秘密兵器
cross氏のHPに寄稿
「アール君、ここだ。」
私は、ボスから呼ばれた。
殺し屋の私は、明日、仕事がある。
「何でしょう?」
「君の仕事を助けてくれるものだ。」
ボスと私の間には覆いをかけられたものがあった。
そう言えば、相棒は前回の仕事で負傷し、そのままリストラされた。
今、この組織で殺し屋といえば私だけになってしまった。
この稼業にも不況とリストラの波は訪れているのだ。
「そのカバーを取ってみたまえ。」
私は、その言葉に従い、覆いを取った。
精巧に出来た、年配の婦人の人形だった。
よほど近寄らねば、人形とは思えなかった。
「こ、これは?」
「狙撃ロボットだ。
照準レーダーは偏差射撃が出来るため移動物体にも有効だ。
暗視装置もついているから、夜間にも使える。
これが大量生産されれば、お前も失業だな。」
「……。」
「とは言え、これは試作品でもあり、高価だ。」
「ハイ…」
「したがって、予算内では歩く機構は組み入れられなかった。」
「と言いますと、背負っていくのですか?」
「いや、そうは言わん、車椅子を使うように。」
見ると、何の変哲もない車椅子が…置いてあった。
「動力は?」
「この車椅子ですら予算超過分だ、お前が動かすんだ。」
何てこった。
前の相棒とは仲が良いとはいえなかったが、奴は自分の足で歩いてくれたものだ。
まぁ、それでも、職を失わなかっただけでもよしとしなければ。
そう思い、部屋を出ようとしたところだった。
「あぁ、そうだ。
君の仕事は、このロボットによって軽減されるはずだから、報酬も減ることになる。
我々も合理化を進めなければならないのだ。」