先日、大学審議会から「大学入試の改善について」の中間まとめが発表されました。今回はそのポイントを簡潔にまとめてお伝えします。
なお、詳細については文部省のホームページに掲載されておりますので、そちらをご覧ください。
http://www.monbu.go.jp/singi/daigaku/00000360/
【「大学入試の改善について」中間まとめポイント】
(1) 一度失敗しても再挑戦できる、やり直しのきく入試システムの構築を今後の大学入試が目指す方向として位置づけたこと。
○センター試験の複数回実施に向けた関係者間の協議を提言。
○個別選抜においても、前期・後期の募集人員配置の適正化、秋季入学拡大を提言。
○センター試験について、1点、2点の差にこだわらず、一定の学力水準に達しているか否かの判定に主として用いる資格試験的利用を推進すべきことを提言。
センター試験の成績によりグルーピングし、下位の者についても異なる選抜方法を行うことにより再挑戦の機会を与えるような利用方法も例として示す。
(センター試験の資格試験化については今後検討すべき課題とした。)
○これらを通じて、学力検査の1点刻みでの差を争うのではない「やり直しの きく入試システム」の構築を目指すべきであるとした。
(2) 今後の「大学全入時代」を見通し、大学入試のあり方として、教科・科目の成績だけでなく、論理的な思考能力や言語的表現能力など、「大学で学ぶ力」があるか否かを考えていくことが必要であるとしたこと。
○教科・科目にこだわらず、総合的、基礎的な能力を判定するための総合的な問題、総合的な試験に関する本格的な調査研究を開始させ、その結果を踏まえてセンター試験への導入を考えていくこと提言。
(3) 大学が特色を持ち、それぞれの理念、目標等に応じた教育を施す観点から、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の明確化とそのための条件整備を掲げたこと。
○大学教員の入試業務への関わりは入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の決定や合格者の最終判定など本質的な部分に集中し、それ以外の部分は事務職員や専門職員に委ねるなど、大学教員が自ら全てをやらなければならないという実施体制の見直しを提言。
(4) 大学進学後に幅広い大学教育にふれながら自らの能力・適性等に基づき専攻分野を決定することができるよう、募集単位の大くくり化を掲げたこと。
○学科、専攻、コースといった募集単位の細分化を見直し、学部単位で募集するなど大くくり化した上で、その中で多様な選抜方法・尺度を用いることを提言。
これにより、多彩な学生を集め大学教育を活性化するとともに、より自らにふさわしい専門分野への進学を可能とする。
(河合塾Kei-Net mail 2000 ==vol.05 2000.5.2==より転載)