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Soft Rock
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THEY'RE IN TOWN THEY'RE IN TOWN / ROCKIN' BERRIES

 「HE'S IN TOWN」のヒットで有名な彼らが、60年代にPYE/PICCADILLYに残した音源のコンプリート。彼らにはこれ以前にDECCAでの音源があり、また70年代に再結成もしている。本盤は2枚のLP収録曲、EP、シングル収録曲、未発表曲からなる全58曲、全演奏時間は150分を超えるボリュームですが、その割には軽く聴き流せる事ができます。

 かつてレコード・コレクターズ誌のマージービート特集でピーター・バラカン氏に「バーミンガムのロッキン・ベリーズもダッサいグループだった。」と一蹴されていたグループ。私が最初に彼らを知ったのがその記事だったのですが、その後小松崎さんや加藤さんが編集したPYEのコンピ盤に収録された代表曲「HE'S IN TOWN」を聞いて印象が激変しました。TOKENSのオリジナルは未聴なのですが、少なくとも彼らの痛切なファルセットは、聴く者の胸を熱くさせてくれます。また、そのファルセット担当のGEOFF TURTONは脱退後のソロ作(JEFFERSON名義)もソフト・ロック的には名作扱いされています。

 周りを見渡しても「ソフト・ロック史観」によって再評価されたグループという感じがします。確かに「ハーマンズ・ハミッツだと昔は良かったなぁって思っちゃうけど、ゼムの「グローリア」聞くと、明日もがんばって生きようっ、ということになるよね。」という人達には合わないでしょう。

 ただ、レーベルメイトだったIVY LEAGUEに比べてオリジナルが殆ど無いし、いいなと思う曲は有名アーティストのカバーばかり。先の「HE'S IN TOWN」もGOFFIN/KING作品だし。IVY LEAGUEの曲もよくカバーしてます。それにIVY LEAGUEより低年齢層向けという印象もあります。それで評価が低かったのでしょう。でもカバーもオリジナルに遜色なく、聴きやすく仕上げてるのはさすがです。

 初期のシングルやファーストアルバムの楽曲はまだ彼らの出自が明白な、R&Bやビート・グループ然としたものが多い。それ以降の曲の方が、路線が固まってきたせいかソフト・ロックとして安心して聴けます。ただし、セカンドアルバムはクリスマス向けのコーラスを生かした曲とノベルティとが混じっている変わった構成。

 本盤の収録曲中、シングル曲など美味しいところはRIPPLES等のコンピ盤シリーズでだいたい押さえられてますが、その他ではTRAFFIC結成以前のDAVE MASONとJIM CAPALDIによる「SHADE OF BLUE」や、「FOLLOW ME」や、DR. JOHNで有名な「IKO IKO」に耳を引かれます。ファルセットを堪能できる「ALL I WANT IS MY BABY」はFOUR SEASONS風ですが、作者OLDHAM/RICHARDSとは、たぶんストーンズのマネージャーとギタリストのことだと思います。「YELLOW RAINBOW」はROY WOODの曲とのことですが、MOVEでのバージョンとメロディーが全然違うし、ベタな主旋だし、イントロの逆回転ないし、同じ曲とは思えません。(2000/11/26)



WE'VE ONLY JUST BEGUN WE'VE ONLY JUST BEGUN / ROGER NICHOLS AND PAUL WILLIAMS

 ソフト・ロック界のVIPの一人、ROGER NICHOLSとその相棒PAUL WILLIAMSがレコード会社へ売り込みのため作成したデモアルバムのCD化。存在はソフト・ロック界では有名ながら、一般には発売されたなかったこのアルバム、当然LPは高価。これがCD化によって税抜2233円で入手できるのだからラッキー。

 それにしても曲の出来自体が良いせいか、シンプルなアレンジのままでもデモながら立派に商品としても成立しています。結果的にこの驚異のデモのおかげで、表題曲がCARPENTERSに採用されるなど彼らが有名な作詞作曲のコンビになったのも納得。収録曲のなかでは、1曲目なのに唯一誰にも採用されなかった「AFTER ALL」、PAUL WILLIAMSの正規録音が存在しない人気曲「DRIFTER」が特に貴重。

 ただ、PAUL WILLIAMSの「SOMEDAY MAN」のとこでも書きましたが、個人的にはPAUL WILLIAMSのしみじみした歌い方は好みではないし、それによって「爽快さ」「軽快さ」が損なわれているという意味で、ROGER NICHOLSが作ったせっかくの珠玉のメロディーのソフト・ロック度を低めていると思う。まあ、これはほんと好みの問題ですが。(2002/01/14)



THE COMPLETE ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS THE COMPLETE ROGER NICHOLS & THE SMALL CIRCLE OF FRIENDS

 知ってる人なら絶対知っている、ソフト・ロックを代表する作品。アレンジもコーラスもメロディも高度だが、どこか自閉的で箱庭的。不特定多数の人と聴くよりも一人か親密な人と二人で聴くのが合っているでしょう。

 2分足らずの長さながら「LOVE SO FINE」はまったく非の打ち所の無い曲。「KINDA WASTED WITHOUT YOU」はPARADEのバージョンよりもメリハリのついたアレンジでこちらの方が上か。

 1997年にボーナストラック付きで再発されましたが、そのボーナストラックがなかなか聴けなかった伝説のシングル収録曲ばかりで興奮したものです。「LOVE SONG,LOVE SONG」はタイトルのイメージ通りの曲。最後の3曲がやはり極めつけ。「LET'S RIDE」は高原で自転車を涼しく転がしているような爽快な名曲。「THE DRIFTER」を一度聴いた後ではBメロ部分がカットされているHARPERS BIZARREのカバーバージョンはもう聴く気になれない。「TRUST ME」も、やや大袈裟なPAUL WILLIAMSのバージョンよりむしろこちらの方が「僕を信じてよ」という痛切感が感じられる。(1998/06/20)



THE ELEGANT SOUND OF THE ELEGANT SOUND OF / THE ROYALETTES

 TEDDY RANDAZZOのプロデュース、アレンジ、作曲で知られるグループの、1STと同時にようやくCD化された2ND。また「VANDA」誌のプッシュでソフトロック周辺でも有名なグループですが、この音圧やゴージャスなアレンジは、ソフトロックというよりは、それ以前のフィル・スペクターものや初期のディオンヌ・ワーウィックの系列。ガールグループという編成や、このアルバムタイトルは当時としては旧態依然と捉えられていたでしょう。

 しかしながら、ヒット曲は入ってないけど、完成されたアレンジに甘いメロディー、巧みな転調など、プロの瑕疵のない仕事ぶりをお腹いっぱいに堪能できる作品。個人的には分厚いストリングスはちょっと苦手ですが、「LONELY GIRL」の間奏などのコーラスアレンジが気に入ってます。関係ないけどこのグループのメインボーカルは男性のファルセットのようにも聞こえる。(2001/04/15)