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British Rock or Psyche Pop etc...
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ICE MAN ICE MAN / ICE

 1967年と1968年にシングル1枚ずつ発表したグループの発掘音源集。コンピ盤に収録された曲から、ハーモニー・ポップ系のグループかと思いきや、意外にもジャズをルーツに持つメンバーが集まり、AFFINITYの前身とも言えるグループとのこと。

 まずは既発表のシングル曲4曲。いずれもジェントリーなバラード。演奏の方はハモンドオルガンが主体だが、主役はやはり夢見がちなボーカルとふんだんにあるコーラス。そのうち1曲目「ICE MAN」はサイケがかったイントロ、ややジャジーなピアノが印象的。4曲目「SO MANY TIMES」は3曲目「ANNIVERSARY (OF LOVE)」と間違われて、THE GREAT BRITISH PSYCHEDELIC TRIP VOL 1に収録されてました。

 この後はアセテート盤おこしや発掘ライブ、デモが続くので華やかさが消え、音質も当然ながら落ちる。まずは2ndシングルAB面に予定されていた曲のアセテート盤から。「WALK ON THE WATER」はややR&B調。「TIME'S FADING FAST」はシングル曲と同じジェントリーな路線で佳曲。きちんとアレンジされた正規録音で聴きたかったところです。

 次はBBCライブが4曲。いきなりオルガンとベースにグループ感がある「DAY TRIPPER」(もちろんBEATLESのあの曲)に意表を突かれます。このBBCライブでのベースはスタジオ盤とは別人で、後のAFFINITYのメンバーとのこと。こちらの方が上手い。バックコーラスにもAFFINITYでボーカルをやるLINDA HOYLEが(音では目立たないが)クレジットされている。AFFINITYの前身バンドということでこの盤を購入した人にすれば、このパートが聴きものではないでしょうか。

 11曲目以降はデモ集。BBCライブでのバンドを感じさせる演奏から一転、朗々としたボーカル主体のバラードぽい曲が多い。曲自体はさほど悪くないが、やはり簡素なデモでなく、きちんとしたプロダクションを施した上で聴くべきものかと思う。最後の3曲はボーカルが在籍していたというRUSSELL'S CLUMP名義の録音。(2005/03/13)



BACK TO THE STORY BACK TO THE STORY/THE IDLE RACE

 ジェフ・リンが在籍していた事で有名なグループ。これは3枚のオリジナルアルバムとシングル曲、未発表バージョン、前身のTHE NIGHTRIDERS時代のシングルも含めた彼らのコンプリート盤。

 その後BEATLESのアンソロジーシリーズの実質的なプロデューサーになるまでに大物になったジェフ・リンの、まだその他大勢の一人でしかなかった頃の作品集ともいえるでしょう。また、ジェフ・リン脱退後の作品まできっちり押さえてあるのが律義です。

 1ST「BARTHDAY PARTY」は「SGT.PEPPERS'」の影響を受けた作品として有名ですが、サイケデリックなポップというよりは、なんだかイギリス的なミュージック・ホールの雰囲気を出しているトボけたコンセプトアルバムという趣です。ふにゃふにゃしたボーカル、のっぺりとした演奏、ぼやけた音質は時にKINKSを思わせる瞬間もあります。そういえばTHE NIGHTRIDERS時代の「IT'S ONLY THE DOG」は、KINKSの「WHERE HAVE ALL THE GOOD TIMES GONE」に少し似た曲でした。

 メロディーの良さに才能を感じると同時に安っぽさとB級臭さも感じてしまいます。ともかくユニークな作品である事は確かです。

 2ND「IDLE RACE」はバンド名と同じタイトルにメンバー4人が並んでるだけのジャケットと、まるでこちらがデビューアルバムのような佇まい。音の方も1STに比べてSEなしのシンプルなアレンジで、カントリーぽいところも感じさせます。ジェフ・リンはELO時代にもたまにカントリーぽい曲を作ってましたね。

 1STのようなギミックが無く、1STと同じように貧弱なサウンド・プロダクションなので、せっかくのジェフ・リンの良いメロディーが生かされていないと思います。今から考えると、彼がこのグループを早々に抜けたのは賢明な選択と言えるでしょう。

 ジェフ・リン脱退後の3RD「TIME IS」では、もう一人のソングライターDAVE PRITCHARDが健闘してますが、大多数の人にとっては凡庸な曲の連続でしかないでしょう。

 このころ、シングルではMUNGO JERRYの「IN THE SUMMER TIME」やHOT LEGSの「NEANDERTHAL MAN」といった他人のヒット曲をカバーして、西ドイツやアルゼンチンでは結構売れていたとのことです。まるで残ったメンバーで地道にドサ回り営業してるような逞しさを感じてしまいます。(1998/11/22)



'IGGINBOTTOM'S WRENCH 'IGGINBOTTOM'S WRENCH / 'IGGINBOTTOM

 アラン・ホールズワースのレコード・デビュー作として(だけ)知られる1969年発表のアルバム。アナログ時代はかなりレアだったようですが、何度かCD化され、私が持っているのは2005年には紙ジャケCD。グループ名とアルバム名にはアポストロフィがつくようですね。

 ポップ寄りでサイケがかったジャズ・ロックとの評もありますが、軽めのモードなジャズ・ボーカルアルバムと言い切っても良いかと思います。アラン自身は本作を稚拙だとして気に入っていないようですが、アランを含む2人のギタリストがジャジーなフレーズを連発し、物憂げなボーカルがそこに乗っかる。英国ジャズらしいくぐもった雰囲気はありますけど、特に引っかかるところも無く、BGM的。ママス&パパス「夢のカリフォルニア」のカバーもありますが、音だけきくと原曲が何だかわからず、クレジットを見るまで気がつきませんでした。(2005/06/05)



MAYBE TOMORROW MAYBE TOMORROW / IVEYS

 BADFINGERの前身。唯一のアルバムながら、LP時代は日本とヨーロッパの一部でしか発売されなかったという曰くつき。1992年にCD化されてましたが、2004年に再プレス。個人的にCD化当時(半分ほどはBAD FINGERの1STとダブるという理由をつけて...)買い逃し、そのCDですら中古市場では値が高騰していたのに忸怩たる思いでしたので、待望の再プレスでした。

 本作を聴く前、BAD FINGERの1STに収録された曲(「MAYBE TOMORROW」「FISHERMAN」「BEATIFUL AND BLUE」「ANGELIQUE」など)を聴いた限りでは、BAD FINGERはタイトなポップ・ロック路線なのに対して、IVEYSはいい意味で青臭さや湿っぽさを残しフォーキーなとこもあるという印象でした。

 いざ本作を実際に聴いてみると、意外にバラエティ豊かな曲調で、収録曲の2/3をプロデュースしたTONI VISCONTIの仕掛けによるところが多いのでしょうが、この時点ではIVEYSというグループは実は色んな可能性を持っていたのでは、と感じています。「SEE-SAW,GRANPA」は数年後のCHINN & CHAPMAN作品風でもあり、グラム・ロックの一側面にも通じる作品。「THINK ABOUT THE GOOD TIMES」はワウをかましたボー・ディドリーといった曲。「SALI BLOO」はちょっとZEPPELIN風のリフを持つし、「I'VE BEEN WAITING」に至っては大風呂敷を広げたCREAMといった印象の、IVEYSの従来のイメージから一番離れた大袈裟な曲。また、BAD FINGERの1ST収録曲でも「FISERMAN」は、イントロにSEがついて、終わりの部分のコーラスも少し違う。「ANGELIQUE」もちょっとだけ違います。

 1969年の作品ですが、全体的に60年代的な仕掛けは少なく、70年代的とも思える作品群。また、PETE HAMも色んな曲を書き分けてますが、このアルバムに関してはTOM EVANSの方が良い曲を書いていると思う。

 ボーナス・トラック部分では、シングル曲もあるせいか、ティニー・ポッパー的イメージで溢れている。「NO ESCAPING YOUR LOVE」はSMALL FACESの「LAZY SUNDAY」をちょっと思い起こさせる作品。「AND HER DADDY'S A MILLIONAIRE」イントロのモジュレータ通したようなワウも格好いいし、性急な曲調は後のモダン・ポップ風でもある。「MRS JONES」「LOOKING FOR MY BABY」も未発表曲ながらキャッチーさもある。(2004/05/30)