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British Rock or Psyche Pop etc...
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FOOLISH SEASONS FOOLISH SEASONS / DANA GILLESPIE

 1967年に制作、1968年に発表された彼女のファーストをCD化したもの。1970年代にDAVID BOWIEとのコネからRCAからケバいジャケの作品を出していたのが比較的知られてますが、60年代からキャリアがある人で、このアルバムの前にもPYEから3枚のシングルを出しているそうです。(その一部は「HERE COMES THE GIRLS!」シリーズで聴くことができます。)

 1曲目「YOU JUST GOTTA KNOW MY MIND」はDONOVAN作曲、JIMMY PAGE参加というセールス・ポイントがある曲で、意外にもかなりガレージぽい曲。だが、その後はサイケ・ポップやフォーキーさも感じる、スウィンギング・ロンドンらしい楽曲が続いています。MIKE VICKERSがMUSICAL DIRECTIONを担当したそうですが、実に特にコマーシャルな出来あがりの曲が並びます。特にBILLY NICHOLSの2曲「LIFE IS SHORT」「LONDON SOCIAL DEGREE」は華やかなアレンジも曲の良さを引き立てており、聴き所です。「CAN'T YOU SEE I'M DREAMING」「WHERE WILL YOU BE」も華やかなサイケ・ポップ。スローな「SOUVENIRS OF STEFAN」、自作の「HE LOVE ME, HE LOVES ME NOT」「FOOLISH SEASONS」も悪くない。個人的には嬉しい掘り出し物でした。

 このCDはソフト・ロック/ハーモニー・ポップで有名なREV-OLAからのリリースで、ちょっと意外な気がしますが、「TAPESTRY OF DELIGHT」というこの手のエンサイクロペディアによると、このファースト・アルバムはアメリカでのみリリースされたとのこと。このファーストと同じ1968年にはセカンド・アルバムにあたる「BOX OF SURPRISES」も出しており、これもCD化を熱望しています。(2006/04/02)



BOX OF SUPRISES BOX OF SUPRISES / DANA GILLESPIE

 彼女のセカンド・アルバムですが、ファースト「FOOLISH SEASONS」はアメリカのみリリースだったため、英本国では最初のアルバム。ファーストと同じようにREV-ORAから、2008年にCD化されました。

 前作「FOOLISH SEASONS」はMIKE VICKERSによるサイケ・ポップ/フォーキーを感じるポップ・ボーカル作品という出来でしたが、こちら一転。すべて自作曲をMIKE VERNONがプロデュースしたロック・オリエンティッドな作品。出だしからして、スローなブルースだし、他も中近東ぽさを感じるヴァイオリンなど、エキゾチックな香りを加えた曲が多い。

 ただ、前作の延長線にあるようなコマーシャルな曲も挟み込まれており、またも収録された前作のタイトル曲以外にも「WHEN DARKNESS」「GRECIAN ODE」「BY CHASING DREAMS」などでは一息つけます。「FOR DAVID, THE NEXT DAY」はファーストデートの相手だったというDAVID BOWIEを歌った曲かもしれません。(2008/10/26)



CHARIOT RISING CHARIOT RISING / DANTALIAN'S CHARIOT

 ZOOT MONEY'S BIG ROLL BANDがサイケブームに対応してその名称を変えたグループ。ANDY SUMMERS(当時はSOMERS)も在籍。活動中はシングル1枚しか発表していないが、1995年にTENTH PLANETから未発表曲を含め全9曲のLP化、1996年にはさらに1曲プラスしてWOODEN HILLからCD化。私が持っているのは1997年に出た日本盤CD。

 唯一のシングル曲にしてアルバム1曲目「MADMAN RUNNING THROUGH THE FIELDS」はイントロのテープ逆回転やベースラインがTOMORROW「MY WHITE BICYCLE」風。出自のためかTOMORROWより泥臭くてゴリゴリした演奏。後にERIC BURDON AND THE ANIMALSが「LOVE IS」で取り上げていますが、そこにはZOOT MONEYもANDY SUMMERSもメンバーで参加しているので、カバーというよりはリメイクに近いですね。続く2曲目「WORLD WAR THREE」はイントロでワウをかましてくれる。なかなか熱い演奏でこれもERIC BURDON AND THE ANIMALSでも取り上げて欲しかった。3曲目シタール中心のダウナーなインスト「THIS ISLAND」で一度クールダウンする構成も良い。4曲目「FOURPENNY BUS RIDE」はCREAMの「WHITE ROOM」風。

 その後は穏やかな曲が多く、色んなタイプの曲があり、試行錯誤も伺える。シングルB面曲でメロディアスで静かめな「SUN CAME BURSTING THROUGH THE CLOUDS」、アコースティックなバラード「RECAPTURE THE THRILL」、シタールとフルートによるインストでBLUES PROJECTも連想させる「SOMA」、CREAMも取り上げたという「COFFEE SONG」、当時のサン・フランシスコへの憧憬が感じられるジャジーな演奏の「HIGH FLYING BIRD」という感じで、サイケというよりは意外とポップだったりアコースティックだったりジャジーだったりする。(2003/10/12)



THE SINGLES THE SINGLES / DAVE BERRY

 1963-70年までDECCA、1972-73年にCBSにディスコグラフィーがある英歌手。1966年までは英シングル・チャート上に好記録を残している。オランダやベルギーでも人気があり、このCDもオランダから出たシングル曲集。

 芸名の由来ともなったCHUCK BERRYのカバーでデビューするように、2枚目のシングルまではR&B/ブリティッシュ・ビート色濃厚。だがその後は(少なくともシングル曲では)ポップ・シンガー的。4枚目となるシングル「THE CRYING GAME」が英5位のヒットとなってからは、ふにゃりとしたバラードタイプの曲が多い。その軟弱な脱力感が受け入れられるかどうかで、好き嫌いが分かれそうです。(私は好きです)

 また、このサイト的に気になる作者の曲をよく取り上げているのが嬉しい。まず、軟弱つながり?のKINKSのデモから選んだという「THIS STRANGE EFFECT」。これも「THE CRYING GAME」タイプだから選んだのでしょうが、オランダで1位になったとのこと。GRAHAM GOULDMANが書いた「I'M GONNA TAKE YOU THERE」、BEE GEESの豪時代の曲「FOREVER」も彼らしい、ふにゃりとした仕上がり。GREENAWAY=COOKの「GREEN GLASS」やPETE DELLOの「DO I FIGURE IN YOUR LIFE」は素直なカバー。

 GODLEY&CREMEが書き、プロデュースもした「CHAPLIN HOUSE」が最大の発見でした。10cc時代の諸作ように哀感あるメロディーはいかにもGODLEY&CREMEらしい佳作。その後のALAN PERSONS PROJECTで知られる ERIC WOOLFSONによる「MOVIN'ON」はT.REXの「GET IT ON」と同じギターリフと手拍子がいかにもグラム・ロック的な曲。(2007/04/22)



IF NO-ONE SANG IF NO-ONE SANG / DAVE DEE, DOZY, BEAKY, MICK & TICH

 日本ではデイブ・ディー・グループと表記された彼等のサード・アルバム。このグループはGS勢にカバーされた事でも知られますが、ジャケットのデザイン(本作は地味だけど)やファッションでも影響を与えたと思われる。

 アルバム本編は、フォーキー風のタイトル曲が最初と最後にありますが、収録曲はスパニッシュ風やラテン風が半数近く。イギリスから地中海を経由して大西洋の対岸に向かっているような、トロピカルでリゾート感覚もあるアルバム。

 それ以外では、室内楽風で端正なアレンジが香り高い「WHERE FROM, WHERE TO?」、ヴォードビル風でコミカルな「MRS. THURSDAY」、チャーミングな「THE TIDE IS TURNING」は英本国風。

 ボーナス・トラックは4つのパートがあって、まずは宣伝用非買品EP収録曲。コーラスもふんだんな明るいパワー・ポップ。次はシングル曲集。「PLEASE」「STILL LIFE」はB面曲ながらメンバーのオリジナルで哀感あるメロディを持つ佳曲。「LAST NIGHT IN SOHO」「THE WRECK OF THE ANTOINETTE」は「ミニ・ポップ・ミュージカル」路線かつ、明るく元気なティニー・ポッパー調。さらに次は未発表曲二つ。明るい「CHARLIE FARNS, BARNS HAS WON THE POOLS」と哀愁の「CASTLE FAR」、おそらく前者がシングルA面で後者がB面用の録音だと思われる。最後は「ZABADAK」「SAVE ME」のイタリア語バージョン。(2004/09/19)



THE DERAM ANTOLOGY 1966-1968 THE DERAM ANTOLOGY 1966-1968 / DAVID BOWIE

 タイトル通り1966-1968年にかけての、モッズ以降グラム以前の時期に当たるDERAM時代の作品集。初のソロアルバム「DAVID BOWIE」にシングル曲、フィルム「LOVE YOU TILL TUESDAY」サウンドトラックの曲を発表順に収録。ジャケでのペイズリーのシャツを着てニヤけた笑みが、その後の彼らしくない。

 初期のシングルおよびアルバム「DAVID BOWIE」あたりの編成は一応バンドスタイルのようだが、ギターはアコギが控えめになっている程度なので、ロック色が稀薄。オーボエやトロンボーンがリードを取る曲が多く、室内楽的なアレンジ。ボードビル風でもあり、シアトリカルなとこもあり。なんとなくミュージックホールで軽演劇を演じているようにも聞こえる。ともかくその後の彼の作品群と感触が大いに異なる、独特な音世界ではある。個々の曲や断片には良いところもあるが、色んな事をやろうとしているが力みすぎて空回り、アルバム通しだととても散漫。まだ若く、自己プロデュース力がまだなかったのか、出来はとっちらかっていて、芸術品としても商品としても中途半端。ただ声は全盛期のあの声そのもので、既に完成されている。

 19曲目「LOVE YOU TILL TUESDAY(SINGLE VERSION)」はアルバムのよりも随分派手めなアレンジで、これ以降その当時のサイケ・ポップ風な曲が続く。個人的にはこの部分が一番安心して聴ける。

 終盤は「LOVE YOU TILL TUESDAY」サウンドトラック収録曲で、1984年に初出の音源。FEATHERSというグループ(パントマイムの一座だったとか)として録音したらしいが、リミックスされているように聞こえる。24曲目「CHING-A-LING」は女性ボーカル。サビのコーラスがどこか聴いたことあるなと思ったら、「世界を売った男」収録の「SAVIOUR MACHINE」に再利用されたとのこと。最後は「SPACE ODDITY」の初期バージョン。(2003/11/30)



THE DAYS OF THE DAYS OF / DAVID McWILLIAMS

 「パーリー・スペンサーの日々」を1968年にヨーロッパ各国でヒットさせた、北アイルランド出身のSSW。このCDは2001年にRPMから出た、1967〜1969年にかけてのMAJOR MINORレーベル時代作品のアンソロジー。この後1970年代にはDAWNレーベルから3作品を発表し、2002年に逝去。ちなみに前述の代表曲「パーリー・スペンサーの日々」はMARC ALMONDにカバーされ、1992年には英で2位まで上がったとのこと。

 このMAJOR MINORレーベル時代は、後にGARY GLITTERを見出すMIKE LEANDERにより、ハイプな売り出し方をされたようですが、内容的には60年代後半らしいピースフルでポップなSSW的佇まいです。

 曲は、基本的にDONOVAN系のフェアリー・テイル的作風で、ジェントリー。時としてBOB DYLAN的な歌い方、「HIROSHIMA」なんていうプロテストソングやR&B的な曲もたまにある。だがどの曲もバックのアレンジはCAT STEVENSの1ST、2NDやAL STEWARTの1ST風にストリングス系やフルート等でけっこう厚くコーティングされている。したがってアシッドぽさはほとんど無い、ウェルメイドなプロダクションに仕上がっている。(2005/06/12)



TUESDAY'S CHILD TUESDAY'S CHILD / DEENA WEBSTER

 1968年にPARLOPHONEからリリースされたアルバム。某ラビリンス本で気になっていたのですが、2008年に紙ジャケCD化されてました。人気の?女優/モデルっぽい容姿のジャケットからはMARIANNE FAITHFULLを想起させますが、聴いてみると、声はソプラノでMARY HOPKIN風です。

 内容は、アルバムAB面の頭にあたる曲はストリングスが中心。ARTHUR GREENSLADEによる清楚なアレンジで個人的には興味深いですが、それ以外のフォーク寄りの楽曲が意外に本格的で味わい深い。もっとポピュラー歌手然としたアルバムかと思ってたので、意表をつかれた思いです。

 まあ、「朝日の当たる家」「ニューヨーク炭鉱の悲劇」はやや余計に感じますし、オリジナル曲はありませんが、DONOVAN,BOB DYLAN,JANIS IAN,PHIL OCHSの楽曲を彼女なりに消化して歌いこなし、彼女の爪弾くアコギに、ウッドベース、その他最低限のアレンジで落ち着いた良い雰囲気を作り上げています。特に4曲目「GEORDIE」、これは彼女のアレンジとなってますが、控えめなメロトロンとアコギの絡みが心地良い。

 ライナーによるとアルバムと同時期に5枚のシングルがあるとのことですが、それらが本CDに未収録なのは非常に残念。(2009/01/11)



HOME & AWAY HOME & AWAY / DEL SHANNON

 「RUNAWAY」で有名な人ですが、この作品はまさに「失われた」スウィンギング・ロンドン・アルバム。1967年に英国で制作されたが1978年まで発表されなかったアルバム。ANDREW LOOG OLDHAMプロデュース、BILLY NICHOLLSやTWICE AS MUCHのROSE/SKINNERが楽曲を提供し、ARTHUR GREENSLADEがアレンジという、IMMEDIATEレコードのスタッフで固められた作品。DEL SHANNONのボックスものでCD化されていたようですが、2006年にシングルバージョンを追加して単独CD化されていました。

 個人的にはTWICE AS MUCHの3曲ある提供曲に注目がいってしまいます。「LIFE IS BUT NOTHING」はP.P.ARNOLDや CHRIS FARLOWEのもカバーさせていた定番曲ですが、いきなり1曲目「IT'S MY FEELING」はいかにもTWICE AS MUCH風ななよっとした曲でTWICE AS MUCH自身のレコーディングが無いのでとても嬉しい。「EASY TO SAY EASY TO GO」もTWICE AS MUCHの録音が無い曲でIMMEDIATEらしいアレンジで満足。BILLY NICHOLLSの曲も3曲あり、うち「LED ALONG」「FRIENDLY WITH YOU」はここでしか聴けないようです。また、DEL SHANNON自作の曲も白昼夢な「SILENTLY」、力強い「HE CHEATED」共に佳作。「RUNAWAY '67」はまあ、ご愛嬌ですね。(2007/02/12)



MELLOW YELLOW MELLOW YELLOW / DONOVAN

 60年代英を代表するシンガー・ソングライターであり、当時のポップミュージックシーンでのVIP。大事に扱われた優等生というイメージを持ってます。少なくとも「BARABAJAGAL」までは奇跡的な才能を持つアーティストであり、彼を取り巻いたマネージメントは完璧なシステムでもあったと言えるでしょう。なにしろ旬のミュージシャンを参加させ、当時の流行スタイルを取り入れつつも、それに流されることなくイメージを崩すことなく、出来上がったものは彼しか作りえないお伽話的な音世界。あまりにものそつのなさ、破綻が無さが時につまらなくも感じられるほどです。

 なんだが前置きが長くなりましたが、これは1967年に出た代表作の一つ。1曲目「MELLOW YELLOW」は若干ユルめながらもフラワーな気分を満喫できる有名ヒット曲。やはり間奏で柔らかなホーンが入ってからの方が盛り上がる。10曲目「SUNNY SOUTH KENSINGTON」は米ではそのシングルB面曲。ジャズとロックの入り混じったような演奏。4曲目「THE OBSERVATION」等、このアルバムでは随所にジャズ風な演奏がある。

 個人的なお気に入りは2曲目「WRITER IN THE SUN」。聴くものをまどろみに誘うような素晴らしい曲。3曲目「SAND AND FOAM」、7曲目「YOUNG GIRL BLUES」は純粋な弾き語りだが、一転内省的になる。9曲目「HAMPSTEAD INCIDENT」も同路線だが、すすり泣くようなストリングスが悲しさを盛り上げる。8曲目「MUSEUM」はHERMAN'S HERMITSがサイケ・ポップにカバーしてましたが、DONOVANのオリジナルはシンプルで少々エキゾチック。(2003/06/28)



A GIFT FROM A FLOWER TO A GARDEN A GIFT FROM A FLOWER TO A GARDEN / DONOVAN

 1968年発表の2枚組LP。CDでは1枚になってます。米では先行して1967年に、「WEAR YOUR LOVE LIKE HEAVEN」「FOR LITTLE ONES」とバラで同時発売されていたそうです。

 1枚目にあたる「WEAR YOUR LOVE LIKE HEAVEN」部分はジャケのイメージ通り軽くサイケなフォーキー・ポップ。のどかな昼下がりに、ライトなドラッグでイイ気分になって、うたた寝しているようだ。ドロドロしたところやクセも無く、それなりに上品でまったりとしたプロダクション。収録曲中「OH GOSH」がキャッチーかと思う。波のSEで始まり、ストリングスにハープも絡む「SOMEONE SINGING」の能天気なピースフルさも出色。

 2枚目にあたる「FOR LITTLE ONES」部分はほぼ弾き語り。1枚目はその時代感覚による作品集ですが、こちらはナチュラルでジェントリーで清冽なフォーク作品集。1枚目はサイケ・ポップ好き向けの作品とすれば、こちらは英フォーク好きな方にはたまらない質感を持った作品群だと思います。(2005/07/31)



THE HURDY GURDY MAN THE HURDY GURDY MAN / DONOVAN

 1968年発表のアルバム。私が持っているのは2005年に出た、ボーナストラックつきリマスター盤。音質も良好です。

 タイトル曲でLED ZEPPELINの3人が参加したことが有名ですが、確かにアルバム中もっとも強烈な印象の曲です。震える声だけで始まる出だしも身震いものですが、JIMMY PAGEのギュワンとしたギター、JOHN BONHAMらしいジャストでないリズムのタムまわし、さらに効果的なシタール(JOHN PAUL JONESか?)が印象的ですが、呪術的なタイトルのリフレインといい、楽曲的にも優れています。ちなみにHURDY GURDYとは、弦楽器の一種で、弦に触れている木のホイールを回すことによって音を出すそうな。その楽器自体はこの曲では使われていないようです。

 この作品は、前述のタイトル曲だけ語られているような節もありますが、DONOVANのアルバムのなかで、もっともサイケ/アシッド色が強い作品ではないでしょうか。時期的にも、BEATLESと一緒にインドのマハリシ・ヨギのところへ行った前後に作った楽曲が多いのだと思います。「PEREGRINE」は当時のGEORGE HARRISON的なセンスを感じるし、「THE RIVER SONG」「TANGIER」にもアシッド臭が非常に濃厚だし、DONOVANらしくない、クールで、聴き手を突き放したような距離感も感じます。

 ただし、「JENNIFER JUNIPER」などの従来通りのフラワーでハッピーな作品も多く、ジャジーなやつもあり、ややバラけ気味と感じるほど、バラエティのある楽曲群です。ボーナストラックではLULUとのデュエット「WHAT A BEAUTIFUL CREATURE YOU ARE」が意外にもカリプソ風で面白い。「LALENA」の壮麗なストリングスも印象的。(2005/08/21)



BARABAJAGAL BARABAJAGAL / DONOVAN

 1969年発表のアルバム。ミッキー・モスト配下での最後の作品。これ以降活動が地味になり、70年代前半にも評価の高い作品を残してますが、ショウ・ビズ的には全盛期最後のアルバムと言えるかも知れません。私が持っているのは2005年に出たボーナストラック満載のリマスター盤。

 JEFF BECK GROUPが参加した、意外にもファンキーなタイトル曲が有名かも知れませんが、オリジナルの収録曲中の半分はロスで録音されており、リラックスしたポップ・ボーカル的作品が多く、アルバムとしてはこちらの印象の方が強い。サイケ/アシッド色が強かった前作からは一転してます。当地ではMAMA CASSやSTEPHEN STILLSなど有名人人脈を交えてセッションを始めたが、トリップばかりしていたそうです。

 JEFF BECK GROUP参加曲としては、その他「TRUDI」、ボートラ「STROMBERG TWINS」もありますが、従来のDONOVAN的楽曲のバックを淡々とこなしており、NICKY HOPKINSのピアノが若干目立つぐらいで、JEFF BECK参加作品として購入した人はやや落胆するかもしれません。それより「SUPERLUNGS MY SUPERGIRL」、ボートラで「SNAKESKIN」「A POOR MAN'S SUNSHINE」が「ロック」寄りの楽曲で、こちらにJEFF BECK GROUPを参加させるべきだったかと感じます。

 アルバム収録曲中ではフルートが印象的な「WHERE IS SHE」とMARY HOPKINに提供した「HAPPINESS RUN」のみはやや瞑想的な感触だなと思ったら、これらは前作「THE HURDY GURDY MAN」のアウト・テイクとのことです。

 その他ボートラでは、これもMARY HOPKINに提供した「THE SWAN」がジャジーでいい雰囲気。最後に収められたデモ7曲はMORGANスタジオの録音。MORGAN BLUE TOWNの作品群のようなサイケ・ポップを期待しましたが、シンプルな弾き語りでした。アコギにかかるエコーがMORGANスタジオらしいけど。(2005/08/28)



25 O'CLOCK 25 O'CLOCK / THE DUKES OF STRATOSPHEAR

 XTCがTHE DUKES OF STRATOSPHEAR名義で発表したサイケ・ポップの至宝。これは1985年に発表された1作目の6曲入りミニアルバム。単体ではCD化されていないのですが、次の「PSONIC PSUNSPOT」とカップリングで「CHIPS FROM THE CHOCOLATE FIREBALL」としてCD化されてます。

 個人的にはこれと2作目「PSONIC PSUNSPOT」、それにSEE FOR MILESの名コンピ、THE BRITISH PSYCHEDELIC TRIPシリーズに出会ったことがその後の音楽嗜好の殆どを決定されてしまいました。ゆえに他人からフェイバリット・グループはと訊かれたら、この架空のグループを答えることにしています。

 この「25 O'CLOCK」ですが、発表当時は正体を隠し通す予定だったのが、レコード会社にあっさりバラされてしまったとか。メンバー表記もSIR JOHN JOHNS,THE RED CURTAIN,LORD CORNELIUS PLUM,E.I.E.I. OWENと素晴らしいネーミングのセンスです。

 内容は次の「PSONIC PSUNSPOT」と比べると、より冗談ぽくてやりすぎ、愛情溢れるパロディという印象。多分楽器や機材も当時のものを揃えてレコーディングしたのでしょう。ジャケットのデザインもトゥー・マッチ。しかしメロディ・メイカーの才能溢れる彼らの作品は元ネタを凌駕する勢いの出来映えです。

 1曲目「25 O'CLOCK」はもろELECTRIC PRUNESの「I HAD TOO MUCH TO DREAM」もしくはROLLING STONESの「PAINT IT BLACK」ですが、演奏そのものは、ふんわりしたオルガンといい、はっきりしたリフを刻むベースといい、スペイシーなスライドのギターといい、SYD BARRET時代のPINK FLOYD風。特に間奏は。2曲目「BIKE RIDE TO THE MOON」も曲名からしてPINK FLOYDを思わせる。やはり間奏のギターはSYD BARRET風。3曲目「MY LOVE EXPLODE」ヤケクソな盛り上がりと無茶苦茶なギターソロが楽しい。

 4曲目からはB面にあたりますが、ガレージぽくもあるA面よりも若干ダウナーで、インナートリップしているよう。そしてよりBEATLES風。その4曲目「WHAT IN THE WORLD??」はBEATLESのというよりGEORGE HARRISONの「ONLY A NORTHAN SONG」「IT'S ALL TOO MUCH」を連想させる、唯一のRED CURTAIN(COLIN MOULDING)作。5曲目「YOUR GOLD DRESS」はサビでのNICKY HOPKINS風のピアノが美しい。最後の6曲目「THE MOLE FROM THE MINISTRY」はBEATLESの「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」「I AM THE WALRUS」を思わせる、音を重ねまくったような作品。思いっきりメロトロンも聞こえてきます。最後に「SERGENT PEPPER'S」とおなじ「おまけ」までついてるところもやりすぎという感じ。でも当時の私を夢中にさせた作品です。(2002/05/06)



PSONIC PSUNSPOT PSONIC PSUNSPOT / THE DUKES OF STRATOSPHEAR

 XTCの変名にして私のフェイバリットグループ、THE DUKES OF STRATOSPHEARが1987年に発表した2作目にして最終作。PSYCHEDELICと同じように発音しないPをつけるアルバムタイトルのセンスが良い。発表当時、輸入レコード屋でこれを見つけた時の感激は、ついこの間のようです。確かオリジナル盤は紫っぽいカラーレコードでした。

 ド派手で、半分冗談ぽかった1作目「25 O'CLOCK」に比べると、随分とスマートでポップ寄りな作品。実体はXTCというのが周知の事実だったせいか、1作目では架空のグループを演じきっていたのに比べると、本作はモロなパロディは避けて、XTCが1967-1968年ごろの感覚で新作を作ったような印象です。ソフトロック好きな人に受けるのはこっちの方でしょう。

 1曲目「VANISHING GIRL」はROLLING STONESの「SHE'S A RAINBOW」風ピアノでリリカルに始まる。アルバム出だしにふさわしいキャッチーな作品。2曲目「HAVE YOU SEEN JACKIE」、3曲目「LITTLE LIGHTHOUSE」は比較的1作目「25 O'CLOCK」風な作品。「LITTLE LIGHTHOUSE」の方は「19TH NERVOUS BREAKDOWN」を思わせる。4曲目「YOU'RE A GOOD MAN ALBERT BROWN」はラグタイム調ピアノとミュージック・ホール的な曲調が楽しい。5曲目「COLLIDEASCOPE」はJOHN LENNON的な歌がメロトロンに乗っかる傑作。

 7曲目「SHINY CAGE」は少々ラーガぽくてなんとなくGEORGE HARRISON風でもあり、BEATLESの「I'M ONLY SLEEPING」風でもある。次の8曲目「BRAINIAC'S DAUGHTER」は実に軽快でポップな作品ですが、「DON'T PASS ME BY」風のピアノ、「OCTOPUS GARDEN」風の間奏のSEといい、深読みかもしれませんが、RINGO STARRをイメージしてたのかもしれません。9曲目からはこのアルバムの雰囲気が変わる。その9曲目「「THE AFFILIATED」は若干フォーキーでシンガーソングライター風な作品。転調部分はおしゃれな雰囲気すらある。最後の10曲目「PALE AND PRECIOS」は「GOD ONLY KNOWS」「GOOD VIBRATION」あたりのBEACH BOYS風な作品。(2002/05/06)



GIVE ME TAKE YOU GIVE ME TAKE YOU / DUNCAN BROWNE

 70年代のソロ作品やMETROでの活躍でそれなりに知られるシンガーソングライターが、IMMEDIATEから出したファーストの待望久しいCD化。発売当時市場に出回った枚数が少なく、まさに人知れずひっそりと発表された逸品。昨今の中古市場では1000ポンドもの高値がつけられていたとか。

 内容もそのプレミアに負けないもの。歌詞はすべてDAVID BRETTONなる学友が書いたとの事ですが、彼のガットギター弾き語りに、曲によっては聖歌隊のようなコーラスや室内楽的なアレンジが施されている。フォーキーでクラシカル。繊細で端正。正規の音楽教育を受けたという経歴を伺わせる典雅な世界を楽しめます。ただ、IMMEDIATEレーベルのイメージとはそぐわない。1968年の発表ですが、当時の世の喧噪からは距離を置いたような小宇宙。商業的な成功からは縁遠かったとはいえ、持っている才能にふさわしい良い仕事を残している彼。そんな彼のキャリアのスタートに相応しい作品といえるでしょう。

 また、SEがあったり、演劇らしいセリフが挿入されたり、一部曲が繋がってたり、曲間に語りがあったりして、もう1、2年遅く製作されていれば、もっとプログレ風になったと思います。

 収録曲中「ON THE BOMBSITE」がシングルになっただけあって、最もポップミュージックよりな作品。「GABILAN」や「CHLOE IN THE GARDEN」などはBRIDGET ST. JOHNを思わせます。ボーナストラックであるBELLからのシングル曲「RESURRECTION JOE」と「FINAL ASYLUM」はゆったりと伸びやかな歌い方の、少々レイドバック気味のバラード。(2000/12/10)



DUNCAN BROWNE DUNCAN BROWNE

 1973年に発表された彼にとって2枚目となるアルバムに当時のシングル曲を含めたCD。1967年にIMMEDIATEレーベルから出た1枚目は幻の名作としてソフトロック関係でも有名らしい。本作はそれから6年のブランク後、DONOVAN等で有名なミッキー・モストのRAKレーベルから発表されている。

 当時を偲ばせるアナログシンセ入りの1曲目「RAGGED RAIN LIFE」と10曲目「LAST TIME AROUND」(LPでは最後の曲)、メロトロン入りの2曲目「COUNTRY SONG」などはプログレな佇まい。1973年といえば、PINK FLOYDの「狂気」が発表された年ですね。

 それ以外はフォークな曲ばかりで、弾き語りに最小限の装飾を施したもの。ガットギターの並ではないテクニックも伺わせます。彼の本質はこちらのほうにあるのでしょう。線が細く内省的で、コリン・ブランストーンがストリングス付きで歌っても似合う世界。コリンとはフラットを共有していた友人だそうですが。ギターがストリングスになればコリンのソロにも似ていると思います。

 1972年に20位内に入ったという6曲目「JOURNEY」やその次のシングル12曲目「SEND ME THE BILL FOR YOUR FRIENDSHIP」(LP未収録のボーナストラック)は実にコマーシャルな出来上がり。ライナーでは後者はNIRVANA(もちろんブリティッシュニルヴァーナ)を思わせると書いてありますが、彼らより健全な曲です。

 彼のその後の活動としてはMETROが少し有名なだけですが、それなりに才能があったのに成功を見ずに1993年に46歳の若さで亡くなってしまったのは大変惜しいと思います。(1999/01/16)