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「若田光一宇宙飛行士さいたま市帰還報告会」の報告(まがたま77号より)

この文章は、「まがたま77号」(2010年2月発行)に書いた記事を一部なおしたものです。「またがま」とは、私が所属する天文同好会、さいたま☆天文同好会(旧SPGAS)の会報です。なお、さいたま☆天文同好会のサイト内にある「webまがたま」では、まがたま49号(2000年12月発行)以後の記事の一部が紹介されています。

2009年10月25日(日)に「若田光一宇宙飛行士帰還報告会」が大宮のソニックシティホールで開催されました。簡単ですが、"報告会の報告"を書きたいと思います。

報告会は、15:30開場16:30開演というスケジュールでした。私は15:10頃に着いたのですが、すでにホールの外まで長い行列ができていました。人気の高さがうかがえます。それでも前から9列目という、なかなか良い席に座ることができました。スタッフも大勢いて、この報告会に対する意気込みを感じました。報道関係者もかなり来ていたようです。席に座ってから開演までまだ時間がありましたが、開演時間が近づくにつれてホールは満員になっていきました。ステージ上にはスペースシャトルと宇宙服の模型が置かれていました。

開演となり、司会の方の紹介で若田さんが入場されたのですが、ステージの"袖"からではなく、客席の後ろの扉からの入場でした。通路際の客からの握手にも軽く応じていたようで、この辺りから若田さんの人柄が感じられました。

最初に、若田さんからさいたま市長である清水市長にプレゼンテーションボードなるものが渡され、また若田さんと一緒に宇宙に滞在したというDVDも返還されました。これには証明書も付いているとのことでした。

スライドを交えての若田さんの話はとても面白いものばかりでした。記憶に残っている話を、断片的ですが紹介したいと思います。

若田さんは「いろいろなチームの人々と一緒に仕事をした。」ということを特に強調していたように思います。ニュースなどで、「日本人宇宙飛行士がNASAのスペースシャトルで宇宙に行く」という話を聞くと、宇宙飛行士はアメリカ人と日本人ばかりのように錯覚してしまいます。(少なくとも私は、なんとなくそう思っていました。)実際には、さまざまな国の宇宙飛行士がスペースシャトルに乗っていて、若田さんもロシア、カナダ、ベルギーなどからの宇宙飛行士と一緒に宇宙に行ったとのことでした。また、地上では、つくば、モスクワ、ミュンヘン、ヒューストンなどのスタッフに支えられたと話していました。

それから、若田さんは宇宙でトレーニングをすることで、筋力の低下を抑えたということでした。自転車やルームランナーなどもあり、毎日2時間運動をしたと話していました。骨の密度を低下させないことが大切で、特に背骨に負荷がかかる運動が大切だとのことでした。地球に帰ってきてすぐに歩けたことに驚いた、とも言っていました。

また、宇宙から撮った写真も巣晴らしかったです。富士山の写真、九州から四国にかけての日本の写真、火山の噴火の写真などが紹介されました。昼間の地球を見ると自然の大きさを感じる、というようなことを話していたと思います。一方、夜の地球を見ると街明かりがよく見え、人間が地球を支配していると錯覚しそうだ、とも言っていました。 ほかには、“一人で野球ができる”というのも面白い話でした。自分でボールを投げ、そのボールを追い越して先に行って、ボールを待ち構えて打つ、というものです。無重力なので、ゆっくりしたボールを投げても落ちずに空中を進みますから、そのボールを追い越して待ち構えることが可能なのです。

講演の後には、質問コーナーがありました。質問者のところまで若田さん自らがマイクを持って行き、質問に答えるというあたりも、素晴らしいサービス精神です。宇宙飛行士には体力も必要とは言え、結構な広さのホール、それも階段状になっている客席です。かなり走ったのではないでしょうか。それでも、息が切れていないところもさすがです。

この質問コーナーで記憶に残っているのは、「宇宙で困ること何ですか?」という質問です。その答えは、「物が無くなった時に困る。」というものでした。地球上ならば“下を見ると落ちている”ことが多いけれど、無重力なので下には落ちていないというのです。そういうときには、“空気の循環のための吸い込み口”付近に行ってみるそうです。それでも、なかなか見つからないことも多いのだそうですが。 それから、「大気圏突入の際はどんな感じですか?」という質問もありました。NASAでは、高度130kmを大気圏突入高度としているそうです。しかし実際には高度130kmではまだまだ空気が薄く、乗員は特に変化を感じないとのことでした。もっと高度が下がって空気が濃くなり、摩擦が増えると振動などが激しくなるそうです。

帰り際にはテレビのインタビューを受けている子どももいました。感想を尋ねられたのでしょうか。この手のニュースはNHKの首都圏ニュース845で流れることが多いように思うのですが、残念ながら見逃してしまいました。

今回の報告会で、若田さんが、単に“長期滞在した宇宙飛行士”というだけでなく、人柄の良さ、サービス精神といったものを持っている方なのだと感じました。このような方が、埼玉県の出身であるということを改めて嬉しく思いました。

アップロード:2010.4.3