っていたのに、それからもう10年です。昔『北○の拳』という漫画があり、その冒頭に「199X年、世界は核の炎に包まれた」という言葉がありました。描かれた当時は"未来のこと"だったのですが、今や1990年代もずいぶん昔に感じます。幸い、核の炎に包まれることなく2011年になりました。(世界各地で紛争などがあって、決して安心できる状態ではありませんが。) 話がそれましたが、21世紀になってからの10年間にあった天文現象などを思い出しながら書いていきたいと思います。

しし座流星群

なんといっても、2001年11月18/19日のしし座流星群は大きな天文現象でした。流星雨を見ることができたというのは、本当に貴重な経験でした。21世紀最初の年に、21世紀最大の天文現象が起きたと言ってもよいのではないでしょうか。とにかく、好天に恵まれてこの流星群を見ることができたのは幸せでした。

金星の太陽面通過

2004年6月8日に、雲が多い天気ながらも見ることができました。次に見られるのは2012年。もうすぐ見られます。しかし、その次は2117年です。21世紀に2回しかない現象が、21世紀最初の10年とその次の10年に起きるのです。私の長男は2012年には2歳、2117年には107歳ですから、どちらも見る(見て記憶に残す)には厳しい年齢です。そう考えると、非常に貴重な現象のうち既に1回を見ることができたわけです。

皆既日食

21世紀になってからの10年間の間に、皆既日食は何回も起きています。そう考えると決して珍しい現象ではないのでしょうが、見られる場所が狭い場所に限られていることが、皆既日食を見ることを難しくしています。私は2008年8月1日に中国の新疆ウイグル自治区で、皆既日食を見ることができました。日本では2009年の皆既日食のほうが大きな話題になりましたが、そちらは上海まで遠征したものの雨で見ることができず。私にとっては2008年の皆既日食のほうが大きな天文現象となりました。

土星食

2002年3月20日に見られた現象です。土星と月という、非常に分かりやすい天体2つによる天文現象でした。天候にも恵まれ、時刻も20時頃と、見やすい現象でした。なお、2001年10月8日にも土星食がありました。このときは新潟県まで行ったのですが、雲越しにかろうじて見えるか見えないか、という程度でした。

火星の大接近

2003年に火星の大接近がありました。ずいぶんとマスコミにも取り上げられ、「6万年ぶりの大接近」という言い方をよく聞きました。その表現は別にしても、確かに今までになく火星を良く見ることができました。

水星の太陽面通過

上に書いた金星の太陽面通過に比べると、頻度の多い天文現象です。2006年11月9日の現象は、天気もよく、日の出の時点で既に水星が太陽面上にいたのですが、太陽高度が低いうちから良く見えました。2003年5月7日にも水星の太陽面通過がありました。こちらは雲の多い天気でしたが、それなりに見ることができました。

彗星

21世紀になってから私が見た彗星は、リニア彗星池谷・張彗星ニート彗星、マックノート彗星などです。しかし、いずれも1996年に見た百武彗星や1997年に見たヘール・ボップ彗星に及ばない印象です。それだけ、この2つの彗星が素晴らしかったということでしょう。21世紀の次の10年で、それらを凌ぐ彗星が出現することに期待しましょう。

2001年1月1日

21世紀最初の日です。この日、私はオリオン座の写真を撮りました。にじみフィルターを使って撮った写真で、星の色がきれいに写っており、気に入っている写真の1つです。『星ナビ』の2001年4月号に掲載されました。1月1日から1月2日にかけての夜であって、12月31日から1月1日にかけての夜ではありません。ですから"天体観測をしながら世紀を超えた"というわけではありませんが、21世紀になって最初に撮った写真が気に入った写真になった、というのはなんとなく嬉しいものです。

さて、こうして天文のことを振り返るといつも思うことがあります。それは天文(あるいは天体)がいかに人間の影響を受けないか、とうことです。さまざまな社会情勢の変化が早くなり、また気候変動なども議論される時代ですが、天体は人間社会に影響されることなく、ただ淡々と動いています。20世紀最初の10年と21世紀最初の10年で社会情勢は大きく違うはずです。しかし、天体の動きに大きな違いはないと思います。そういう中でたまたま起きた天文現象を見ることができる。こういうところが、天文という趣味の魅力だと私は思うのです。

アップロード:2011.3.24