1998.08.10(Mon.)〜11(Tue.)
東京22:00−(特急・5031M・サンライズ瀬戸)−7:27高松
高松13:35−(特急・1015M・いしづち15号)−14:40川之江
 8月9日夕方、空室はないだろうなあ、と思いつつ、稲毛海岸駅でマルスをたたいてもらったら、なんと1室だけ空きがあり、新幹線自由席の予定を返上して、「サンライズ瀬戸」で帰省することにしました。8月10日7号車28番のシングルです。ちなみに、その時点では他に2人用個室が空いていましたが、1週間前の時点では全車満室でしたから、運良くキャンセルが出たみたいです。というわけで、以下の記載はほとんど「サンライズ瀬戸」乗車体験記です。

 8月10日当日、東京駅9番ホームには、入線約15分前(21:35頃)に着きましたが、もうかなりの人がサンライズを待っていました。ただ、「ムーンライトながら」などの乗車口案内はあるのに、「サンライズ」のものはなく、電光表示も「車内販売はありません」の文字を繰り返し表示していたのみだったので、乗車時にはちょっとまごつきました。
 個室の前に立ってみての最初の感想は、「狭いなあ」というものですが(後で考えてみると、これはどうもビジネスホテルか何かが頭にあったとしか考えられません。そんな比較では、狭くて当たり前ですね)、入ってみて案外と広いことに気がつきました。私の身長は175cmですが、ベッド脇の、廊下と同じ高さにあるカーペットの上に立ってみると、天井までは少し余裕があるので、これは「北斗星」のB個室との比較で言っても、ずいぶんと広いのかもしれません。値段の違いと言えばそれまでですが、入り口から窓側に向けて低くなっているせいか、あまり圧迫感がないように思いました。
 室内には、寝台車に標準装備されているJRマーク入りのものとは違う、ストライプの浴衣と毛布が準備されており、シーツはすでに敷かれていました。また、NHK−FMが聞けるラジオも設置されていましたが、何よりも私は、紙に包んだプラスチックのコップが、コップ立てにささっていた点に驚きました。あまり他の個室寝台の経験がないので何とも言えませんし、B寝台自体も昨年2月の「はくつる」以来なのですが、最近は、寝台車には使い捨てのコップを常備するようになったのでしょうか?
 さらに、鏡の他にヒゲそり用としてブレーカーの付いた1Aの電源が設けられており、PowerBook540cを持ち込んでいただけに、非常にありがたかったです。実は、今回の「鉄道旅行について」はかなりの部分「サンライズ瀬戸」乗車中に書いたもので、もともとニフティサーブの鉄道フォーラムに乗車体験記として書いたものを修正したものなのです。
 あと、備え付けハンガーは、着脱できないタイプのものでしたが、ハンガーの壁面側に、壁に当たった際に音を立てないようスポンジが左右2カ所に貼り付けてあり、なかなか心配りが細やかだな、と感じました。
 さて、乗車した「サンライズ」は、中央線からの接続待ちで、12分遅れての発車となりました。そのせいか、「何かずいぶん揺れるな」、というのが走り出しての感想です。熱海発車時点では、手元の時計が正しいとして、遅れを1分にまで回復していましたから、多少ダイヤに余裕があるとしても、かなり飛ばしていたのだろうと思います。
 横浜発車直後に、3号車のシャワールームへと向かいました。東京発車時点では、結構寝台には空きがありましたし、横浜発車時点でもまだまだ空いていましたが、静岡発車後、個室の扉を開けて通路を見回してみると、見事に満室になっていました。
 つまり、熱海・沼津・富士・静岡で、そこそこの乗車があるということなのでしょうが、これは定員自体が少ないからそう見える、ということかもしれません。一方、「のびのびカーペット」(フェリーの桟敷席を狭くして、一人ずつに分けたような指定席)の方は、横浜発車時点でほぼ満員の様子でした。
 シャワールームの利用は、シャワーカード1枚で6分間お湯が出る(途中、STOPボタンを押してお湯を止めれば時間はカウントされない)というものです。シャワーカードは1回限り有効と表示されており、例え最初の利用で時間を残しておいても、いったんシャワールーム利用を切り上げてしまうと、再度利用することはできないということのようです。
 また、「シャワーカードを2枚(以上)購入して、連続して使用することはご遠慮ください」との注意書きがシャワールーム内にありました。これは、後の利用者を考えれば当然でしょうね。
 後の利用者と言えば、「サンライズ」のシャワールームには、「清掃ボタン」があって、「利用後は後の方のために『清掃ボタン』を押してください」との注意書きがありました。この注意書きについては、「(脱衣室と浴室の間の)扉を閉めてから『清掃ボタン』を押してください」とも記載されていまして、確かに『清掃ボタン』を押した後、シャワールーム内を水洗いする音が聞こえた後、すさまじい勢いで空気が吹き出して、脱衣室側でも足元に突風が吹きましたので、確かに脱衣室と浴室の間の扉は閉めないとえらいことになると思います。
 シャワールームには、ボディーシャンプーとリンスインシャンプーのポンプ式のものが備え付けられていました。一番感心したのは、シャワーヘッドの台(というか、引っかける場所のことです)で、固定されたものの上部に、高さを可変できるものが備え付けられていた点です。この可動式の台は、セットしたシャワーヘッドの向きを変えることもできますので、とても便利でした。
 また、お湯の出る時間の残り時間の表示は、赤いLEDで大きく表示されてわかりやすかったのですが、お湯のSTOPボタンを押してから残り時間の減算が停止するまで、1秒くらいのタイムラグがありました。
 脱衣室には、ビジネスホテルなどでよく見かけるタイプの、壁面に本体が固定され、吹き出し口と本体の間を蛇腹状のホースでつないだドライヤーと、脱衣かごと、シャワーカード挿入用のカードリーダが設けられていました。脱衣かごは、結構目の粗い、金属製針金を曲げて作ったような感じですので、個人的には、他に眼鏡や腕時計を置くことのできるような、小さな貴重品入れのような台があれば便利だと思いました。
 また、カードリーダは、私の使った車両のシャワー室のものがたまたま、ということなんでしょうが、下から差したカードを引き上げるベルトの力が弱かったのか、なかなかカードを引き込みませんでした。これは、下からカードを少し押してやれば簡単に解決しましたが、最初はずっと、インクジェットプリンタのヘッドが左右に動くような音が続くだけだったので(我ながら、他に言いようがないのか、という例えでスミマセン(^^;)、故障かと思ってしまいました。
 シャワールーム横には、ミニサロンが設けられており、両方の窓側に向かって2人分ずつまとめた、計8人分の椅子が設けられていました。
 シャワールームから個室に戻り、いよいよ一人で気分良く寝酒をはじめました。ここで、問題点が2点。ひとつは、お酒が切れたら補充ができないということで、ソフトドリンクの自動販売機は列車内に設置されていますが、ビールその他のアルコール飲料は皆無でした。これは、酒飲みには結構つらいものがあります。運転時間にかなりの差がありますから直接比較しても仕方ありませんが、食堂車の存在を別にしても、この点ではビールの自動販売機があった「北斗星」に軍配が上がる、というのが私の評価です。
 また、2点目は個室が広いためのぜいたくな問題点ですが、窓に直角に向き合った場合、背中を壁につけることができない点です。また、下り列車の場合は、進行方向に顔を向けると楽に壁に背中を向けることができますが、上り列車の場合には、作りつけのテーブルが多少じゃまになります。
 一方、パソコンをそのテーブルの上に置くと、せっかくのコップ立てを使えなくなってしまいましたが、窓かまちが窓の長さ分の広さで、缶ビールが楽に置ける幅でとってありますので、この点は特に不便を感じませんでした。
 個室の扉は、多少開けるのにコツが要りました。少し持ち上げるようにしたらうまくいくようです。また、同じ車輌で扉を開けられなくなって、車掌さんにお願いしている方がいらっしゃいましたが、これは扉の癖のせいか、あるいは、利用者が暗証番号を設定するタイプのドアロックシステムを用いた場合にありがちな事故(番号忘れ)かはわかりませんでした。私見では、乗車記念にもなりますので、磁気カードを用いたドアロックシステムでもよいように思います。
 「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」の間は、貫通路で行き来できるように結ばれています。この貫通路部分のみが手動のドアで、他の通路のドアは全て自動でした。また、一番運転台に近い自動ドアは、運転台側から施錠できるような工夫がされていました(当たり前ですね)。
 肝心の睡眠ですが、うれしくて眠れないんじゃないか、と考えていた割には、まずまずよく眠れました。ただ、うれしさのあまり眠りが浅かったのか、3時頃停車中(それも駅ではなく、どこかの駅間のように思いました)に、列車無線?の「統括指令」(そのように聞こえました)という声がマイクから聞こえて、いったん目が覚めてしまいました。
 参考までに記しておくと、「鉄道ファン」誌1998年9月号の特集記事は「個室・コンパートメント」でして、「サンライズ」を含む、いろいろな個室やコンパートメントの説明が図・写真とともになされています。他の列車との比較の意味でも、面白く感じました。
 ダイヤについては、上述の通り遅れを取り戻したことから結構余裕があるようにも感じましたので、東京発を10分程度遅らせた上で、三島に停車させて、最終「こだま」との接続を図っても面白いかな、と考えてしまいました。そうすれば、東京発をさらに46分遅らせることができますので、新幹線料金は別払いでもそこそこ利用客が出るように思うのですが。
 もっとも、一番言いたいのは、「松山行編成を作ってください」ということだったりします(^^;そうすれば、実家の最寄り駅(伊予三島駅)まで眠って帰れるんじゃないか、という期待があるからなのですが...
 いろいろと文句も書きましたが、何度も乗りたくなるだけの魅力を感じました。利用がどんどん増えて、「サンライズ出雲」と「サンライズ瀬戸」は分離の上、「サンライズ瀬戸」は高松編成と松山編成がそれぞれ7両、というようになればいいな、と思います。

 高松下車後は、荷物をコインロッカーに入れて、高松琴平電鉄の乗りつぶしにかかりました。高松築港から長尾線に乗車後、長尾−JR高徳線造田間をタクシー利用(950円でした)、高徳線で志度へ出て、琴電志度−瓦町−琴電琴平−高松築港とまわりましたが、志度線の志度駅発が20分、40分サイクルの毎時2本体制だったのには参りました。琴平線琴平口は30分ヘッド、長尾線長尾口は20分ヘッドですから、単に乗る分には志度線が一番やりにくいかも知れません。
 志度線・長尾線には元名古屋市交通局の車輌を改造した新型車2両編成がそれぞれ1編成ずつ投入されており、今後年度内にもさらに増備が予定されていることから、「動く電車の博物館」と呼ばれた高松琴平電鉄の旧型電車も相当数が近々引退することになりそうです。
 高松からは特急で川之江へ出て、先に帰省していたカミさんに迎えに来てもらい、実家へと帰りました。
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