ズブさんの
アイデア天体
写真館

もくじ

無いほうがいい雪、有るほうがいい雪(まがたま65号より)

この文章は、「まがたま65号」(2006年1月発行)に書いた記事を一部なおしたものです。「またがま」とは、私が所属する天文同好会、さいたま☆天文同好会(旧SPGAS)の会報です。なお、さいたま☆天文同好会のサイト内にある「webまがたま」では、まがたま49号(2000年12月発行)以後の記事の一部が紹介されています。

天文という趣味、特に天体写真を撮るという趣味をやっていると、冬の山に車で行くこともあります。関東はあまり雪が降りませんので、その周辺の山も豪雪地帯というわけではありません。しかし一度雪が降ると、標高が高い場所では、平野と違ってなかなか雪が溶けません。そのため、冬に写真撮影に行くときは、途中からタイヤチェーンを装着して車を走らせることもあります。私は、箱根、富士山のふもと、秩父、日光、茨城県北部などでチェーンをつけて走った記憶があります。

タイヤチェーンを装着するのはなかなか面倒な作業です。私が一番初めに買ったチェーンは、昔ながらの金属性の鎖のチェーンでした。一番安くて収納場所をとらないものを選んだのですが、この装着はかなりの手間です。金属製のチェーンは、本来ジャッキアップして取り付けるものだと思いますが、ジャッキアップは相当な手間です。そこで、プラスチック製の "チェーン取り付け補助具" が売られています。しかし、これを使っても大変な作業です。この補助具をタイヤの前に置き、そこにチェーンを敷きます。そして車を移動してその補助具の上にタイヤを乗せるのですが、狙った位置にタイヤを乗せるというのはけっこう難しいものです。まして、ちょっと坂になっていたりすると相当な苦労をします。さらに、天体写真の撮影に行く場合、夜に走っていることが多いので、当然チェーンの装着作業も夜に行うことになります。うまいこと外灯などの下で作業ができれば良いのですが、そうそう都合のいい場所はありません。また、金属製のチェーンは、装着時の振動がかなりあります。

とまあ、面倒なものですが、つい面倒がって、「このくらいの雪なら大丈夫だろう。」「雪があるのはここだけで、この先はまた雪がないんじゃないか?」と思ってタイヤチェーンを付けるのを怠ると大変なことになります。そんな訳で、「やっぱり取り付けが楽なチェーンがいいな」と思っていたところ、以前の職場の人が、「使わなくなったゴム製のタイヤチェーンがあって、タイヤの大きさも合うはず」と、チェーンをくれたのです。ということで、現在はもらいもののゴム製のチェーンを使っています。金属製のチェーンに比べれば、装着もかなり楽にできますし、走行時の振動も少なめです。しかし、チェーンをタイヤにかぶせた後、タイヤをちょっと移動させなくてはなりません。最近のチェーンの中には、タイヤの移動をせずに装着できるタイプのものもあるようで、いいなあ〜と思っています。

タイヤチェーンの話が長くなってしまいましたが、写真を撮りに行ったなかで特に雪が多くて記憶に残っていることの一つに、「富士山とこぐま座」の写真を撮影した時のことがあります。(まがたま61号の「スローモーション君」で解説した写真です。)撮影したのは1月でした。撮影地は西臼塚駐車場です。ここは富士山の南側に位置し、冬でも、必ずしも雪があるというわけではありません。しかし、このときは撮影に行った1週間ほど前に、首都圏でもまとまった雪が降ったのです。平野ではすぐに溶けてしまう雪でも、標高が高いとなかなか溶けません。どの程度残っているのかと思いながら行ってみると、御殿場市内は道路に雪はなく、チェーンをつけずに走れました。しかし、富士山のすそを登り始めるとすぐに雪が現れました。早速チェーンを着けて走りました。

目的地の西臼塚駐車場に着いてみると、駐車場は一面の雪でした。まあ、雪がたくさん残っているのはしょうがないと思い、雪の上で三脚や赤道儀をセッティングして撮影をしました。とにかく非常に寒かったのですが、このときのことが印象に残っているのは、びっくりしたことがあったからです。それは、カップラーメンを食べようとしたときに起きました。自動車の後部座席に置いておいたペットボトルの水を、鍋に入れたらパキパキッという音がして、凍ってしまったのです。気温が低かったので、車の中に置いておいたとはいえ、過冷却に近い状態だったのかもしれません。とにかく、驚きました。その後、鍋を火にかけ、ちゃんとお湯を沸かすことはでき、カップラーメンは無事食べられました。もっともこの話は、気温が低ければ雪のあるなしに関係なく起きることですが・・・。

撮影地までの道のりや撮影の作業にとって、雪はやっかいものですが、雪があったほうがいいこともあります。それは風景としての雪です。上記の「富士山とこぐま座」を含め、富士山と星の写真を撮ることも多いのですが、富士山には雪がかぶっていたほうが、富士山らしくて良いと思っています。富士山の雪がまったく消えるのは夏の短い期間で、あとは雪をかぶっています。特に冬は関東各地からも富士山が見えることが多く、冬に見る富士山の印象が強いのか、富士山は雪をかぶっているものというイメージがあります。富士山でなくても、星景写真を撮るときは、山に雪があった方がよいものです。なぜならば、わずかな明かりでも雪のおかげで山がよく写るからです。もっとも、改めて見直したところ、私は富士山以外の山を入れた星景写真はあまり撮っていませんでしたが・・・。

雪が無いほうが良かったり、あったほうが良かったり、なかなか難しいものです。いずれにしても、雪のあるなしは自然のこと。思うようには行きませんが、安全には気をつけなくてはいけませんね。

アップロード:2007.3.25