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British Rock or Psyche Pop etc...
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RESTLESS NIGHT RESTLESS NIGHT / OCTOPUS

 ラリー・ペイジ関連のレーベルから1970年に発表された彼等唯一のアルバムに、2枚分のシングル曲をプラスしたCD。これは2003年にでた紙ジャケのもの。PAULとNIGELのGRIGGS兄弟によるプロジェクトだそうですが、弟のNIGELがその後SPLIT ENZに加入したとのこと。

 ジャケがなんとも、ですが、内ジャケはもっとスゴイ。ちょっと引いてしまう装丁ながら、意外にも内容は聴きやすい。音質自体は良くないですが、甘すぎず端正なメロディー、派手ではないが的確なアレンジ、それなりにコーラスもあったりと、じわじわとポップさが滲み出てきています。後期BEATLES風にも聞こえるし、ひねてクールな感覚もある。60年代のサイケ・ポップと70年代のモダン・ポップの間に居所無く佇んでいるような印象です。

 1曲目「THE RIVER」でいきなり怪しげなファズ・ギターのラーガなフレーズが出てきますが、淡々とした演奏が段々と熱を帯びてきている。その前曲の延長のような繰り返しフレーズからサビで少しキャッチーになるのが2曲目「SUMMER」。同じ路線なのが4曲目「RESTLESS NIGHT」、6曲目「QUEEN AND THE PAUPER」あたり。このへんはONE WAY TICKETにも似ている。

 3曲目「COUNCIL PLANS」、7曲目「I SAY」、9曲目「RAIN CHILD」はいわゆるBEATLES風といわれている作風で、BEATLESそのものとはちょっと違う気もしますが、端正でフックの効いたメロディーが素晴らしい。ただし、10曲目でアルバム最終曲「TIDE」は静かめな出だしから、きらやかなキーボードが展開し汎プログレ的に盛り上がる曲。このアルバムでは異色ですが、1970年にしてはこれだけシンフォニックな展開は珍しいのでは、と思います。

 11曲目と12曲目は最初のシングルから、コーラスを重視した、なよっとした歌い方で、アルバム曲よりも純朴でさわやかな印象。(2004/03/20)



ONE WAY TICKET ONE WAY TICKET

 ロンドンのIBCという独立スタジオのエンジニア2人によるプロジェクト。彼等はJIMI HENDRIX,WHO,SMALL FACES等をエンジニアとして手がけていたという。当時は発表されず、70年代にやはり2人が関係したFIVE DAY RAINの音源等とレコード化されていたそうですが、まとまった形でCDになったのは、この1996年に発売されたものがはじめてだそうです。

 ここの作品は60年代末から70年代初頭にかけて録音したとされています。でもほとんどは70年代の、それもある程度入ってからの録音ではないでしょうか。ともかく、サイケ・ポップというよりはもうちょっと後の音という印象です。クリアな音だし、ボーカルの録り方など70年代風。それともエンジニアが自演したから音の質感が違うのでしょうか。1曲目などは手拍子はないけどグラム風だし、男性の裏声を使ったボーカルは10CC風でもあるし、SPARKSなどを思わせるモダン・ポップ風な曲もあります。

 もっとも収録曲はどれもアレンジがよく練られており、曲を映えさせていると思います。2曲目「I WANNA DANCE」はサビの繰り返しフレーズが印象的。3曲目「SO MANY WAYS」14曲目「COME BACK ROMANCE」16曲目「YOU KNOW」あたりのバラードタイプのセンチメンタルな曲も良い。8曲目「I WANNA ROCK」は、これだけ音質が悪いせいかもしれませんが、60年代風な曲。10曲目「D D D D DANCE」はグラム風な曲のひとつだが、特に印象的。その他、ディスコモードになったBEE GEESを思わせる11曲目「CAN'T STOP ME DANCING」、レゲエのリズムにホーンが絡む15曲目「CARRIBEAN WAY」は異色。17曲目「I'M HURT」は〆にふさわしい明るめでキャッチーな小品。

 ジャケットアートは多分オリジナル通りでは無いと思いますが、独特のイラストで面白い。(2003/06/02)



THE OPEN MIND THE OPEN MIND

 1969年に出た彼ら唯一のアルバム。これは1993年頃に出たデジパック仕様のドイツ盤CD。シングルオンリーの2曲も収録されてるが、表ジャケの印刷が濃すぎるのが難点。現在は知りませんが、オリジナルLPは高価なことで一部に有名で、80年代に某中古レコード屋でうやうやしく壁に飾られていたのを見たことがあります。その時の価格は確か5万円でした。

 ビートグループの影を残した、ハードロックの原始型という印象です。収録曲が多く、演奏時間が短い。コーラスワークにも結構ご熱心。なんとなく後のSWEETをも思わせます。

 彼らを初めて聞いたのは名コンピ「THE BRITISH PSYCHEDELIC TRIP」(LPのほう)の第3集でです。彼らの2枚目シングルのAB面である「MAGIC POTION」「CAST A SPELL」が続けて収録されてました。特に「MAGIC POTION」のツイン・バスと間奏のギターのフレーズが格好いいなと思ったものです。他のポップな収録曲と毛色が違うと感じたのか、確かCDの「THE GREATE BRITISH PSYCHEDELIC TRIP」には収められなかったと記憶してます。

 先のシングル曲をはじめ、デビューシングルでもある「HEROES AND CHARIOTS」、そのB面だった「BEFORE MY TIME」などは良いが、その他のアルバム曲はちょっと平凡。すっぴんな音で、さほど演奏力があるグループではないので、やはりキャッチーなメロディーやリフがないと苦しい。その中では間奏で展開を見せる「I FEEL THE SAME WAY TOO」、GSっぽくもある「THOR THE THUNDER GOD」「SOUL AND MY WILL」がまあまあかな。(2001/10/07)



HYACINTH THREADS HYACINTH THREADS / THE ORANGE BICYCLE

 彼らの、MORGAN BLUE TOWNで原盤制作してCOLUMBIAが配給していた時期(1967〜1968年)の作品集。5枚のシングル曲に多数の未発表音源などをまとめたもの。1988年に16曲入りのLPが出ていたそうですが、これは33曲入りの2枚組CD。

 殆どの曲を書いているキーボードのWIL MALONEは、その後プロデューサー/アレンジャーとして、長く英ロック界を支える1人になる。IRON MAIDENの1STも彼のプロデュースによるものだそうです。彼はORANGE BICYCLE在籍中の1969年にMORGAN BLUE TOWNのスタッフ達とBOBAK,JONS,MALONE名義で「MOTHERLIGHT」を制作しています。それも最近CD化されました。1970年にはソロアルバムも出してるので、それもCD化して欲しいとこです。

 収録曲は、ハーモニー・ポップ調かつティニー・ポッパー調な愛らしい曲も多いが、陰影に富んだアレンジに泣きのメロディーを持つ、ややもすると暗く重いと感じる曲も目立つ。全体的にはFONTANA時代のMANFRED MANNを思わます。ジャジーなとこは皆無だけど。これだけ高水準な作品を出していて全く売れなかったのは、出来は良いけど個性が薄かったせいかな。当時の層の厚さと競争の激しさを感じます。

 デビュー曲でもある「HYACINTH THREADS」は躍動感あるハープシコード(チェンバロ?)が印象的。そのB面「AMY PETE」は一転もやっとした雰囲気。次のシングル「LAURA'S GARDEN」は健全なNIRVANAといったところ。おサイケな雰囲気が良い。3枚目のシングル「EARLY PEARLY MORNING」は元気いっぱいのコーラスにちょっと泣きのボーカルが入るが少々つまらない。4枚目の「JENSKADAJKA」はテンポアップしたフォークダンスのような曲調。B面だった「NICELY」の方が彼ららしくて良い。5枚目は「SING THIS SONG ALL TOGETHER」、STONESの健康的なカバー。こちらもB面の「TRIP ON AN ORANGE BICYCLE」が幻想的で良い出来。

 シングル曲以外ではBYRDSのカバー「RENAISSANCE FAIR」が途中ガレージなアレンジになるのが面白い。メドレーのように繋がる「UNTIL THE END DREAMER」「JANE」「UNTIL THE END DRIFTER」、イギリスのどんよりとした曇り空を思わせる「DRINK YOUR WHISKY」「RAINY JANE」、めずらしくホーン類が入り、躍動感もある「DONNA」が個人的には好み。

 この後の彼らは、PARLOPHONEで5枚のシングル(随分シングルばかり出してます)と1枚のアルバムを発表してまる。聴いたことはないですが、このMORGAN BLUE TOWN時代ほどは評判が良くないようです。(2001/10/28)



LISTEN THE SKY LISTEN THE SKY / THE OTHERS, SANDS, SUN DRAGON

 アーティスト名表記はコンピ盤みたいですが、各グループ共通のメンバーだった2人(ROB FREEMANとIAN McLINTOCK)の「THE COLLECTED RECORDINGS 1964-1973」と題されたアンソロジーともいえるCD。

 THE OTHERSは1964年にシングル1枚のみ残したグループ。未発表曲2つをここで発掘していますが、基本的にシカゴ・ブルース風。1曲だけあるオリジナルのみマージー・ビート風。録音は無いものの、後にQUEENで大有名になるBRIAN MAYがこのグループにいたこともあるようです。

 続くSANDSはBRIAN EPSTEINのマネジメントに入り、1967年に「MRS GILLESPIE'S REFRIGERATOR」「LISTEN THE SKY」という、サイケ・ポップ的傑作を出すも、EPSTEINの突然死のためプロモーションされず見放されたグループ。「MRS GILLESPIE'S REFRIGERATOR」はBEE GEESの曲ですが、コーラスを生かしたビート・グループ風アレンジが素晴らしい。ライナーによると、演奏はTHE WHOに、コーラスはLEE MALLORY(後のMILLENNIUM)のシングル曲「THAT'S THE WAY IT'S GONNA BE」に影響を受けたとのこと。「LISTEN THE SKY」はオリジナルで、コマーシャルな出だしから途中の空襲を思わせるシークエンスを経てボレロ調で終わるという凝った構成。

 SUN DRAGONは2人のコンビとなり、ハーモニー・ポップ調の曲が多いが、プロデューサーのツテでDEEP PURPLEがバックを務めたのこと。英国では本家LEMON PIPERSの発売前に「GREEN TAMBOURINE」をカバーしたのに、レコード会社のストで商品が出回らず、そのうちにLEMON PIPERS盤が発売されてヒットを逃したという、これまた不運なエピソード。彼らの1968年に出たアルバムは有名曲のカバーも多いが、オリジナルでは「SEVENTEEN」「FIVE WHITE HORSES」などややティニー・ポッパー調ながらも印象に残るメロディアスな曲もある。「FAR AWAY MOUNTAIN」は「FADING YELLOW」にも収録されていましたが、壮大なホーンが心地良い。

 「AFTERMATH」として1970年のHIGH NOON名義2曲、1973年のMcLINTOCK名義1曲を収めていますが、すっかり70年代ポップ・ロックな風情。(2007/02/12)