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天文と車(まがたま70号より)

この文章は、「まがたま70号」(2007年9月発行)に書いた記事を一部なおしたものです。「またがま」とは、私が所属する天文同好会、さいたま☆天文同好会(旧SPGAS)の会報です。なお、さいたま☆天文同好会のサイト内にある「webまがたま」では、まがたま49号(2000年12月発行)以後の記事の一部が紹介されています。

今回の特集は『天文と車』。例会のときに、「『車』の解釈は各自の自由ですよね。例えば『歯車』も『車』ですけど・・・」という感じの会話をした記憶がありますが、普通に『自動車』のことを書こうと思います。

今の自分にとって、天文活動にマイカーを使うことは当たり前になっています。様々な機材を運び、公共交通機関の利便性が悪い場所へ、それも夜に行こうというのですから、マイカーは必需品です。

しかし思い返してみると、天文活動にマイカーを使うのが当たり前なのではなく、マイカーを使えるようになってから満足な天文活動ができるようになったと言えるかもしれません。

高校生までは自動車の運転ができるはずもなく、私の両親も天文に興味はありませんから連れていってくれるようなこともありませんでした。その頃は、「本には、『アンドロメダ星雲は肉眼でも見え、双眼鏡ならば簡単に見える』と書いてあるけれど、自分は視力が悪いから見えないんだなあ」と思っていました。実際は、空の暗いところへ行く移動手段がなかったことが大きな要因だったのですが。

大学生になると、運転免許は取りましたが、アパート暮らしの学生に自動車を持つ余裕はありませんでした。しかし大学の天文同好会には、自宅から通学していて親の自動車を使わせてもらえるという学生も幾人かいました。そういう人の自動車にみんなで乗って天体観測に出かけていきました。3人+機材くらいだと余裕があって良いのですが、時には5人で1台の自動車に乗り、後部座席の3人のひざの上に反射望遠鏡の鏡筒を乗せていったこともありました。そういうハードな環境には今では耐えられないと思います。当時は若さとみんなで出かける楽しさとで、その環境を乗りきっていたのでしょう。

自動車を出せる学生がいるかどうかはそのときの状況次第でした。親が自動車を使うから出せないとか、自動車を使わせてもらえる学生本人の用事があって出かけられないということもありました。そんな時にはレンタカーを借りて観測に出かけたこともありました。

ところでレンタカーで思い出したのですが、学生のころ、天文同好会の仲間とニュージーランドに行きました。機材を持っての移動になりますし、夜の観測のためにも移動する必要がありますから、ニュージーランドでレンタカーを借りました。日本と同じ左側通行で運転しやすかったこと、道が非常に空いていたことなどを覚えています。

学生のころは思うように自動車を出せませんでしたので、1回だけ、ポータブル赤道儀を大きなリュックの中に入れて、電車とバスで奥日光の戦場ヶ原に行ったことがありました。そのときの話はまがたま61号の中で「闇夜の犬、闇夜の猫、闇夜の人間」に書いたのですが、やはり暗い中で逃げ込めるような囲まれた空間がないというのは心細いものです。このときは特に、自動車が必要だと感じました。

自動車は、仮に近い場所への移動であっても、荷物を運ぶという点で必要性があります。学生のころ、アパートのベランダからでは空の見える範囲に限りがあるので、近くの川原まで行ったことがありました。そのときは“自転車”で行ったのですが、後ろの荷台に三脚を括りつけ、前のかごには赤道儀を入れ、口径6cmの望遠鏡と付属品をリュックに入れて背負っていきました。それでも徒歩で行くよりはかなり楽ですが、運べる荷物の量はほぼ限界でした。シュミカセを持っていくことはできませんでした。

社会人になり自分の自動車を使えるようになると、行動力が違います。例えば、「もうひとつのオリオンとシリウス」の写真を撮ったときは、同じ場所に何度か行きました。水面が穏やかでないと撮れない写真なのですが、現場に着いてみたら意外と水面が波立っていて撮影を諦めたことがあったからです。夜ならば家から1時間ちょっとで行ける場所ですが、さすがに人に自動車に出してもらって、また今日も、また今日も・・・、というわけにはいきません。自分で運転していくからこそ、何度も通えたのです。

話が変わりますが、出かけた先であった自動車に関するトラブルを2つ思い出しました。

一つ目は、まだ学生だったころかもしれません。場所は福島県の浄土平でした。自動車のエンジンをかけようとした友達が、「エンジンがかからなくなった。」と言い出したのです。別の自動車を寄せてバッテリーをつなぎましたがそれでもかかりません。「あーでもない、こーでもない」と1時間くらいやっていたでしょうか。ある一人が「ギヤ、ドライブになってないよね?」といいました。すると自動車の持ち主は、「ああっ!、ごめーん」と言ったのです。まあ、JAFを呼ぶ前に気づき、大ごとにならずに済んで良かったです。

もう一つは、自動車に締め出されてしまったという事件です。これは麦草峠でのことでした。ある後輩の自動車は「キーレスエントリー」でした。鍵を差して回さなくても、鍵についているボタンを押せばリモコンで施錠と開錠ができるというやつで、今では当たり前の機能です。その後輩は、暖房を効かせるためにエンジンをかけたまま自動車から降りました。当然、鍵は自動車の中にありました。ところがそのときリモコンの調子が悪かったそうで、なんと、勝手に動作してロックされてしまったのです。このときは結局JAFを呼んで開けてもらいました。夜中の峠まで呼んでしまい申し訳ないことをしましたが、おかげで助かりました。エンジンがかかりっぱなしなのでうっかりするとガス欠になる状況でしたが、そこまでにはなりませんでした。

これくらいのトラブルは、思い出せば笑い話程度で済みますが、自動車には事故という危険もあります。雪道を甘くみて滑りそうになったこともありました。夕立にあってフロントガラスが急激に曇り、前が見えなくなり慌てて止まったこともありました。このようにヒヤッとしたことが何度かあります。幸いに今まで無事故無違反で済んでいますが、気をつけないといけないと改めて思います。

ちょうど10万kmを記録した自動車のメーター

取り止めのない話になってしまいましたが、最後に今乗っている自動車の話を。今乗っている自動車の走行距離が、先日10万kmを突破しました。10万kmを達成したのは街中に出かけてちょうど帰ってきたときで、天文観測の道中ではありませんでした。せっかくなのでそのときメーターの写真を撮ったのものが、右の写真です。およそ10年で10万km、なかなかいいペースだと思います。そろそろ次の自動車を考えなくては、と思っています。次は環境にも配慮した自動車で、天文活動にも便利な自動車がいいなあ。

アップロード:2008.2.24