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Soft Rock
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PRESENT TENSE PRESENT TENSE / SAGITTARIUS

 ソフトロック定番のひとつ。実体のないグループの作品。CURT BOETTCHERがいたBALLROOMのデモテープをもとにCURTとGARY USHERがまとめ上げたもの。ジャケも姿勢正しく弓を射る黒いGARYと斜に構えている白いCURTが半身ずつ。私が持っているのは1997年にSUNDAZEDから出た全20曲入りのもの。元になったBALLROOMのデモも「PREPARING FOR THE MILLENNIUM/THE BALLROOM」のタイトルで日の目を見ています。

 あのMILLENNIUMと録音時期が重なり、ペアで再発されたりしてましたが、どちらも渦巻くコーラスアレンジを堪能できる作品。MILLENNIUMに比べると内向的でよりソフト・サイケぽくややくぐもった印象。さわやかな部分はない。このあたりはGARY USHERの関与度の違いかもしれません。

 また、MILLENNIUMはメンバーが作品を持ち寄ってましたが、こちらはCURTが作曲(共作も多いけど)した曲が多く、彼による内向的ながら繊細で瑞々しいメロディーを聴くことが出来ます。美しく浮遊感のある「ANOTHER TIME」、ASSOCIATIONのGARY ALEXANDERと共作したキャッチーな「WOULD YOU LIKE TO GO」(♪MADE IN JAPAN〜という歌詞のところが最高)、おセンチな「MUSTY DUSTY」など。それは職業作曲家のペンによる「HOTEL INDISCREET」やIVY LEAGUEのカバー「MY WORLD FELL DOWN」といった、いかにもプロっぽい曲と比べるとはっきり際だちます。(2000/10/29)



FINDERS KEEPERS FINDERS KEEPERS / SALT WATER TAFFY

 VANDA編集の「Soft Rock A to Z」で五つ星トップを飾っていたソフト・ロックの超有名盤。かなり長い間割高なコピーCDが相当数出回ったり、アナログで再発されていましたが、やっと正規盤CDがでました。これで主なソフト・ロック名盤はすべてCDになってしまったのでは。

 いまいちユルいリズムセクション上に、ANDERS&PONCIAばりのドリーミーなメロディーが乗っかり、いかにもソフトロックの典型ぽい女声ボーカルとの絡みとコーラスとがアレンジされています。そして最も印象的なのは、程良い湯加減(?)な、ゆるやかなホーン類が全体をくるんでいる事。この正規盤CDでも音質が良くないけれど、その方がこのダラリと甘いお菓子のようなポップスを引き立てていると思います。

 1曲目「FINDERS KEEPERS」はいくつかのコンピ盤に収録されてましたが、この曲のみ子供コーラスあり。 3曲目「THE GIRL IS BROKEN」4曲目「I'LL ALWAYS BE TRUE TO YOU」5曲目「HE'S STILL IN MY HEART」あたりは女声ボーカルがメインだし、ややクールで、INNER DIALOGUEも思わせる。6曲目「YOU BABY」はスペクターサウンドのカバーですが、ホーンの洪水が気持ち良い。7曲目「STICKS AND STONES」はタイトル曲と同路線。9曲目「SUDDENLY I SEE」はソフト・ロックのアルバムに必ず1曲ある(ありがちな)、ボサ調。10曲目「LOVE DON'T KEEP ME WAITING」11曲目「HE'LL PAY」は切ない曲調が続く。12曲目の明るめな「I'LL GET ALONG SOMEHOW」でアルバム本編は締められる。

 ボーナストラックとしてシングルオンリーの2曲が入っており貴重だけど、派手めアレンジで、アルバム本編のカラーとは異なる。(2003/02/16)



FALLING TO PIECES FALLING TO PIECES / SANDY SALISBURY

 元MILLENNIUMの彼の、TOGETHERレコード時代の未発表ソロアルバム「SANDY」に続く未発表曲集。1967-1969にかけてと、1969年の「SANDY」より以前の録音。バックはほとんどMILLENNIUMの仲間で固められている。先の「SANDY」はお蔵入りになったアルバムの復刻でしたが、こちらは散らばっていた音源を集めたという事ですね。音質はデモテープなみでシャリシャリしたものもあり、サウンド・プロダクションがもっとしっかりしていればな、という曲もあるが、曲そのものの出来はどれも良い。彼の明るくて健康的でピースフルな世界を楽しむことが出来ます。

 先頭の「FALLING TO PIECES」からして彼らしい甘くて柑橘系なメロディー。シャッフル調の「A LITTLE BIT OF LOVE」はTHEE PROPHETSによるバージョンがコンピ盤「MELODIES FOR YOU」に収められている。「SO CLOSE TO HEAVEN」「HERE COMES THAT FEELING」は主旋では抑えめで、サビではハイトーンなボーカルを聴かせる爽やかな作品。「BRING ME ON BACK HOME AGAIN」「TOMORROW」あたりはCURT BOETCHERの影を感じる。

 先の「SANDY」でもハイライトだった「DO UNTIL OTHERS」はここではラフながら勢いを感じさせる仕上がり。SAGITTARIUS「PRESENT TENSE」のボーナストラックとして収録されていた「LONELY GIRL」は、こちらの方がスローでメロディーの甘酸っぱさを堪能できます。(2000/12/24)



SANDY SANDY / SANDY SALISBURY

 MILLENNIUMのメンバー中で最もキャッチーなメロディーを書く能力を持つといわれている、SANDY SALISBURYの未発表ソロアルバムの待望のCD化。MILLENNIUM解散後にCURT BOETCHERが作ったTOGETHERレコード時代の作品集。プロデュースはCURT BOETCHERとKEITH OLSEN、一部はGARY USERも、とMILLENNIUM人脈で製作されている。

 先に出たCURT BOETCHERの未発表曲集「MISTY MIRAGE」と繋がるというかほぼ同じ明るくてトロピカルな感触。製作陣、時期、レコード会社が同じなので当然ですが。ただ、繊細なCURTと違い、SANDYの方はひたすら屈託がない。ハワイ育ちというのも納得。

 先頭曲「I JUST DON'T KNOW HOW TO SAY GOODBYE」で最後にコーラスが渦巻くのはCURT BOETCHERプロデュースらしい。その他、SANDYが大好きだったというFREETWOODSのアカペラ調カバー「COME SOFTLY」、BEACH BOYSの「WITH ME TONIGHT」を健康的にカバーして改題した「ON AND ON SHE GOES」、TOGETHERからのデビューシングルでもあり、ファルセットが爽快な「DO UNTO OTHERS」、サビで盛り上がる「BABY LISTEN」や珍しくしっとりとした「EVERY MINUTE OF LIFE」あたりが聴きもの。

 ジャケットでの彼の笑顔そのままに、爽やかで童心をも感じさせる曲ばかり。ライナーノーツに添えられた彼の文章も素直。マスターテープに傷みがあったのではという箇所もあるが、気候の良い日に聴けばより一層、理屈抜きにリラックスできる一枚。(2000/08/19)



WITHOUT RHYME OR REASON WITHOUT RHYME OR REASON/SPANKY AND OUR GANG

 「想い出の日曜日」のヒットで有名な彼らの3作目。眼がつぶれんばかりの原色を使った、意匠は感じるがカッコ良くないジャケット。このジャケットのイメージそのままの派手で下世話までのポップさに溢れた一枚。

 ラグタイムやボードヴィルなど、アメリカ音楽のノスタルジックな部分にリスペクトしていたグループだったそうですが、本作では当時としてはモダンないわゆるソフトロック的な色彩が強い。とにかく、コーラスが幾重にも折り重なる高水準な楽曲の連打には圧倒される。特に、「GIVE A DAMN」や「SINCE YOU'VE GONE」、「YESTERDAY'S RAIN」などは分厚いサウンドプロダクションでFIFTH DIMENTIONにも迫る完成度。

 曲を繋げたトータルコンセプトアルバム風のつくりはソフトロックではめずらしい。大体この手のグループではアルバムは曲の寄せ集めというのが多いですからね。突飛な連想ですが、なあんとなくSOFT MACHINEの2ndを思い起こさせます。曲がつながってたり、ある曲のテーマが他の曲にも顔を出したり、ほどほどにユーモアとジャズぽさがあるとこなどは、そう思ってしまいます。(2000/01/30)



LIKE TO GET TO KNOW YOU LIKE TO GET TO KNOW YOU/SPANKY AND OUR GANG

 地味という評判の彼らの2作目。確かに1作目のような大ヒット曲はなく、3作目のような判りやすさはない。ともかく、ジャケットのイメージにも通じる落ち着いた音像です。

 現在彼らを好んで聴いているのは、ソフトロックとして聴いている人達と、それ以前から聴いている、例えば大瀧詠一や大貫妙子等から影響されて、ノスタルジックでドリーミーなアメリカ音楽が好きな人達に分かれていると思います。後者にとっては3枚目よりこの2枚目の方がお好みでしょう。

 なかでも、「EVERYBODY'S TALKING」で始まり「STARDUST」で〆られるB面のメドレーはなかなかドリーミーな感触。でもソフトロックとして聴いている人達には、イージーリスニング的で聴き流してしまい、あまり印象に残らないでしょう。そういう人達にとっては、シリアスな1曲めの「THE SWINGIN'GATE」とシングル曲でもある「SUNDAY MORNIN'」を含むA面にあたる部分が耳に残ると思います。

 3作目と同じように2曲めで女性(スパンキー)ボーカルのソロによるブルース曲がありますが、この彼女の声質にはあわないと思います。

 地味だけどストーリー性のあるジャケット。内ジャケットのパレードの写真はまるでミュージカル映画の1シーンのようです。(2000/01/30)



THE VERY BEST OF / THE SPIRAL STARECASE THE VERY BEST OF / THE SPIRAL STARECASE

 シングル曲のみ10曲を収めたベスト盤。太くソウルフルでもあるが、ハイトーンの爽快なボーカルが彼らの売り物。なんと収録時間が26分程という短さ。オリジナルアルバムが1枚きりなので、全曲集にも出来たのではと思います。ただ、音は良い。特にホーンセクションはふくよかな音です。

 GARY USHERのもとからデビューですが、そのデビュー曲である1曲めはBEACH BOYSの「DARLIN」を思わせるます。BEACH BOYSのなかでCARL WILSONが持っていた、サーフィン/ホットロッドのソウルぽい部分を感じます。いちおうコーラスもあるし。

 3枚めのシングルからはGARY USHERのもとを離れ、GARY USHERに勧められたという、ボーカルPAT UPTONのオリジナル曲が中心になる。コーラスも殆どなく彼のソロ作品のよう。そのオリジナルの出来もなかなか。ボーカルが自分の声域に合わせて曲を自作していたからと思われる。

 この髪型におそろいのスーツがR&Bグループのようですが、あと10年先だったらディスコものを演っていたかもしれません。80年代にはもっとも非ロック的なグループに見えていたでしょう。ソフトロックのブームがなければまったく過去の堆積層に埋もれていたグループかもしれません。

 この才能あるボーカリストがその後シーンで活躍しなかったのは意外な気もします。オールディーズ・サーキットで営業に明け暮れていたそうですが。(2000/07/08)



THE BEST OF / THE SUNSHINE COMPANY THE BEST OF / THE SUNSHINE COMPANY

 ママス&パパス・フォロワーのひとつ。これは2001年に出た22曲収録のベスト盤。彼等の曲は30数曲しかないのに、1999年に出た別のベスト盤とは半分ほど選曲が違うらしい。

 あか抜けないとVANDA誌からは結構ネガティブな評価を受けてますが、たしかにソフト・ロックなグループ名の割には音の質感が地味で、たそがれた雰囲気もあり、ややダウナーな印象もあります。しかし男女混声でコーラスたっぷり、出来はともかくロジャー・ニコルスやカート・ベッチャーの曲など選曲のセンスは良く、聴きやすい。派手なアレンジがないためか、いくつか曲ではゆったりとした清冽さというか、セイクリッドともいえる空気も感じられます。表面上は地味でもスピリチュアル的には盛り上がっているということでしょうか。

 3曲目「BACK ON THE STREET AGAIN」は彼等最大のヒット曲、といっても36位ですが、一番耳に残る。6曲目「I NEED YOU」は、数あるビートルズの曲で、よりによって地味なジョージ・ハリソン作のこの曲を選ぶのは地味な彼等らしいが、意外に出来は良い。このベスト盤には収録されてないが「RAIN」もカバーしていたとのこと。その他印象に残ったのは、ファズ・ギターが淡々とバックで鳴りながらもメロディアスな8曲目「FOUR IN THE MORNIN'」。後半はTWICE AS MUCH風の展開をみせる9曲目「WARM IN MY HEART」。女性がソロをとる12曲目「LOVE, THAT'S WHERE IT IS」。CURT BOETTCHER作の16曲目「IF YOU ONLY KNEW」はシンプルだが美しい。暗めだがゆったりとした20曲目「SPRINGTIME MEADOWS」といったところ。(2003/05/04)



THE BEST PART OF THE SYMBOLS THE BEST PART OF THE SYMBOLS / THE SYMBOLS

 FOUR SEASONSタイプの英ハーモニー・ポップグループ。1968年に出た、シングル曲を収録したアルバムに当時未発表曲を大量に収録したCD。「(THE BEST PART OF) BREAKING UP」はガレージ風味、「AGAIN」はサイケ・ポップな演奏だが、それ以外はハーモニー・ポップ/ソフト・ロックに分類するにはやや前時代的な音圧が高いホーン、モータウンのように低く太いベースが特徴。カバー曲が多いが、出来はどれも良く、安心して聴けます。(2004/10/03)