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British Rock or Psyche Pop etc...
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FLY ON STRANGEWINGS FLY ON STRANGEWINGS / JADE

 英フィメール・フォークものとしられる1枚。EDWARD HANDSのROD EDWARDがメンバーの1人でもあるので購入。ただ、ROD EDWARDは作曲に関与しておらず、カバー以外はMARIANNE SEGAL(内ジャケの表記はMARIAN)の手によるもの。

 その彼女による、JONI MITCHELLや米フォーク・アーティストに影響された曲が多いが、アレンジメントはストリングスやハープシコードなど折り目正しく端正で奥深さを感じる。何曲かはブルージーなギターやホンキートンク調ピアノが顔を出すが、バリエーションの範囲。しかしこのMARIANNE嬢、清楚な容姿の割には、ややハスキーで太くてアクのある声。私が持っているのはLIGHTNING TREEから出た紙ジャケですが、彼女の書いたライナーも当時の英フォーク/トラッドのシーンが回顧されていて興味深い。(2008/06/01)



JAMES TAYLOR JAMES TAYLOR

 70年代を代表するシンガー・ソング・ライターである彼は、BEATLESのアップル・レーベル契約第一号アーティストでもありました。彼が有名になるのはワーナーから出た2枚目、1970年の「SWEET BABY JAMES」からですが。1968年に出たこのデビュー・アルバムはアップルレーベルの混乱のため全く売れず、おまけに彼はレーベルから首を切られるのですが、それが結果的に大きなプラスであったと言えるでしょう。BEATLESの関連アーティストと世間に認知されたら、シンガー・ソング・ライターの火付け役という大役は不可能だったでしょうから。

 本作は本来のファンからは前史程度にしか扱われていないようですし、アップル・レーベルものの宿命で現在店頭では見かけませんが、60年代後期の英ポップ/ロック作品としては捨てるには惜しい作品です。BEATLESのレーベルらしい折り目正しい室内楽やハープシコードを織り込んだ丁重なアレンジや、美しい間奏曲がふんだんに聴くことが出来ます。彼の柔らかな声質との相性もいいと思う。メロディアスな曲以外にも、C&W風あり若干ソウル風あり弾き語りブルーズあり、とバラエティある曲想だが、ほどんど違和なくとけ込んでいます。だがこの上品なポピュラー作品然としているのが、それ以降のファンにはやや距離感を感じるのかも知れません。

 作品中印象に残るのは、クラシカルな4曲目「SUNSHINE SUNSHINE」、GEORGE HARRISONの名曲「SOMETHING」に歌詞が引用された6曲目「SOMETHING IN THE WAY SHE MOVES」、いかにもシングル向けなアレンジだが傑作の一つ7曲目「CAROLINA IN MY MIND」、暖かみのあるホーンがトニー・ハッチやバカラックぽい感触ももたらす8曲目「BRIGHTEN YOUR NIGHT WITH MY DAY」、弾き語りブルーズなのにここでも上品なストリングスが絡む12曲目「THE BLUES IS JUST A BAD DREAM」。

 本盤のプロデューサーはPETER ASHER。出世作である2枚目以降もプロデュースしています。PETER&GORDONでポップスターだったし、PAUL McCARTNEYのフィアンセの兄でもあったのだが、PAULの婚約破棄によりこの人もアップルから首を切られる。JAMES TAYLORもそのあおりを食ったのでしょう。(2002/10/20)



JAWBONE JAWBONE

 MIRAGEおよびTURQUOISE出身のメンバーによるグループが1970年に発表した唯一のアルバムのCD化。シングルオンリーの曲および1969年にPORTOBELLO EXPLOSION名義で出したシングル曲もプラス。

 前身グループはともに活動中にアルバムは出さなかったものの、サイケ・ポップ界の名グループ。期待が膨らみますが、TURQUOISE出身メンバーによる曲は1つのみで、MIRAGE色が濃い。ということで、MIRAGE時代から引き続きBEATLESの影を感じます。ただ時期的なものかBEATLESでも末期の、アーシーかつスワンプ色もある部分を受け継いでいるよう(特にギター)で、MIRAGE時代の「ふにゃり」という感触は少ない。なおライナーによると、このアルバム録音時、同じスタジオでROLLING STONESが「STICKY FINGERS」を録っていたとの事。

 そんななかでサイケ・ポップを感じるのは、まずはMIRAGE時代の曲の再録ですが、3曲目「HOW'S YOUR PA」。新たに付け加えた三拍子になるコーダがチャーミング。続く4曲目「BRAVE WHITE NIGHT」もハープシコード(チェンバロ)が映える曲調。8曲目「MONEY IS」はオルガンがこじゃれた佳曲。その他、BEATLESの「ACROSS THE UNIVERSE」をカバーしてますが、恐らくフィル・スペクターがプロデュースしていない方のバージョンを参考にしていると思われます。7曲目「MILLION TIMES BEFORE」はモロDYLANな曲調と歌い方で、これはTURQUOISEの「WOODSTOCK」を思わせます。

 70年代VERTIGOレーベルのキーフのような、シュールなジャケット(見開かないとよく判りませんが)も含めて、60年代から70年代に移り変わる瞬間のスナップショットのような一枚です。(2007/06/10)



SON OF ANASTASIA SON OF ANASTASIA / JIMMY CAMPBELL

 THE 23RD TURNOFFの中心メンバーだった彼の、1969年に発表されたファーストソロ。ジャケットもそそるレア盤だったそうですが、2009年にCHERRY REDからCD化。

 サイケ・ポップだったTHE 23RD TURNOFFに比べ、ここでは弾き語りSSWといった風情。演奏はほとんどアコギのみで、曲も短いためアルバム本編には16曲も収録(ボーナストラック1曲はバンド演奏)。コミカルな曲にはカズーが入ってます。THE 23RD TURNOFF時代の「MICHAEL ANGELO」「VINCENT VAN GOUGH」の再演も、非常にシンプルな出来。ただしJOHN CAMERONがアレンジした「ON A MONDAY」のみはDONOVAN風のサイケデリアを強く感じさせます。

 その他の曲では、穏やかな「BRIGHT SIDE OF THE HILL」、フルートとストリングス入りの「LYANNA」が佳作。きっと本作はサイケ・ポップ出身者による知らざれるフォーキーなソロ作品という位置づけになるのでしょうが、彼の繊細ですが変にひしゃげたような声や脱力感のあるカズーなどは、次作はあのVERTIGOレーベルから出たという印象もあるせいか、アンダーグラウンドぽさも感じます。(2009/04/05)



SONGS SONGS / JOHN BROMLEY
NEW

 1969年にJOHN BROMLEYがLES FLEUR DE LYSをバックに発表たアルバム「SING」を、シングル曲やデモを加え、「SONGS」というタイトルで、ジャケットも変えてREV-OLAレーベルからCD化。THE COMPLETE SING ALBUM PLUS SINGLES,DEMOS & OUT-TAKESという副題になってます。

 内容はLES FLEUR DE LYSがバックを務めたという前評判よりも、当時のBEE GEESのような穏やかな曲調と優雅な弦アレンジが耳につきます。何曲かはバンドを感じさせる演奏ですが、彼の繊細な声を優しくくるむような曲が多い。アレンジャーはそのBEE GEESやSTEVE&STEVIEを手がけたGERRY SHURYとのこと(STEVE&STEVIEのアルバムでJERRY SHURIとクレジットされてましたが)。

 彼はJACKIE DESHANNONに曲提供したこともあるソングライターだったこともあり、ボートラ含め全曲オリジナル。メロディ・メーカーとしては抜きん出て秀逸な訳ではないが、時おり瑞々しいメロが顔をのぞく。ニッチな例えですが、MORGAN BLUE TOWNレーベルのCLIFF WADEを思い出しました。また、シャッフル調の曲などはソフト・ロック方面にも受けそう。

 ボーナストラック部分、アルバム曲のデモバージョンは、オーケストラをかぶせて無いだけの、十分鑑賞できるレベル。それ以外ではデビューシングル曲B面だった佳曲の「MY MY」、豪でJOHN FARNHAMという歌手が取り上げミリオンヒットになったという「COMIC CONVERSATION」がメロトロン付きのしんみりしたバラードで興味深い。

 タイトルおよびジャケットの変更は本人の意思によるものらしいです。ライナーによるとジャケは子供ぽいし、自分はソングライター志向なので、SINGでなくSONGSにすべきと主張したとのこと。そのパッチワークのようなオリジナル・ジャケはライナー中に1ページ大で出ていますが、こちらをジャケにできるよう裏表紙にして欲しかったところ。詳細なライナーに、本人による曲ごとのコメントなど、本人の意思を尊重した丁寧な仕事振りは素晴らしいですが、その結果オリジナルなフォーマットにならなかったのは、リスナーとして(ほんの少し)複雑な気分です。

 ライナーにあった自身名義以外での裏方の仕事、投げやりに作ったが音楽出版社に喜ばれ14ものアーティストが取り上げたという「TOMORROW MANANA」やCHAOS名義での「DOWN AT THE CLUB」も機会があれば聞いてみたいものです。(2009/06/28)



LAVENDER POPCORN LAVENDER POPCORN / JOHN KONGOS

 PYEレーベルから表題曲や「I WISH I WAS FIVE」といったサイケ・ポップな作品を出していたSCRUGGの中心人物、JOHN KONGOS関連の作品集。1966〜1969年にかけてPYE/PICCADILLY/DAWNレーベルから各種名義で、いずれもJOHN SCHROEDERのプロデュースにより発表された作品が収録されている。JOHN T. KONGOS、FLORIBUNDA ROSEのそれぞれ1枚しかないシングルのAB面にあたる曲、前出のSCRUGG名義の3枚のシングル曲と未発表曲、JOHN KONGOS名義でDAWNレーベルから出したアルバム全曲と3つの未発表曲という構成。

 1966年に出たJOHN T. KONGOS名義の「I LOVE MARY」は地味なフォーク・バラード、B面だった「GOODTIME PARTY COMPANION」の方がR&B風ながら良いメロディを持っている。1967年のFLORIBUNDA ROSE名義の「LINDA LOVES LINDA」は歌詞が一癖ありそうだけど、キャッチーなサビのコーラスが印象的だし、間奏のオルガンもドリーミー、サイケなエンディングもいい。片面の「ONE WAY STREET」はRIPPLESのコンピにも収録されていたはず。

 SCRUGGの作品では、オルガンとファズなギターとストリングスが絶妙なブレンドの「I WISH I WAS FIVE」、これだけJOHN KONGOSが作曲していない、職業作曲家によるタイトル曲「LAVENDER POPCORN」、途中絶叫ボーカルが入るがメロディアスな「ONLY GEORGE」が印象的。

 DAWNレーベルから出したアルバムは、彼の弾き語りにストリングス系やパーカッションのアレンジをつけた、シンガーソングライター風な作品が多い。タイトル曲「CONFUSION ABOUT A GOLDFISH」などは声質は違うけどCAT STEVENSを思わせる曲。

 ちなみにこの方、このアルバムの頃は成功を収められなかったが、この後、70年代に入ってGUS DUDGEONプロデュースでヒット曲を2曲出し、それが90年代にHAPPY MONDAYSにカバーされたり、SYLVIE VARTANにヒット曲を提供したり、DEF LEPPARDのアルバムでフェアライトのプログラミングをしたりと、意外な活躍ぶりを見せる。B級臭いですが、それなりに器用な人のようです。(2003/01/26)



THE UPSIDE DOWN WORLD OF JOHN PANRTY THE UPSIDE DOWN WORLD OF JOHN PANRTY / JOHN PANRTY (featuring PETER & THE WOLVES, SOUND AROUND, WOLFE, THE BUNCH, NORMAN CONQUEST and THE FACTORY)

 サイケ・ポップ界屈指のソングライターにて、単独未CD化だった最後の「大物」JOHN PANRTYのアンソロジー。1999年にTENTH PLANETから同タイトルのLPが出ていたのですが、同じジャケを使用し2枚組計53曲に拡張した、本当に待望のCD化。個人的には、TENTH PLANET盤LPを苦労して入手した思い出もあります。

 彼を一言で説明すれば、英サイケ・ポップ界の超カルト・ヒーローといったとこでしょうか。ファニー・サッドでキャッチーなメロディを得意とし、複数のグループを使い分けてシングルを発表し、スタジオのエンジニアの職もありと、八面六臂の活躍をした才人。ただし、この時期にはアルバムを残さなかったことや、ヒット曲が出なかったこともあり、英ロックの「正史」には登場せず、長らく埋もれていたVIP。

 今回大量のデモ音源が発掘されてますが、どの曲も彼のメロディ・メーカーぶりがわかります。JOHN PANRTY名義では弾き語りのためかSSWのような佇まい。また改めて聴くと「BIRTYDAY」などは後のグラム・ロックのようなトライバル風ビート。

 ただし不満な点もいくつか。今回の拡張盤でもシングルのAB面曲をコンプリート収録されてないこと。何か理由がありそうです。また、当時他アーティストが取り上げたJOHN PANTRY曲をもっと収録してほしかったとこです。KINSMEN版の「GLASSHOUSE GREEN、SPLINTE RED」など、彼の紹介のためにも、これから聴く人にはキラー・チューンになると思うのですが。

 ケース裏には1966〜1971年の(almost)Complete Recordingsと銘打ってあります。サイケ・ポップ期以降については、私も今回知ったことですが、現在に至るまでソロとしてのディスコグラフィーがあり、70年代中盤以降、牧師の職につき、クリスチャン系音楽シーンで活動しているとのこと。(2009/03/29)



THE COMPLETE THE COMPLETE / JOHN'S CHILDREN

 マーク・ボランが一時期在籍していた事で知られるグループ。これは2002年に出たCD2枚組みの編集盤。COMPLETEと銘打っているが、ライブ盤「ORGASM」音源は収録されていない。ほんの数曲で聞こえるだけだが、マーク・ボランの強烈なビブラート声や、その後TYRANNOSAURUS REXでも取り上げる曲もあり、T-REX〜マーク・ボランのマニアにも(きっと)訴えかける内容。

 ライナーに載っているように真っ白い衣装を着たり、レーベルメイトのWHOのようにステージで器材を破壊したり、ヌードのポスターを作ったり、シングル「DESDEMONA」が放送禁止になったりと、ハイプな活動をしていた事でも有名。そんな怪しげなショウビズの匂いだけでなく、楽曲そのものも1966-1967年ながらトライバル・ビートぽい曲が多く、後のグラム・ロック(しかもB級の)ぽい印象。ANDY ELLISONのひ弱なボーカルもチープ感を強めています。ただ、4曲収められているBBCでのライブ音源は結構熱い演奏。

 そんな収録曲中では「IT'S BEEN A LONG TIME」は異色のトラジック・コメディ調バラードで逸品。その後、ANDY ELLISONソロ名義の別録音でサントラ「HERE WE GO 'ROUND THE MULBERRY BUSH」に収録されてます。BEATLESの「HELP」もヘナヘナなボーカルが聴く者を腰砕けさせる彼ららしいカバーになっているのが楽しい。(2005/04/10)



1969 1969 / JULIE DORISCALL

 BRIAN AUGERや夫KEITH TIPPETTとの活動が知られる個性的な女性ボーカリストのソロ名義一作目。タイトルに反して発売されたのは1971年とのこと。もしかして1969年に製作されたのかもしれませんが。

 収録された8曲はすべて彼女が作曲作詞。独特の息詰まる緊張感に溢れた作品。収録曲は、弾き語りフォーク風の曲とホーンセクション入りの曲に、大きく二つに分類される。

 そのホーン入りの曲群では未来の夫TIPPETTやらCHRIS SPEDDINGやらELTON DEANやらといった当時の英ジャズロック人脈が大挙ゲスト参加して、曲に陰影をつけている。4曲め「BREAK OUT」ではBRIAN AUGER& TRINITY時代のレーベルメイト、BLOSSOM TOESがバックを務めているが、彼女の強烈な個性に押されているよう。

 フォーク風の曲でも彼女のゴスペル風でキツめでアクの強い声がより強調されている。彼女はニーナ・シモンに影響を受けたと何かの本で読んだことがありますが、個人的にはグレース・スリックを思い出しました。ともかく彼女の声は人によって好き嫌いがはっきり別れそうです。(2001/12/09)



JULY JULY

 後にMIKE OLDFIELDの「TUBULAR BELLS」のプロデュースやプログレなソロ作も出すTOM NEWMANや、JADE WARRIORを結成するメンバーからなるグループ。1968年発表の唯一の作品。

 ジャケはグロいし、内容もサイケなアイテムが満載ですが、メロディはポップ。時折BEATLESぽいとも言われる彼らですが、あえて例えれば「REVOLVER」を更にラーガ、サイケ色を突き詰めたような質感を感じます。エコー感のあるディレイをかけたギター、時折エフェクトをかけたやや蓮っ葉なボーカル、ホーン/ストリングス類が少なくて、オルガンの音色からもややガレージ色も感じる気味な演奏に、タブラやコンガ等のパーカッションが鳴る。

 1曲目「MY CLOWN」は初期PINK FLOYDも思わす佳作でシングル曲でもあったようです。サイケ・ポップな「JOLLY MARY」「HALO TO ME」「A BIRD LIVED」「HELLO WHO'S THERE」、後のJADE WARRIORを思わすインスト・パートのある「DANDELION SEEDS」「YOU MISSED IT ALL」「FRIENDLY MAN」も印象的。

 実にサイケな作品集ですが、ディープなトリップ感はさほど感じられず、陽気でポップな面も目立つので、どこか商売でやってます、というようなサイケデリックに対して突き放した、クールな態度もなんとなく感じられます。(2005/01/30)



JULY BATTERSEA POWER STATION / JUNIOR'S EYES

 1969年発表の彼ら唯一のアルバム。これは2000年にTHE BOWIE CONNECTION SERIESの一つとしてCD化されたもの。彼らはDAVID BOWIEのSPACE ODITYに参加しているそうです。アルバムのプロデューサーも初期BOWIEと同じTONY VISCONTI。ジャケットがオリジナルと異なりますが、折りたたみインナー中にオリジナルジャケも出てくるのは良心的。しかもボーナストラックとしてシングル曲、アルバム曲のデモ、前身のTICKLE時代のシングル曲で、合計79分近いお腹一杯になる収録内容。

 大げさな書き方になりますが、彼らが英ロックに果たした歴史的役割が二つあると言えるでしょう。サイケとハード・ロックの橋渡りになるようなコンセプチュアルな本アルバムを残したこと。そして、DAVID BOWIEにMICK RONSONを紹介したこと。

 ライナーによると、彼らの最後のステージは1970年2月で、マーキーにてBOWIEと共演。その場でドラマーが同郷のMICK RONSONをBOWIEに紹介したそうです。

 アルバムの方ですが、音楽的には主にブルースと少々のジャズの影響がある、ギターオリエンティッドなプレ・ハードロックという印象です。ただ、A面がすべて曲がつなげてあるとか、冒頭に話し声や拍手があるとか、フリーキーなA面の終わり方なんかは、サイケというか、トータル・コンセプト・アルバムのフレームワークに、彼らの音楽をコンテンツとして乗っけた、という気がします。これは勿論プロデューサーのTONY VISCONTIの戦略だったのでしょう。B面部分はバラの曲ですが、雰囲気はあまり変わらない。「PLAYTIME」ではSYD BARRETみたいなスライド・ギターが絡んで盛り上がります。その他曲調もいろいろですが、メリハリはきいていると思います。後のほうに収められたアルバム曲のデモ・バージョンと比べてみると、TONY VISCONTIの仕事振りがなんとなくわかります。

 シングル曲集ではA面にあたる曲ではホーンが入って比較的サイケ・ポップな「MR. GOLDEN TRUMPET PLAYER」、ややベタなロッカ・バラード「WOMAN LOVE」、メロトロンが入る「STAR CHILD」など、どれも中途半端にポップな曲をやらされています。B面の曲の方が彼ららしい。ラストシングルB面「SINK OR SWIM」はブルース・ロック調なのに、クラリネットが入ったり、エンディングがしつこかったり、場末のキャバレーが似合いそうな曲。

 そして、最後のコーナー、前身のTICKLEが1967年に出した唯一のシングル曲が、個人的にはサイケ・ポップな大興奮を味わえました。「SUBWAY」「GOOD EVENING」ともに、コーラスを交えたポップなメロディーが、シンバル開きっぱなしでベースがうねりギターは歪むという、詰め込みすぎで音圧の高い演奏と混然となっています。

 最後に余談。アルバムタイトルは、PINK FLOYD「ANIMALS」のジャケに出てくる発電所のことですが、録音に使ったスタジオに電力を供給してたのがそこだったそうです。今は取り壊されたと聞いていますが、10年ほど前私がイギリス旅行でロンドンからブライトンへ(モッズ巡礼を気取ったわけではないです)鉄道で向かった際、テムズ河をわたると、いきなりあの発電所が目の前に現れ、(当然ですが)「ANIMALS」のジャケ通りでびっくりした思い出があります。(2005/12/18)