2000.07.29(Sat.)
Hualamphong(Bangkok)6:30−(特別・909)→11:30Nam Tok
Nam Tok13:00−(普通・258)→17:40Thon Buri

 バンコクにS水さんがやってきたのをよい機会に、タイの鉄道に乗車してきました。行き先はナムトク(Nam Tok)、旧泰緬鉄道区間の現在の終点です。
 まず乗車した909列車ですが、これは土曜日曜休日運行の特別列車で、あらかじめ入手した英語版時刻表には記載がありません(時刻表には毎日運行の列車のみ記載)。座席の確保はおろか発車時刻すら自信がなかったのですが、とにかく行くだけはファランポーン(Hualamphong)駅(注:どうもムアランポーンの方が発音としては近いように思いますが、ガイドブックにはファランポーンとよく表記されていますのでそちらに従います)へ行くことにし、S水さんが宿泊していたJ.W.Marriott Hotelで5:30に待ち合わせました。この時間ですので、さすがにバンコクの街も渋滞はなく、タクシーはすいすいとファランポーン駅へ到着しました。
 幸いにも、特別列車は運行されていて無事チケットも購入できました(乗車できない場合はトンブリ(Thon Buri)駅へ出向こうと思っていました)。しかも2、3等の編成でしたので、200バーツ支払って座席指定のある2等車の切符を購入しました。ちなみに、英語版時刻表によればナムトクまでの2等運賃は95バーツですから、残りの105バーツは冷房代や快速(急行?)料金ということでしょうか。座席指定は、発見窓口で私の名前を聞いて台帳のようなものに直接書き込んでいました。2名分まとめて手書きされた、日本の昔の車内補充券のような切符を手に、早めにホームで列車の入線を待つこととします。
 入線してきた列車はディーゼルカー6両、先頭2両がホアヒン(Hua Hin)行きで、後部4両がナムトク行き、後ろから2両目のみが私達の乗車する2等車で、これのみ冷房付きの座席指定でした。3等車には林間学校(?)へ出かけるらしい小学生の団体もいて、満員でした。2等、3等ともまさに観光地へ向かう行楽列車という感じですが、2等車内ではタイ人以外にも欧米人の姿も見受けられました。また、隣の席では携帯電話の着信音のクワイ川マーチを何度も再生しているタイ人もいました。
 定刻に発車した列車はしばらくの間ゆっくりとバンコク市街地を走り、シリキット(Sirikit)公園の付近でチェンマイへ向かう北本線と分かれて西へと進路を取り、チャオプラヤ川を渡ります。風景はどんどん郊外の風景に変わり、水田などの緑が目立つようになると列車は速度を上げ、小駅はどんどん通過して行きますが、それにしても揺れます。おそらくは路盤の砂利が薄いのが原因ではないかと思いますが、揺れとも相まってかなりなスピードが出ているように感じます。
 数分の遅れでナコンパトム(Nakhon Pathom)に7:40頃到着、ここで約40分停車します。この停車時間は、すぐ駅前にある世界最大の仏塔、プラ・パトム・チェディ(Phra Pathom Chedi)見物のための時間を確保しているためのようです。小学生の団体も一路仏塔を目指して下車します。私達も仏塔見物に向かって、仏塔の周囲を一周してきましたが、確かに大きかったですねえ。ナコンパトム駅からプラ・パトム・チェディへ向かう道の両側には、食事や果物、土産物の屋台がたくさん立ち並んでいました。
 ナコンパトムを発車した列車は、旧泰緬鉄道の起点であるノーンプラドック(綴りを忘れました(^^;)のジャンクションでホアヒン行きの前2両を切り離し、相変わらず相当に揺れながらサトウキビ畑の中を走ってカンチャナブリー(Kanchanaburi)に到着しました。カンチャナブリー駅の構内は広く、蒸気機関車も静態保存されていました。
 カンチャナブリーを出て数分走るとクウェー川鉄橋(River Khwae Bridge)駅到着。ここでまた20分以上の大休止で、車内の乗客はほとんど鉄橋見物に出かけてしまいました。ここの鉄橋は徒歩で渡ることもできるので有名です。私達も下車して鉄橋を少し渡ったり、駅の横に保存されているパシフィック型の蒸気機関車を見物しているうちに発車時間となりました。発車するまで、パシフィック型蒸気機関車と線路をはさんで反対側に保存されていたC56に気がつかず、ゆっくり見ることができなかったのは少々残念でした。
 クウェー川鉄橋をゆっくりと渡ると、線路の両側に少し山が迫ってきます。列車は淡々とキャッサバ畑の中を走りますが、途中、第二次大戦中に日本軍が爆破した岩肌の間を抜けたりもします。植生こそ違いますが、日本のローカル線のような雰囲気です。相変わらず小さな駅はどんどんと通過していきます。そのうちターキーレーン(これも綴りを忘れました(^^;)駅に停車、この先に突貫工事で川面からそびえる断崖を爆破して通した有名な木橋があり、列車は時速5kmで木橋に進入します。デッキに出て下を見たり、断崖を見上げたりしましたがかなりの迫力でした。この区間を本当にそろそろと走り、ワンポー(はい、これも綴りを忘れました(^^;)駅に停車すると、また山あいを淡々と走って、列車は約20分ほど遅れて終点のナムトクに到着しました。
 ナムトク駅は駅舎側にホームが一本と、機回し線が1本、それに何故かスイッチバックで設けられた引き上げ線が2線あり、到着した列車はすぐに引き上げ線へと回送されていきました。もう1本の引き上げ線には、今はもう使われていないディーゼル機関車と客車が留置されていましたが、こちらの線路自体、使われなくなって久しいようでした。また、線路はナムトク駅からさらに先へと延びていましたが、これはもちろん現在は使われていません。
 さて、”ナムトク”とは「滝」という意味なのですが、スイッチバックを眺めたり、記念写真を撮っているうちに、小学生や他の観光客はみんなソンテウ(ピックアップトラック改造の乗り合いバス)でその近くの滝へと出かけてしまい、私達は何となく滝見物のタイミングを逸してしまったので、駅前の食堂で昼食をとることとし、パッタイ(タイ風焼きビーフン)とビールで簡単に腹ごしらえをしました。ナムトクからの帰路は定期列車に乗ることにしていたので駅窓口でトンブリまでの切符を買うとこれがなんと39バーツ!ちなみに、切符はコンピューターで発券された軟券でした。
 さて、折り返し258列車となるトンブリ発の257列車は定刻の12:50より少し早くナムトクに到着しました。英語版時刻表では"DRC"と表記されるディーゼルカーのはずでしたが、やってきたのはディーゼル機関車に牽引されたかなり長い客車列車でした。切符にも"ORD"と印刷されていましたが、通常ディーゼルカーが用いられているのかどうかは、ちょっとわかりません。
 257列車は到着後すぐに機関車が切り離されて、機回し線を通ってトンブリ側先頭に付け替えられました。機関車の後ろは僧侶の優先車、そのあとにずっと3等客車が続きます。私達は一般客車の先頭車、つまり僧侶優先車の直後に乗り込みましたが、案外車内は混雑していました。出発前から物売りのうろうろする中、定刻13:00に発車です。
 帰路の風景は往路の風景を巻き戻すかのようでしたが、さすがにエアコンなし3等車は窓を全開にしても暑く、その上ブレーキの制輪子の粉が風に舞い、時折目に入ります。相変わらず物売りは多く、繰り返し繰り返しやってきます、往路の特別列車には物売りはいなかったので、少々驚きです。ワンポー−ターキーレーン間のみ、パックツアーらしき団体が乗車してきましたが、これは木造高架橋の部分のみを乗車する、ということなのでしょう。
 往路では大休止したクウェー川鉄橋駅、ナコンパトム駅での停車時間も短く、258列車はひたすら終点を目指します。あとは、ナコンパトム駅で列車横に物売りが現れたのが往路との違いでしょうか。どうも特別列車は飲食物とは縁が薄いのかもしれません。
 タリンチャン(すみません、綴りを忘れました(^^;)駅でファランポーンへ向かう線路と別れ、終着トンブリを目指します。ところが、終点一つ前のバンコクノーイ(Bangkok Noi)駅で列車の運転は打ち切り、代行の無料バスで終着トンブリへと向かうこととなりました。しばらくトンブリ駅をうろうろとしましたが、どうも再開発を行っているようですね。
 トンブリ駅目の前のRailway Station桟橋からエクスプレスボートを利用してサトーン(Sathorn)桟橋へ向かい、BTSを乗り継いで食事に向かい、その後タクシーで帰宅しましたが、シャワーを浴びると頭を洗った湯が金属臭く感じられました。
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