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British Rock or Psyche Pop etc...
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ALBUM NO.1 ALBUM NO.1 / GARY WALKER & THE RAIN

 元WALKER BROTHERSのGARY WALKERのグループが日本でのみ発売したアルバム。WALKER BROTHERSの人気のあった日本主導で発売されたアルバムらしく、ジャケットデザインや内装、裏ジャケの絵など、当時のGSのアルバムと同じマナー。

 また、その後BAD FINGERに加入するJOEY MOLLAND(このアルバムではJOY MOLLANDと表記されています)がいたことで知られています。コーラスが多めな割とポップなメロディーに、すっぴんで無骨な演奏を聴くと、確かにBAD FINGERにも近いかもしれません。それよりも海外のガレージマニアから注目されていたというのは、出だしの「MAGAGINE WOMAN」や「DOCTOR,DOCTOR」「FRANCIS」にファズが使用されていること、「IF YOU DON'T COME BACK」では溜飲が下がるようなフィードバックが聴けることからだと思います。

 その一方では、「MARKET TAVERN」「THE VIEW」「THOUGHT OF AN OLD MAN」「I PROMISE TO LOVE YOU」「WHATEVER HAPPENED TO HAPPY」など叙情性を感じる曲もありますが、サイケ・ポップ的にはストリングスやホーン類を入れて欲しかったところです。(2007/03/04)



FROM GENESIS TO REVELATION FROM GENESIS TO REVELATION / GENESIS

 四天王には入らない事が多いが、世界的な成功を収めたプログレ界の主要グループにして、日本においては四畳半プログレの垂範にもなった著名グループのデビュー・アルバム。よく知られてるように、プログレとしてのGENESISは次作からで、本作は前史扱いとされている。確かにまだパブリック・スクールのお坊ちゃん達による余技の域を出ていない。どの曲も地味めで、特に際だった曲が無く、曲数が多いのも印象を更に平板にしている。レコーディングも急造だったらしくプロダクションにも深みがない。

 だが、穏やかなアレンジ、拙さも目立つが奇を衒わない素直な曲をPETER GABRIELは丁寧に歌っており、アルバムの統一感が見事に取れている。BEE GEESを意識したそうですが、俗ぽさが無く、青臭さを残しながらもノーブルな雰囲気もあり、落ち着いた家具調度に囲まれた部屋で暖炉の火を見つめながら物語を聴いている気分にもなります。

 個々の曲としては「AM I VERY WRONG」「IN THE WILDERNESS」「ONE DAY」「IN LINBO」「A WINTER'S TALE」あたりが盛り上がりを見せます。だが全体的にバックも演奏も大人しく、ストリングス類をかぶせられ、PETER GABRIELという歌手のソロ・アルバムのようにも聞こえる。1969年の発表ですが、世の喧噪とは随分距離を置いた作品です。

 アレンジはTWICE AS MUCHなどIMMEDIATEレーベルで仕事をしていたアーサー・グリーンスレイドが担当した、というのも私にとってはポイントが高い。特に控えめながらもホーン類のアレンジが好きです。間奏曲が入るのも彼のアイデアなのかも知れません。(2004/06/13)



THE CHEERFUL INSANITY OF GILES, GILES & FRIPP THE CHEERFUL INSANITY OF GILES, GILES & FRIPP / GILES, GILES & FRIPP

 あのKING CRIMSONの前身として有名なグループ。紙ジャケ仕様かつボーナストラック付きでCD化されましたが、70年代の一時期に本国では廃盤状態で日本盤だけ発売されていた頃もありました。

 どうしても著名な後身グループの事を意識せずには聴けない一枚。ですがコアなプログレ好きは本作のジャケットを見て、ニッコリ笑うFRIPPに唖然とし、音を聞いて絶句してそうです。FRIPPの几帳面なギターやMIKE GILESのドラムに後を思わせますが、本作は優雅で穏やかな曲ばかりのポップな作品。少々ジャジーなとこもあるし、対訳がないんでよく判らないですが歌詞とか、曲の間にある語りとか、ジャケットのセンスとかはイギリス的なユーモアがあると思われる。

 7曲目「CALL TOMORROW」はまるでROBERT WYATTが歌っているかのよう。13曲目「THURSDAY MORNING」はBEATLESの影もちらつきますが、本作のベストトラック。アルバムでは最後にあたる22曲目「ERUDITE EYES」のフリー・フォームな演奏はKING CRIMSONの前哨戦という印象。ボーナストラックでは24曲目「UNDER THE SKY」がドラマチック。そういえば、ジュディ・ダイブル在籍時のマテリアルが限定LPで出ましたが、限定じゃないCDで出して欲しいとこです。

 バッキング・ボーカルでクレジットされているTHE BREAKAWAYSは、HERE COMES THE GIRLシリーズで紹介されていたグループと同一と思うけど、FRIPPとTHE BREAKAWAYSの組み合わせとは妙。(2001/09/02)



THE BRONDESBURY TAPES THE BRONDESBURY TAPES / GILES, GILES & FRIPP

 KING CRIMSONの前身グループの音源集。最も初期の録音だという怪しげな「HYPOCRITE」から始まり、唯一のオリジナルアルバム「THE CHEERFUL INSANITY OF GILES, GILES & FRIPP」収録曲をはさみ、6曲目「SCRIVENS」あたりからIAN McDONALDや彼の当時の恋人でその後TRADER HORNを結成するJUDY DYBLEがパーソナルに登場する。作者欄にはPETER SINFIELDの名もあるので、これでJUDY DYBLEが抜けてBASSがGREG LAKEに替われば正に第一期KING CRIMSONですね。

 しかし「I TALK TO THE WIND」も入ってますが、CRIMSONのファーストを思わせる激しい楽器間の応酬は無く、軽めの演奏で数曲を覗けば短い曲ばかり。KING CRIMSONの前夜というよりは、GILES, GILES & FRIPPの延長戦という感じですね。JUDY DYBLEが歌えば洗練されたTRADER HORNに聞こえるし、MICHAEL GILESかIAN McDONALDが歌えばそのままMcDONALD&GILESのよう。ということはCRIMSONのファーストてのは突然変異だったのでしょうか。

 「I TALK TO THE WIND」が2バージョンあって、JUDY DYBLEが歌う方はCRIMSONのベストに収録されてました。これが目当てで本盤を買ってしまいました。その他、CRIMSONにつながる叙情性がある「UNDER THE SKY」、ほっと一息つけられる「PLASTIC PENNIES」、コーラスが美しい「WHY DON'T YOU JUST DROP IN」が好み。「WHY DON'T YOU JUST DROP IN」の2つめのバージョンでFRIPPお得意の気持ち悪いギターが聞こえてきますが、据わりが悪くて浮いて聞こえます。(2001/11/03)



GENESIS GENESIS / THE GODS

 後にURIAH HEEPで活躍するKEN HENSLEYとLEE KERSLAKEがいたグループ。MICK TAYLORやGREG LAKEも一時期在籍したことでも有名。セカンドの方が有名みたいですが、これは1968年発表のファーストにシングル曲4曲をプラスしたCD。

 アルバム本編の方は曲間にピッチをあげたような声や断片的な演奏が間奏曲風に入りますが、サイケ・ポップというよりは、ハード・ロックの原型。さらに言うなら後のURIAH HEEPを思わせる音。暗くて重いところもあるが、ドラマチック。ギターもよく切り込んでくるが、やはり全編ハモンドが目立ち、時にはメロトロンもたなびく。やや泣きの入ったメロディーにそれを強調するかのような厚めのコーラス。わかりやすくてとっつきやすいドラマチックさがあるのですが、その反面(URIAH HEEPもそうですが)安っぽくも聞こえます。1968年にしてこのスタイルを確立したという事では、実に先駆的だったかもしれません。当時のPRETY THINGSをもう少し整理したような音にも聞こえます。

 3曲目「YOU'RE MY LIFE」はホーンが入るためか比較的モッズぽい音。6曲目「RADIO SHOW」もR&B調で始まるが、途中からポップな展開。10曲目「TIME AND ETERNITY」も比較的疾走感があり、アルバム〆にいいかも。4曲目「LOOKING GLASS」、7曲目「PLASTIC HORIZON」、9曲目「I DON'T KNOW」での大風呂敷広げたようなまったりさはHRやHMにアレルギーのある人には辛いだろう。

 シングル曲はアルバムと若干アプローチが違っていて面白い。デビュー曲「BABY'S RICH」ではハモンドでなくピアノ使用のため、軽さがある。「SOMEWHERE IN THE STREET」がB面ながら最もキャッチー。アルバム本編では冗長なところもあった彼等の持ち味が、この曲ではコンパクトにうまくまとめている。EMI関係のオムニバスにもよく収録されている「HEY BULLDOG」はホーンとの絡みが格好良い。そのB面「REAL LOVE GUARANTEED」はブギー調。(2003/08/31)



SAIL IN MY BOAT SAIL IN MY BOAT / GORDON HASKELL

 一般的には元KING CRIMSONとして知られる彼が1969年に発表したファースト・ソロ。彼はFLEUR DE LYSにいたり、ROBERT FRIPPの旧友ということでKING CRIMSONに加入したが一度もライブをやらなかったとか、一時的にSTACKRIDGEにいたとか、その後山口百恵のバックもやってたり、ソロとしてのキャリアもあったり、そのソロとして2001年には「HOW WONDERFUL YOU ARE」が英で2位まで上がるヒットになったり、生々流転というか人生いろいろというか、様々な遍歴を持つ人物です。

 さて、このアルバムではFLEUR DE LYSでのR&B趣味やKING CRIMSONぽさは皆無、実に感傷的かつソフトな内容です。SSW風でもあり、ジェントリーなバラード・シンガーを気取ったようでもあります。ボーカリストとしては何とも未完成ですが、その不器用さや青臭さが、センチメンタルな曲調にはマッチしています。バックも麗しいストリングス系やフルート、オーボエが大フューチャーされています。サイケ・ポップ調というよりはやや歌謡曲風ですが。ともかく、無邪気なジャケットも含め、何となく愛着を感じさせる作品群です。

 波の音のSEで始まる冒頭の「BOAT TRIP」、軽妙でシングル曲向きな「OO LA DI DOO DA DAY」の2曲が特に出来が良いように思えます。「BETTER BY FAR」はちょっとWORLD OF OZ風。アルバム中では異色のトロピカルな「ZANZIBAR」は、彼の公式サイトによると1968年に南アフリカで1位になったとのこと。(2005/05/15)



THINKING BACK THINKING BACK / GORDON JACKSON

 1969年にMARMALADEレーベルから発表された彼の唯一のアルバム。レーベル閉鎖間近で、ほとんどプロモートされず、市場にもあまり出回らず、幻の作品だったとのこと。GORDON JACKSONという人はTRAFFIC結成前のDAVE MASONやJIM CAPALDIとバンド結成していたり、FAMILYのPOLI PALMERとソングライト活動していたこともあり、この作品はDAVE MASONプロデュース、バックにはTRAFFICのメンバー全員やFAMILYのメンバーも参加。

 いざ聴いてみると、GORDON JACKSONの、TIM BUCKLEYのような朗々とした声が意外でした。演奏はストリングス系が被さらず、バンドのみ。収録曲はアシッド的な曲とスワンプ寄りの曲に大別される。「THE JOURNEY」「MY SHIP, MY STAR」「WHEN YOU ARE SMALL」あたりは前者、「SONG FOR FREEDOM」「SING TO ME WOMAN」あたりが後者、「ME AND MY DOG」が最もコマーシャルな曲、と思えます。あえてTRAFFICで例えてみると、ファーストとセカンドの間で、どちらかというとセカンド寄りという作風でしょうか。(2006/03/19)



THE JASON LODGE POETRY BOOK THE JASON LODGE POETRY BOOK / GOTHIC HORIZON

 ジャケ買いしてしまった一枚。GOTHIC HORIZONという名のフォークデュオが1971年に発表したファースト。その後1973年にセカンド「TOMORROW'S ANOTHER DAY」を発表していて、さらにその後メンバーの片割れANDY DESMONDはKINKSが作ったKONKレーベルからソロを出しているそうです。

 演奏は、弾き語り+コーラスが主体でドラムレスだが、曲によってはフルートやらメロトロンやらが色を添えている。

 口笛から始まって、やたら脳天気なシャッフルのタイトル曲「THE JASON LODGE POETRY BOOK」が1曲目ですが、大半はしんみりと歌う曲ばかり。その中では「SONG FOR SUSAN」「ODYSSEUS」「SONG」あたりが良い出来。しかし声質は明るいのでそんなにシリアスさはない。若干アシッド色はあるが、程良く健康的で、ドリーミーというよりはイイ気分という印象です。(2002/05/12)



THE GRAHAM GOULDMAN THING THE GRAHAM GOULDMAN THING / GRAHAM GOULDMAN

 60年代は主にヒット曲を提供する作曲家として、70年代は10CCで活躍したGRAHAM GOULDMANが1968年に発表したソロアルバム。

 収録曲は「FOR YOUR LOVE」「BUS STOP」などヒット曲のセルフ・カバーも多く、ぬるいポップ・アルバムな佇まいかと思いきや、意外にもアシッドでフォーキーで軽くサイケデリアも感じられる作品集。ジャケもそうだが当時当地のロンドンを想像させる音です。当時のDONOVANやらPHILAMORE LINCOLNを思わせるところもある。A面後半にあたる部分、構成も幻想的な「BEHIND THE DOOR」、少々エキゾチックな「PAWNBROKER」、「WHO ARE THEY」あたりは特にそう感じます。そういえば、GRAHAM GOULDMANとPHILAMORE LINCOLNのルックスはかなり似てますね。

 セルフ・カバーの楽曲では、どれもJOHN PAUL JONESによるアレンジのセンスが目立ちます。「BUS STOP」は硬質なストリングス系のみで始まり、途中からバンド演奏が切り込むところはなかなか格好いい。「NO MILK TODAY」は冒頭にラーガぽいフレーズを入れてみたり、「UPSTAIRS,DOWNSTAIRS」もオーボエが印象的。「FOR YOUR LOVE」は軽くボーカルにエフェクトかけただけでシンプルなアレンジ。書き下ろしらしい「THE IMPOSSIBLE YEARS」「MY FATHER」も実に聴きやすい仕上がり。最後は「CHESTNUT」というインスト。オルガンがいい味だしてるが、これもJOHN PAUL JONESが弾いてるのでしょうか。

 GRAHAM GOULDMANのボーカルは音程的に危ういところもあり、彼が弾いたというギターもヘタウマ。という訳で楽曲はGRAHAM GOULDMANによるものでもJOHN PAUL JOHNSの色合いが濃いアルバム。PETER NOONEがプロデューサーに名を重ねているが、ライナーによるとスタジオには来なかったそうで。やっぱり。(2004/02/08)



AROUND GRAPEFRUIT AROUND GRAPEFRUIT / GRAPEFRUIT

 TONY RIVERS&CASTAWAYSのメンバー3人+1人によるグループの1ST。APPLEレコードのディレクターが発掘しJOHN LENNONが名付け親(オノ・ヨーコの作品から取ったという)というのに、なぜかTERRY MELCHERのEQUINOXで制作された経緯からも判るように、ソフトロック(ソフトサイケ)とサイケポップ、両方の要素が混在になった一枚。

 「ビギン」や「名うてのバーズ兄弟」のようなすこし霞がかった音像で、湿っぽいけど耳を惹きつけるメロディーがあちこちに転がってます。よくBEATLES風と評されてますが、それよりはBAD FINGERに近いと思います。

 ソフトロック寄りの部分は、まずFOUR SEASONSで有名な「C'MON MARIANNE」のカバー。さすがTONY RIVERSと一緒だった人達なのでコーラスも良いが、この曲の音圧の高いホーンは気持ち良い。「ROUND GOING ROUND」もコーダ部分が当時を物語ってますが、TONY RIVERS調。

 夢見心地な「LULLABY」のアレンジや「AIN'T IT GOOD」の間奏あたりは英サイケポップなとこ。デビュー曲「DEAR DELILAH」のフランジャーがかかったボーカルと室内楽のような間奏や、インスト「THEME FOR TWIGGY」のメロトロンが活躍するお耽美な世界は、まるで「ALL OF US」の頃のNIRVANA(UK)のようです。

 そのほかもモータウン風のイントロで始まってキャッチーなメロが展開する1曲目の「ANOTHER GAME」や、KINKSの「AUTUMN ALMANAC」をBEATLES風にしたような「YES」が聴きもの。

 BEATLESの広報担当スタッフだったDEREK TAYLORが英文ライナーを書いてますが、GRAPEFRUIT自身には殆ど触れていないのが面白い。彼は一時期BEATLESから離れてBEACH BOYSやBYRDSの仕事をしていたという事なので、きっと彼がGRAPEFRUITをTERRY MELCHERに紹介したのだと思います。(2000/09/03)