ムシ刺され注意報

     

  

 【金北戦翌日、帰りの飛行機にて】


「何だか顔色よくありませんね、希理子先輩」

「ああ、何だか身体だるくってね。それに変なんだ」

「変?」

「うん、昨日というか今日さ、違うベッドで寝てたんだ」

「はあ?」

「だからね、あたしツインの部屋1人で使ってただろ?んでいつもは入り口に近い方のベッドで寝てたわけ」

「それが?」

「うん、なのにさ、今朝起きたら違う方のベッドで寝てたんだ。確かにあたしは入り口に近い方のベッドで寝たはずなのに」

「夜中起きて、寝ぼけて違う方のベットに入っちゃったんじゃないんですか」

「それだけだったらいいんだけどさ」

「まだ何かあるんですか?」

「身体中湿疹だらけなんだ」

「湿疹?」

「うん、痒くないから別になんだけど、朝起きたら全身いろんなトコに赤い斑点が出来ててさ、虫に刺された記憶もないし、何だか気持ち悪いんだ」

「きっと疲れの所為ですよ。食べ物か水があわなかったのが全部終わって気が抜けたんでしょ。そういうことって良くありますし」

「そうだね、きっとそうだ」

「でもホント、気になるんでしたら東京に戻ったら病院に行ってくださいね?悪い病気だったらいけませんから」

「サンキュ、そうするよ」


  

【始業式の日の放課後、体育館にて】

「何だか疲れ切ってますね、希理子さん」

「ああ、ホントは一昨日のうちに家に帰ってるはずだったのに、大雨のせいで海から帰ってきたのが昨日だったからね、徹夜で宿題したから死にそうだよ」

「ちゃんとやっておかないからですよ」

「このあたしに説教する気かい?」

「いえいえ」

「あー、でもしんどい」

「はしゃぎすぎたんでしょ?小林からききましたよ澤村からかって遊んだって」

「それもあるかもしれないんだけどさ、インターハイ以降、なんだか身体が本調子じゃなくってね」

「病院、ちゃんといかれました?」

「いってない。そこまでおかしいっていうんじゃないんだけどさ、なんだか疲れが抜け切らないっていうか、変に疲れやすいっていうか、それに……ううっ」

「どうしたんです?大丈夫ですか!」

「……ああ、大丈夫。最近、たまに吐き気がするんだ。それなのに変にスッパイもん食べたくなったり、やたらお腹が減るし」

「……それって『つわり』の症状じゃないですか?」

「バッ、バッキャロー!身に覚えの一つもないのにどうして妊娠なんかするんだい!」

「冗談ですよ」

「言っていい冗談と悪い冗談があるよ!────ってあれ?」

「ん?どうしたんです、希理子先輩?」

「あいつ、様子おかしくない?」

「えっ?」

「何だかさっきからあたし達の方見て顔を赤くしたり青くしたり───ほら今、目そらした!なんかおかしいよ」

「ホントですね。何かあったんでしょうか?」

「人の顔見て目をそらすなんざ気にくわないね、とっちめてやる!」

「あっ、待って下さいよ、希理子さん〜!」
 


                         THE END. 
      


     

 希理子の会話の相手は今川です。では最後に逃げたのは?……御想像におまかせします、
                          2001/7/18 日向 葵

この話、皆さんからの有力説は『小林』でした。3人衆の誰とでもとれるように仕上げたつもりですが、実は私的にはヤッた後に(……おい)ベッドを移動させるなんて姑息なことするのは彼しかいないと思ったのですが、さていかがなもんでしょう?                                  《2001/8/20》
 

  

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