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British Rock or Psyche Pop etc...
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MERCATOR PROJECTED MERCATOR PROJECTED / EAST OF EDEN

 ジャズロックに分類されることが多い彼らが1969年に発表した1ST。本作では若干サイケな要素があるが、2ND以降は未聴ですがよりジャズぽくなり、意外に息の長い活動をしたらしい。この1STは90年代初頭にも日本でCD化されていたが、今回は紙ジャケ仕様でのCD化。ジャケットは裏ジャケも含めてオリエンタル風味といったところ。帯には初期PINK FLOYDと並び賞される...とありますが、PINK FLOYDに似ているとはあまり思えない。

 歪み気味なバイオリンがこのバンドの看板ですが、曲によってはフルートやサックスも活躍している。あとはうまくないボーカルにうねるベース、ギターは目立たない。ときにジャズぽいパートも結構あったりして、SOFT MACHINEの1STを重くしたような部分もある。ジャズとブルースが入りまじった、その混沌とした熱気は伝わってくる。かと思うと叙情的なとこもあったりして、時期的に早いけど基本的にプログレな印象ですね。

 1曲め「NORTHERN HEMISPHERE」のフリーキーなエンディングから2曲め「ISADORA」のフルートの出だしあたりなんて、KING CRIMSONのファーストを思わせます。EAST OF EDENの方が発表が早いですが。4曲め「CENTAUR WOMAN」は何ともブルージー。当時にしてはベースソロがあるのは珍しい。6曲め「COMMUNION」のチェンバーな出だしからプログレぽいイントロに移るのも1969年にしては新鮮だった事でしょう。

 それから、対訳は古い「rockin' on」誌読者には懐かしい岩谷宏によるもの。「世界の投影」なる本作の邦題も彼によるものなのかもしれません。対訳したのはいつ頃なのでしょうか。(2001/01/07)



EDWARDS HAND EDWARDS HAND

 待望久しいCD。PICADILLY LINEから名を変えたデュオチームの1969年発表ファースト。米国でしか発売されなかったのが信じられない程のクオリティを持つ一枚。GEORGE MARTINプロデュース、GEOFF EMERICKエンジニアという「売り文句」も不要なほどです。1968年秋にEMIスタジオ録音されたとの事ですが、BEATLESがWHITE ALBUMの制作が最終盤の頃に同じ場所で、干されかかったプロデューサーと飛び出したエンジニアにより作られたという裏BEALTESともいえる作品。

 で、内容は、CHAD&JEREMYにも通じる繊細なコーラスと内向的なメロディー。そこにGEORGE MARTINブランドの端正なアレンジメントが幾重にもオブラートに包めています。ベストは1曲目の「BANJO PIER」、キャッチーな曲調とゴージャスなアレンジメントが耳を惹きつけます。一般的にはオーバー・プロデュース気味の作品なのでしょうが、サイケ・ポップ好きには気持ちよく身を任せられる音です。(デモ音源のボーナストラックは除く)

 英本国では発売されていないとのことですが、当時日本では2曲目「FRIDAY HILL」と3曲目「EPISODES,BEING THE FIRST PART」のカップリングでシングルが出ていたようです。

 収録曲中唯一オリジナルでない「IF I THOUGHT YOU'D EVER CHANGE YOUR MIND」は、PICADILLY LINEのプロデュースもしたJOHN CAMERONの作。ドラマチックですが、アルバム中で唯一ショービズ臭も感じさせると思ったら、CILLA BLACKがヒットさせた曲とのこと。CILLAバージョンもGEORGE MARTINプロデュース。近年、ABBAのアグネッタがカバーしたようです。(2007/12/24)



STRANDED STRANDED / EDWARDS HAND

 1970年制作、1971年リリースの、今度は英国でもリリースされた彼らのセカンド。ファーストと同様にGEORGE MARTINプロデュース、ジャケットはKLAUS VOORMANNという、またしても裏BEATLES的な布陣。B面後半がメドレーなのはABBEY ROADを意識したのか。

 ですが一目瞭然、売れることを拒否するかのようなジャケット、そして出だしのアグレッシブでハードなリフ、アメリカと死をテーマにしたコンセプトアルバム、といった70年代初頭の英ロックらしい、暗くて重いアンダーグラウンド臭も濃厚に漂ってきます。

 彼らのメロディとコーラスは相変わらず繊細だし、4曲目、5曲目や組曲での一部分のアレンジメントはGEORGE MARTINらしい端正さもあります。ただ、アーシーかつねちっこい演奏やホーン類、そして前述のジャケットやテーマが目立ってしまい、繊細かつ端正な箇所は一見、埋もれてしまっているとも感じます。なんとなくNIRVANAの「 LOCAL ANAESTHETIC」を思い起こさせました。

 同じGEORGE MARTINプロデュースで、テストプレスだけしたという幻のサード「RAINSHINE」の正式リリースが望まれるところです。(2007/12/30)



BLOWS YOUR MIND BLOWS YOUR MIND/THE ELECTRIC BANANA

 PRETTY THINGSが1967年から1969年にかけて変名で発表したサウンドトラック用音源からヴォーカル入りの15曲をチョイスしたもの。ロック・オペラ「S.F.SORROW」の制作費を稼ぐためだったとも言われている。

 アルバイト感覚のためかシンプルですっぴんに近い音。だがそれが逆に効を奏してタイトで疾走感溢れる演奏を聴く事が出来ます。創作欲がピークの頃だけに楽曲の出来も余技の域をはるかに越えており、アレンジに凝って音を重ねまくっているこの頃のPRETTY THINGS名義の楽曲よりも理屈抜きで気楽に聴けます。

 アグレッシブでストレートな演奏のカッコいい曲のほかにも、ヤケクソにポップなのが愉しい「WHAT'S GOOD FOR THE GOOSE」、MG'Sを気取ったようなホーンを被せた渋い「IF I NEEDED SOMEONE」「WALKING DOWN THE STREETS」、後半の展開が初期のSOFT MACHINEを思わせる「BLOW YOUR MIND」、BEE GEESの「I CAN SEE NOBODY」のメロディーをパクったアンサーソングのような「I SEE YOU」(これは「S.F.SORROW」にも別アレンジで収録)など、曲調に幅を持たせた選曲もうれしいとこです。その一方、インストも少し収録されても良かったのではとも思います。

 が、ヴォーカル曲でまとめた事によって、「ロック」という言葉がとても似合う一枚になったと思います。(2000/04/02)



ELMER GANTRY'S VELVET OPERA ELMER GANTRY'S VELVET OPERA

 後にALAN PARSONS PROJECTのボーカリストの一人となるELMER GANTRYを中心とした彼等が1968年に発表した1STアルバムにシングル曲をプラスしたCD。期待を持たせるジャケットです。翌年の2NDではELMER GANTRYが抜けてVELVET OPERA名義になっています。

 まず1曲目のイントロには少々驚きます。この時代とはおもえないファンキーでタイトなドラムとベース。そういえばリズムセクションの2人は後にSTRAWBSに加入したそうです。

 前半は蓮っ葉なボーカルを生かした曲多い。フリークビートというか、SOFT MACHINEの1STをもっとラフに、ハードにしたようなダダイズムな感触。

 後半はメロトロンが活躍するメロディアスな曲が多い。「LONG NIGHTS OF SUMMER」など、端正なサイケデリック・ポップで、MANFRED MANNを思わせます。個人的には後半の方が好きです。

 ただ、ビート・バンドやサイケの皮を被ってはいるが、その皮は薄く、混沌とした中身が透けて見えるようです。

 シタールを使ったアシッドな曲もあれば、レビューのような曲もあり、デビュー曲はモータウンなイントロで始まるモッズな曲、その他にもブルース調、インストもありとバラエティに富むというよりも若さに任せたむちゃくちゃな作りが愉しい。(2000/06/11)



THE FIRST... THE FIRST... / EMMET SPICELAND

 1968年にPAGE ONEレコードから発表されたアルバム。KINKSのマネージャーだったLARRY PAGEが創設したPAGE ONEレコード中でもレア盤だそうですが、これが注目されるのはそれだけでなく、70年代アイリッシュ・フォーク・シーンのVIPだったというDONAL LUNNYという方が参加しているからとのこと。

 最近までこの辺に疎い私は全然知りませんでしたが、フェアポートやペンタングルなどのよる英フォーク/フォーク・ロックの興隆に呼応するように、70年代にアイルランドでも新しいフォークのムーブメントがあり、その中心人物の1人がDONAL LUNNYだったとのこと。その流れが、90年代以降ブームになる現在のアイリッシュ・ミュージックの下地になったそうです。

 で、本盤を聴いてみると、独特のビブラートかかった声により、1曲を除き、トラッドをアレンジした曲が歌われ、全編が落ち着いたほの暗い雰囲気で見事に統一されています。カントリー、ジグぽい曲も混ぜながらバラッドぽい曲が中心ですが、カレッジ・フォーク風のコーラスが、当時当地の他のグループと差別化された特色とのこと。

 サイケ・ポップとして聴くと、4曲目「THE LOVER'S GHOST」が典雅な管楽器で彩られて、ほぼ唯一の聴きものです。また、ハーモニー・ポップ/ソフト・ロックからみると前時代的な感触で、ロック色もまったく感じられないので、その手のファンにはキツそうな一枚。ということで、このアルバムは英やアイルランドのフォーク/トラッド好きにとって歴史学的に重要な一枚、という位置づけなのだと思います。(2006/06/11)



INTROSPECTION INTROSPECTION / THE END

 ROLLING STONESのBILL WYMANプロデュースで知られる。1969年発表ながら制作されたのは1968年でSTONESが「SATANIC MAJESTIES...」を作っていたのと同時期だとか。彼らはこれ以前にPHILIPからシングルを出しているが、そちらもBILL WYMANプロデュースのもよう。

 CHARLIE WATTSが収録曲「SHAPES OF ORANGE」でタブラを、NICKY HOPKINSが「LOVING SACRED LOVING」でリリカルなハープシコードを担当しているのが目を引く。その2曲はどちらもBILL WYMANが作曲に関わってもいる。GLYN JONESがミキシング・エンジニアと、STONES人脈が多い。

 表題曲「INTROSPECTION」をパート1と2に分けてA、B面の最後に置いたり、途中に老人の語りが入ったりするが、音自体はアーシーになる前のSTONESのように意外とポップで聴きやすい。

 また、「SHE SAID YEAH」はSTONESがパンキッシュにカバーしてましたが、ここではジャジーでなかなかおしゃれなアレンジになっているのが面白い。やはりポップな前曲「LOVING SACRED LOVING」から切れ目無く続く構成も良い。

 メンバーのオリジナル曲の中では表題曲「INTROSPECTION」が一番勢いを感じる。コーラスも含めてPRETTY THINGS風。その他「DREAMWORLD」、メロトロン入り「CARDBOARD WATCH」が良い出来。(2001/10/07)



LOVE,HATE,REVENGE LOVE,HATE,REVENGE / EPISODE SIX

 DEEP PURPLEのIAN GILLANとROGER GLOVERがいた事で知られる男女混声グループ。1966〜1969年にかけて、変名で出したものも含め11枚ものシングルを発表しながら活動当時はアルバムを発表しなかった彼ら。そんな彼らの音源を収めたCDは何度も出ていますが、これはその集大成ともいえる、2005年にSANCTUARYから出た2枚組みCD。1枚目はシングル曲集、2枚目はデモやライブを含むその他の音源を収めています。

 1枚目はほぼ発表順に収録。彼らはPYEレーベル関係のコンピ盤での大常連でもあるので、個人的には知っている曲が多いのですが、改めて順番に聴いてみると、音楽性の変遷(試行錯誤)が判り、面白い。最初はマージービートの発展系であったのが、ハーモニー・ポップ風あり、BEACH BOYS風あり、R&B風ありですが、1967年に入るとサイケが入り、楽曲のグレードも上がったように感じます。このCDのタイトルとなった「LOVE,HATE,REVENGE」、オリジナル「I CAN SEE THROUGH YOU」はサイケ・ポップの佳作、「SUNSHINE GIRL」もオリジナルでピースフルな小品。「MORNING DEW」も堂々たる出来合いです。

 MGMから出たEPISODE名義の「LITTLE ONE」もホーンが快調、CHAPTER ONEから出た「LUCKY SUNDAY」もそれなりに壮大なサイケ・ポップ的バラード。そのB面だった「MR. UNIVERSE」は当時のSTATUS QUO的なややうねる曲調で、後にGILLANNでも取り上げたとの事。

 最後のシングル「MOZART VERSUS THE REST」はLOVE SCULPTUREの「SABRE DANCE」と同じコンセプト。NEO MAYA名義で出した「I WON'T HURT YOU」はカバーながら間奏のオーケストラレーションが意外、そのB面曲「U.F.O.」はドラムと語りのみの、サイケらしいといえばサイケらしい作品。

 2枚目では変な発信音が間奏に入る「LOVE,HATE,REVENGE」のUSバージョン、「TIME AND MOTION MAN」が個人的には気に入る。1964年や1965年のデモ録音ではコーラスを生かした演奏をしようとしているのが伺え、ライブ音源では、JIMMY WEBB作品のパワフルなカバー「ORANGE AIR」が印象的。LOVEのカバーなど、米グループの影響をうけていた事が改めてわかります。それにしてもライナーノーツにある写真を見て思うのは、ROGER GLOVERはJOHN LENNONに似ている、ということです。(2006/12/17)



LOVE IS LOVE IS / ERIC BURDON AND THE ANIMALS

 ANIMALSがERIC BURDON AND THE ANIMALS名義で1968年に発表した2枚組アルバムをCD化したもの。その後再結成を何度か繰り返すけど、本作でANIMALSとしての活動は終わる。この時期は後にPOLICEで注目されるANDY SUMMERSや、ZOOT MONEYがいた。あと本作発表後日本公演を行ったが、プロモータと日本刀も飛び出す騒動になり、ギャラももらえず逃げ帰ったとのエピソードも残る。

 当時らしいアルバムタイトルだけど、脳天気でハッピーなとこは無い。野暮ったい演奏ではあるけどスワンプぽくもあり、ERIC BURDONのソウルフルな声と相まって、異様にハイテンション。これがLP2枚組分のボリュームがあるのだから、実に濃厚なアルバムです。1曲目「RIVER DEEP,MOUNTAIN HIGH」ではTINA TURNERの名前を執拗に繰り返す。2曲目「I'M AN ANIMALS」では音が割れているようなコーラスが曲を盛り上げる。3曲目唯一のオリジナル「I'M DYING OR AM I?」が一番シングル向きな曲調。4曲目「RING OF FIRE」でのERIC BURDONは最も気迫が感じられる。5曲目「COLOURER RAIN」ではANDY SUMMERSらの長いギター・ソロにホーン類が絡みつく。6曲目「TO LOVE SOMEBODY」はBEE GEESのカバーだけどちょっとありきたりかな。7曲目「AS THE YEARS GO PASSING BY」はスローなブルーズ。8曲目「GEMINI」と9曲目「THE MADMAN」はアナログ盤ではメドレー表記になって片面これで占められてたおり、これもテンション高いけど「GEMINI」の後半は少し冗長。少し編集すればもっと名演になったであろう。

 ANIMALSって「朝日のあたる家」の印象が強いせいか、それとも途中からアメリカ中心の活動になったためか、またはアクの強いERIC BURDONの声質のせいか、他の同時期同程度のビックネーム、例えばKINKSやWHOに比べるとほとんど再評価されていないような気もします。この「LOVE IS」も1991年にCD化されたけど、それ以降リイシューされてない筈。(2002/11/02)



THE BEST OF THE BEST OF / ERIC BURDON AND THE ANIMALS

 DECCA時代(1966-1968)のベスト盤CD。アーティスト名表記はERIC BURDON AND THE ANIMALSだが、ANIMALS時代をも含んでいる。

 シングル曲を中心としたほぼ発表順の選曲。そのため「DON'T BRING ME DOWN」「SEE SEE RIDER」「INSIDE LOOKING OUT」あたりは初期のR&Bスタイル。オルガンが目立ちモッズぽくもある。「HELP ME GIRL」「WHEN I WAS YOUNG」あたりの過渡期。「SAN FRANCISCAN NIGHTS」「SKY PILOT」といったサイケに浮かれていた時期、そして「RIVER DEEP MOUNTAIN HIGH」で再び黒っぽいスタイルに回帰してゆくという変遷が、よく判ります。

 ERIC BURDONの、泥臭く情念こもりすぎの声が、まさに洗練とは対極。ソフト・ロック寄りの人には鬼門でしょうね。そんな中でも「HELP ME GIRL」の意外なポップさ、ラグタイム調ピアノなどがKINKSを思わせる「GOOD TIMES」、エレアコ?とストリングスが美しいバラード「ANYTHING」、間奏で爆撃音とバグパイプがコラージュされ最後はオーケストレイテッドな力作「SKY PILOT」、肩から力を抜いた感の(でも間奏ではファズ満載ギターが入る)「WHITE HOUSE」などはすぐれた楽曲。

 このCD1991年に出たもので、ライナーはROCKIN' ON誌でおなじみの松村雄策氏。ライナー中のアバウトなチャート記録がいかにも彼らしい。(2003/07/13)



THE EXCEPTIONAL EXCEPTION THE EXCEPTIONAL EXCEPTION / THE EXCEPTION

 バーミンガム出身の4人組による1969年発表の唯一のアルバム。なんとなく雰囲気のあるジャケットに惹かれて買ってみましたが、中身は「硬派」な内容。R&B/ブルージーなギター中心の演奏にやや搾り出すようなボーカルが乗り、時折渋めのブラスセクションが絡む。ダウナーなところもあるが、叙情的な面は無い。フェアポート・コンヴェンションのデイヴ・ペグを在籍したというが、フォーク色は殆んど感じられない。メロディはコマーシャルなところも若干あり、シングルオンリーの曲も聴いてみたかったところです。(2007/06/10)