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星はすばる、歌も昴?(まがたま74号より)

この文章は、「まがたま74号」(2009年1月発行)に書いた記事を一部なおしたものです。「またがま」とは、私が所属する天文同好会、さいたま☆天文同好会(旧SPGAS)の会報です。なお、さいたま☆天文同好会のサイト内にある「webまがたま」では、まがたま49号(2000年12月発行)以後の記事の一部が紹介されています。

「今回の特集は『すばる』です。」と聞いて最初に思い浮かんだのは『枕草子』でした。枕草子は言わずと知れた清少納言による随筆で、平安時代に書かれたものです。清少納言は枕草子の中で、星はすばると書いています。意味としては、星はすばるがよいということになります。 この部分は知っていたのですが、続きを調べようとしたところ、面白い話を見つけました。それは、実は清少納言は実際の星を見たわけではなく、書物に書かれている中から語感で選んだ星をここに挙げたのではないかという説です。「星はすばる」の一節全体は、

星はすばる。ひこぼし。ゆふづづ。よばひぼしすこしをかし。尾だになからましかば、まいて。

となります。意味は、星といえば、まずはすばるがよい。彦星や宵の明星もいい。流れ星も興味深い。でも尾がなければもっといいのに。といった感じになります。確かに、最初にすばるが出てくるのはいいとして、他の星の選び方がちぐはぐな感じもします。それにシリウスやオリオンなどもっと目立つと思われる星も登場しません。あるいは、実際の星を見ていたとすれば、清少納言の感性ではシリウスやオリオンは派手すぎたのでしょうか?

古典の話はこれくらいにして、もうひとつ思い浮かんだ『すばる』がありました。それは、谷村新司の歌『昴』です。以前、SPGAS(現「さいたま☆天文同好会」)で「天文に関係のある歌しか歌ってはいけない」というルールでカラオケをやったことが何度かありました。『昴』もたぶん誰かが歌ったでしょうが、具体的な天体の固有名が歌詞に登場する歌は多くありません。すばるが登場する歌は『昴』だけかと思っていたら、もうひとつ見つけました。それは中島みゆきの『地上の星』です。

こんなことを考えているうちに、天文に関連のある歌を探してみようと思いました。天文に関係がある歌と言っても、歌詞に登場する言葉は「星」や「流星」のように具体的な天体名でないものや、「太陽」や「月」といった簡単なものがほとんどです。しかし中には"マニア向け"な言葉が登場する歌もあります。私の偏った狭い知識の範囲で思いついたりしたものですが、タイトルや天文に関係する部分を引用しつつ、適当なコメントも書いて紹介したいと思います。

1 具体的な天文現象が歌詞に登場する歌

2 具体的な天体名が複数、歌詞に登場する歌

3 具体的な天体名が1つ歌詞に登場する歌

4 とにかく歌詞に天文に関する言葉が登場する歌

最後は思いつくまま適当に挙げてしまい、だいぶ『すばる』からそれてしまいました。単に「星」や「月」といった単語が出てくる歌ならばかなりの数があると思いますし、歌詞の中に具体的な天体名が登場する歌もいくつか見つかりました。しかし、具体的な天体名、しかも星座や惑星ではなく星団の名前である『昴』がそのまま歌のタイトルになっているのは、やはり珍しいことだと思いました。

さて、ここに挙げた中で私が一番好きな歌というと、「ジャコビニ彗星の日」と悩みますが、「地上の星」でしょうか。NHKの番組「プロジェクトX」のために作られたという歌で、あの番組によく合っていました。 天文マニアとして面白いのは、『1989渋滞(ラッシュ)』でしょうか。歌自体も有名でないところが、よけいにマニアっぽい気がします。また、日食・月食や流星群などよりも金星食が世間の話題に上ることは少なく、その点でもマニア向けっぽい気がします。

ということで、清少納言は「星はすばる」と書いていますが、私の場合「歌は昴」とはならない結果でした。(『昴』もいい歌ですけどね。)

アップロード:2009.8.10