じゃにーず?

     

  

「あっ、いいな、今度この髪型にしようかな?」

「やめとけよ、無謀だぞ。そんなの似合うわけないじゃんかよ!」

「ほっとけよ!」

 ある日の部活終了後、いつものようにバスケ部員達はクダラナイ話にあけくれて

いた。

「なにごちゃごちゃ言ってンだい?」

「あっ、希理子さん!」

 後ろからのぞくように現れた先輩女子マネに好奇心いっぱいの1年が問いかけ

る。

「希理子先輩は誰のファンなんですか?」

「は?」

「今ね、みんなでジャニーズの話してたんですよ。自分が『誰に似てる』とかね」

 その言葉に希理子は半分唖然としながら高らかに笑う。

「あんたらの何処がジャニーズ系なんだい!」

「まあ、それはそうなんですけど」

「はは」

 その辛らつな言葉に思わずその場にいた全員が苦笑する。

 そんな中で1年の中の1人が希理子に向かって問いかけた。

「希理子先輩の好みの男性って『ジャニーズ顔の金持ちの次男坊』でしたよね」

「ああ」

「でも最近、ジャニーズっていってもいろんなタイプがいるじゃないですか?モデ

ルみたいなのとか絶対お笑いそのもののヤツとか。だとしたら希理子先輩のいう

『ジャニーズ顔』ってどんなのなのかな、と思って」

 そう言って広げられたページにはSMAPだのTOKIOだのV6だの嵐だの、

現在あらゆるメディアで活躍中のジャニーズの面々の写真がのせられていた。

 たしかにその言葉のとおり、誰もが認める美形からこれがアイドルか?と小首を

かしげざるを得ないほど、最近ジャニーズのメンバーは多種多様だ。一口で『ジャ

ニーズ系』などと言い表せる顔は存在しない。

 だが希理子は1年が差し出した本をぱらぱらっとめくると興味なさげにぱしんと

閉じ、簡潔な言葉を口にした。

「あおい輝彦」

「…………はぁ?」

 おもわず目を白黒させる。

「だから『あおい輝彦』っていってるんだよ」

 そう希理子は言い直すと軽快なリズムで歌い始めた。

「《♪ 僕から逃げようったってダメだよ 逃げれば逃げる程 君は僕に近づくって

ワケ だって地球は丸いんだもん》───ってこれはフォーリーブスか」

「……もしもし?」

 先輩女子マネの突然の行動に付いていけずにおそるおそる問いかける。だが希理

子はうれしそうな、そして面白そうな表情で説明する。

「あれ?この歌知らない?『地球は一つ』っていう曲なんだけど。あたしは一番こ

の歌が好きなんだ。何となくストーカーちっくでさ」

「??」

 ますます混乱させられる。希理子が口づさんだ何処かで聞いた事があるメロディ

ー、そして『フォーリ−ブス』という単語。いったいそれはなんなのか?

 そんな中で一番早くその混乱から立ち直った成瀬が希理子に対して頭を抱えなが

ら問いかけ直す。

「……もしか、してですね、希理子先輩は『本物』の『ジャニーズ』が好きなんで

すか?」

 その質問に今度は希理子が目を白黒させる。

「えっ?『ジャニーズ』に偽者っているの?」

 ………本気である。

「とにかくあたしの好みは正確に言うと『〈ジャニーズのあおい輝彦〉顔の金持ち

の次男坊』なんだ。あたしは輝彦さまのためなら死ねるね!」

 その希理子のどこか高らかな、自慢げな言葉が静まりかえった部室に響いた。



 

 後日、希理子の意外というか意表をついた好みが判明してから後、バスケ部内で

は奇妙な現象が起きていた。

「……なんかおかしくないか?」

「はあ」

 やたらに振りまかれる爽やかな笑顔、その口元できらりと光る白い歯、少し大き

めに見開かれた潤みを帯びた瞳、きっちりと固められたオールバックの髪型───

──そんな奇妙な人間がちらほら存在するようになったのである。

 そして部室で貸し借りされるのもCDやビデオではなくLPレコードや『明星』

や『平凡』といったすでに廃刊となったアイドル雑誌、口ずさむ歌は懐メロヒット

パレード──────。

「……まあ、いいんじゃないですか?誰にも迷惑はかかってないし」
 


 

 これ以後、この奇妙な現象が数カ月続く事になる。そしてその状況に狂喜乱舞し

て希理子がいつもの5割り増しで部活に顔を出すようになったというのはまったく

の余談である。

 
                         THE END. 
     


     


 ……ますます私、コワレテマス。ちなみに私は『ジャニーズ』も『フォーリ−ブス』もリアルタイムでは知りません。それだけは信じて下さい。
 文中で紹介してる歌は私のなかでは某桜井氏(笑)のテーマソングとして定着してます。歌詞だけみても笑えるでしょ?
                          2001/7/18 日向 葵
 
 誤解されてはなんなので書いておきますが、私にオヤジ趣味はありません(笑)そしてショタでもありません。どっちかといえばロリ……(←おいっ!) 《2001/8/20》

  

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