2005年1月例会・大阪協会初釣り大会結果
年 月 日 
 平成17年1月23日(日曜日) 大潮
場 所 
 紀の川周辺
参加者 
 お湯、T原、SSのM、I内、moto

平成17年度優勝第1号! ハードボイルドタッチ?
moto 

平成17年1月23日(日曜日)、この日は新年最初のスキッパーズ例会である。
私個人にとって年末年始は時間が取れなかったり、天候の折り合いが悪かったりで、昨年12月の友好クラブ合同例会以来、約一ヶ月半振りの釣行だ。久しぶりのワクワク感を押さえつつ土曜日の仕事を終えたのがPM10時。準備もそこそこに自宅を出発、目指すは和歌山・紀ノ川尻だ。今回の狙いはチヌ・スズキ(欲ばってカレイも♪)。この時期厳しい釣りになるのは承知の上なのだが、自分勝手に都合よく期待を膨らませるのがキャスター、いや釣り人の全ての性。鼻歌まじりで握るハンドルはじっとりと汗ばみ、顔はすでにどーしようもなくニヤけており、他人に見せられたモノではない。そういえばさっき料金所のおじさんが怪訝な顔してたっけ!?

先発隊は夕刻からすでに竿出ししている模様。途中電話で様子を覗うが、まだ目立った獲物はないようだ。このたびの参加者は、お湯氏、I内氏、T原氏、M門氏、私の5名とちょっと寂しい。このところクラブのメンバーは忙しい方が多く、参加人数的にはイマイチの例会が続いている。「その分釣果で盛り上げましょー!」と独り意気込んでいるうちに現地到着で時刻はAM0時過ぎ。
早速お湯氏、T原氏が迎えてくれる。M門氏はまだ到着しておらず、御大I内氏は夜明けに備えて車中でおやすみとのこと。釣況については、お湯氏曰く「あいかわらずの厳しい状況で夜明け前後に期待です」とのことなので、とりあえず竿2本だけをセットしていきなりのマッタリモードに突入。
tsuriza 今夜のメニューは御大I内家特製キムチ鍋だ♪味付は言うに及ばず、自家栽培野菜の特選素材で美味いのなんの!つい先ほどまでの意気込みは何処へやら、釣りそっちのけで煮えたぎる大鍋を20リッターのサッポロ黒ラベルと共に胃袋に流し込む。(おー!なんか大藪ハードボイルドみたいだ!)

仮眠をとってAM4時半釣り再開。(昨夜の余韻を引きずって大藪ワールドで行くことにする)
愛飲のセブンスターカスタムライトBOX85mmにデュポン社製M‐05ターボライターで火をつけ肺いっぱいに吸い込む。血中のニコチン濃度が上がり灰色の脳細胞が徐々に覚醒していく。辺りはまだ夜の闇、風はないが冷え込みが厳しく吐息とタバコの煙の区別がつかない。コールマン社製・マルチフューエルストーブをポンピングしてコーヒーを沸かす。ホワイトガソリン燃料5000calの青白く強力な炎が摂氏1℃の冷水を一瞬にして沸騰させる。20年来の相棒だが相変わらず頼もしい奴だ。2斤のバターブレッドと1.5kgのボンレスハムを5ガロンのブルーマウンテンで飲み込み朝食を済ませる。

三脚にセットした2本のタックルは昨夜から変化は無いようだ。エサを点検して打ち返すが小ボケが何の変化も無く死骸となってくるだけだ。エサを付け替えるたびに指先にちぎれるような痛みを感じる。ダイソー100円均一製ステンレスカップに注いだコーヒーで暖めつつ竿先に神経をつなぐ。静寂と緊張、夜釣りの醍醐味を感じるひとときに浸る・・・空に星はなく和歌山市街地の灯りがぼんやりと見える。「和歌山ブルース」ってどんな歌だったか?・・思い出せない、ああ、やるせない。そんなどうでもいいことを考えながら25本目のセブンスターカスタムライトをティンバーランド社製ゴアテックスブーツのヴィブラムソールで踏み潰す。原型を留めない程に無残な姿になった吸殻をローソンお買い物袋のゴミ入れに叩き込んだその瞬間、化学発光体ケミホタルが突如として舞い込んだ。「・・!」続いてダイワ・パワーサーフ5000QD改のドラグが「ジジジ・・」とわずかに走りそれまでの静寂を破る。体中に溢れ出んとするアドレナリンの分泌を精神力で制御しつつ静かに竿を取る。

次のアタリに備えて竿を水平に構える・・・。がしかしラインを引き出して行く様子はないようだ。軽く合わせ入れて聴いてみる。ゴーセン・テクミー砂紋2号PEラインが100m先の確かな魚の感触を伝えてくる。決して大きくはないようだが慎重に巻き上げる。・・・すると相手は以外に元気がよく、シマノ・スピンパワー405BX‐Tショットガン仕様をわずかにしならせる。このタックルはメーター級のコロダイやタマミに対抗すべくドイツの有名なポルシェチューナーRUF社で高度なチューニングが施され、後輪出力1000PSオーバー、最高速度340km/h、筑波ラップは52秒台前半の実力を誇るモンスターだ。Dランクのマダイ程度なら片手でやり取りできるのだが、まだ釣ったことは無い。
気にせず巻く。竿先が力糸の継ぎ目の通過を告げる。プリンストンテック社製5.5WスーパーLEDヘッドライトの強烈な光に照らされてテトラの間から上がって来たのはキス23cmだった。特別製丸セイゴ17号を丸飲みにしている。この針はスウェーデン産特殊鋼をゾリンゲンでさらに鍛造処理した素材を人間国宝の釣針職人が仕上げた逸品だ。その原価は1本5万円を裕に超える。この針を齧ったフグは哀れ即座に歯医者行きだ。ただし保険は利かない。

今年初の獲物をしばし手にとって眺める。パールピンクの魚体は盛期に比べると少しばかりくすんだ感じだがやはり美しい。色白のグラマー、サイズは89のDってところか? ・・「フフフ♪」思わず今夜の楽しみを想像する。先ほどとは別の液体の分泌を制御しつつ丁重にシマノ・スペーザサーフ130改保冷力7.5倍(当社比)クーラーへお入りいただく。このクーラーは・・・もうやめた。このままではヘタな物は手にできず、話が先に進まない。

残りの竿2本をセットし東の空がほのかに明るくなりかけた頃、モソモソといった感じで上がって来たのはチビちぬ君25cm。「よーし、これからだ!」と気合を入れ打ち返す。がしかし竿先は無言のまま。ケミホタルは白っぽくその存在意義を失いつつある。仕掛けや投点を変えてみたり、必殺技「誘惑の誘い」を駆使しても反応は無く、辺りはすっかり朝の気配を迎えた。
「おはようございます!」不意に背後から声をかけられ、ちょっととまどう。地元の朝散歩の方々だった。河川敷という場所柄人々の憩いの場ともなっているようだ。「どうですか?釣れますか?」、「いやぁダメですねぇ」そんなやりとりをすること数知れず。周囲を見渡せば浮き釣りらしき釣り人がズラーっと並んでいる。最近TVの釣り番組でこのポイントが紹介されたそうでここ数日来賑わっているらしい。自分の竿を眺めているのもいいかげん飽きてきたので周りを偵察に行くが竿を曲
げる人は居ない。

そうこうしているうちに例会終了時刻のAM11時をあっさりと迎えてしまった。他のメンバーもたいした釣果は無く、先のチビちぬ君が優勝魚となってしまう。残念やら悔しいやらなんとも複雑な気持ち・・。「このままでは終われん!」持ち前のあきらめの悪さが顔を出し、終了直前に登場して「夕方までぼちぼちやってみます」と言うM門氏と共に延長戦を決め込む。
こんな時は悪あがきをしてもダメなのが世の常釣りの常、午後になっても状況は変わらず、小ボケの死骸の回収に終始するのみ。「夕まずめの時合いに期待ぢゃー」ふてくされて昼寝する。2時間ほど経ってごそごそと起きだし仕掛けを回収・・今度はエサがなくなっている。「フグでもかじったか?投げたショックでちぎれ飛んだか?まあいいや」寝惚けと意気消沈で痴呆化してしまっている。と「どうじゃね!?」と聞き覚えのある声。振り返ると今朝挨拶を交わしたおじさんだ。夕方の散歩に来られたらしく
、クーラーを開けて中を覗いておられる。「この3kmの間でこのチヌ一匹だけじゃからのう、兄ちゃんたいしたもんじゃ、わはは!」この方、釣り人のクーラーをチェックして回るのが日課らしい。貴重な情報源ではあるな、と妙に感心してしまう。すると少し下流で竿を振っていたエビ撒き釣りのおじさんが竿を曲げている。2・3分のやりとりで60cmほどのスズキを上げられた。これに触発されてまた気合モード「よーし、いらっしゃい!」

苔の一念岩をも通す、まさにその通り。「ジャーッ!」一番下流側にセットしてあった竿のドラグが唸りを上げた。一瞬竿尻が浮き、アッという間に道糸が大きくふける「よっしゃぁ、ついに来たでぇ!」竿に飛びつきアワセのタイミングを計る。リールのハンドルを巻き糸ふけをとると・・ゴンゴンという先ほどとは比較にならない大きな手応えが返ってくる。竿をあおって一発大アワセ!今度はアドレナリン全開だ。竿は一気に満月になり道糸が「キーン」と悲鳴を上げる。「こいつはかなりの大物だ」と慎重にハンドルを回した刹那、それまでの重量感がウソのようにふっと軽くなった・・・痛恨のバラシ。
仕掛けを上げてみると、4号のハリスが針先近くでプッツリ。断面を見るとザラザラとした嫌な感触。「やってもーた・・」と泣いてもわめいても後の祭り。おそらくフグがかじって傷ついたハリスに気付かずそのまま打ち返していたのだろう。後悔はするものの自分が犯したミスである。他の仕掛けを点検するとやはり同じようになっていた。
気を取り直して打ち返すが、時合いが去ったのかバラシの影響か再び魚信の到来はなかった。PM4時半、日も暮れエサも切れて納竿。泣きながら帰途についた。