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昔むかし、こことは違う次元の、まったく別の世界に赤ずきんちゃん(希理子)と呼ばれている
それはそれは可愛くて綺麗な女の子がいました。
「赤ずきん(希理子先輩)や、森に住むおばあさん(小林)のところにおつかいにいっておくれ」
お母さん(今川)がそう言うと林檎やクッキーなどの入ったバスケットをさしだしました。
「やだね、面倒くさい。どうしてあたしが行かなきゃなんないのさ?」
赤ずきんちゃん(希理子)はとことんイヤそうな顔をしました。
「でも……」
お母さん(今川)は食い下がります。
「母ちゃん(今川)が行けばいいだろ?仲いいんだしさ。あたしは部屋でワイドショーのチェック
をしなくちゃなんないんだ」
赤ずきんちゃん(希理子)はそうキッパリと言い切るといってらっしゃいとばかりに手を振りま
した。しかしお母さん(今川)は細い目をさらに細く限界まで細めると神妙な顔つきで言いまし
た。
「わがままはいい加減にしてください!そうしないと話がすすみません」
「…………」
そのもっともな言葉に赤ずきんちゃん(希理子)は言葉を失いました。
「しゃあないね、今回だけだからね」
そう言うと乱暴にバスケットを受け取っておばあさん(小林)の住む森に向かって歩き始めまし
た。
その頃、赤ずきんちゃん(希理子)が訪ねるはずのおばあさん(小林)の家に訪問者というか訪
問獣がいました。
「ばあさん(小林)、ちょっとだけでいいから静かにしといてくれないか?」
突然押し掛けてきたその獣(桜井)は森の中で挌闘家としての修行中のおばあさん(小林)にそ
う言いました。
「どうしてです、狼(桜井)さん?」
わけがわからずにその訪問狼の顔を覗き込みます。
「……ぐふっ!!!」
次の瞬間、狼(桜井)はおばあさん(小林)に強烈なボディーブローを喰らわせていました。思
わず膝をついたおばあさん(小林)に狼(桜井)はすかさず猿ぐつわをはめ、ロープで簀巻きにし
てしまいました。
「悪いな、ばあさん(小林)。あとでちゃんとほどいてやるからしばらくじっとしててくれ」
そう言うと狼(桜井)はおばあさん(小林)を物置きの中に放り込んでしまいました。そしてお
ばあさん(小林)のベッドルームに向かい、おばあさん(小林)愛用のパジャマに着替えるとベッ
ドに潜り込みました。
「早く来い来い、赤ずきんちゃん(希理子)」
その顔は満面の笑みに彩られていました。
そしてそんな狼(桜井)さんのたくらみをまったく知らない赤ずきんちゃん(希理子)はおばあ
さん(小林)の家にやってきました。
「ちぃーっす。届けものにきてやったぞ。ばあちゃん(小林)、いるんだろ?」
暖炉に火がともっているのを見て赤ずきんちゃん(希理子)はそう声をあげました。すると奥の
方、ベッドルームの方から返事が聞こえてきました。
「赤ずきん(希理子)、こっちに来てくれ」
いつもとはちょっと違う声の響きに不信に思いつつも赤ずきんちゃん(希理子)はベッドルーム
の方にむかいました。もちろん先ほどの声はおばあさん(小林)ではなく狼(桜井)です。
「あれ、風邪でも引いたのかい?こんな昼間っから寝込んじまってさ」
そう言いながら後ろ手に戸を閉めるとベッドにおばあさん(小林)の変装をした狼(桜井)が横
たわっていました。
「すこし調子が悪くってね」
赤ずきんちゃん(希理子)の顔を見て狼(桜井)はにこりと笑います。その顔をみて赤ずきんち
ゃん(希理子)はいぶかしむような表情を見せました。
「ばあちゃん(小林)、そんな顔してたっけ?タレ目のくせに目つきが悪くってさ、それこそ視線
だけでひと殺せそうだったじゃん。なのにどんぐり目になっちゃってるじゃん」
赤ずきんちゃん(希理子)はベッドのすぐ横まで来ると、横たわる狼(桜井)の顔に手をのばし
ました。そして指先でつつっとその目のふちをなぞりました。
「それにガタイが一回りデカくなってない?前はもっと絞り込んださ、綺麗な筋肉してたじゃん。
修行のし過ぎなんじゃないの?」
その言葉に狼(桜井)は傷付いたような表情を浮かべました。
「ばあさん(小林)……おっと、前の体つきの方が赤ずきん(希理子)は好みなのか?」
下手な訂正をいれて、狼(桜井)は赤ずきんちゃん(希理子)に詰め寄りました。
「痩せのガリガリひょろひょろや贅肉プヨプヨじゃなければ、別にどんなんでもいいよ」
赤ずきんちゃん(希理子)はあっさりと否定しました。しかし続けて言います。
「でもね、あんまりデカい男はやだね。それでも痩せてりゃいいけどさ」
「どうして?」
興味津々、デカい狼だと自覚がある狼(桜井)としてはどうしてもあきらかにしておきたい疑問
でした。
「だってね」
「だって?」
重ねられた疑問符に赤ずきんちゃん(希理子)はあっさりと告白しました。
「のっかかられた時にデッカい男だと重そうじゃん。下手そうだし。勢いだけで押しつぶされちゃ
いそう」
しかし、その言葉が狼(桜井)をまさに『オオカミ』にする引き金となりました。
「じゃあ、ホントに下手かどうか試してみる?」
そう言うと狼(桜井)は赤ずきんちゃん(希理子)をベッドの方に引き倒しました。そしてがば
っと上にのっかかって押さえ付けてしまいました。
「ばあちゃん(小林)何すんだい!」
逃げ出そうと足掻きますが、本気で押さえ付けられてしまっているため、怪力の狼(桜井)に華
奢な赤ずきんちゃん(希理子)がかなうはずありません。
「大丈夫、ぜったい気持ちよくさせてあげるから」
まさに獲物をとらえた狩人の目で残忍ともとれる笑みを浮かべると、赤ずきんちゃん(希理子)
の白い首筋に唇を這わせました。そして両手首を左手1本で押さえ付けた状態で、右手を希理子の
ひだり胸の微かな膨らみにのばし、その頂点にあるちいさな頂きを服の上から強く摘まみ上げまし
た。
「痛っ」
赤ずきんちゃん(希理子)はその刺激に首を逸らせ、小さく仰け反りました。だけどそれを見て
狼(桜井)は小さく笑います。
「でも気持ちいいんだろ?赤ずきん(希理子)は痛いぐらいにされるほうが好みなんだよな」
そう言うとますます激しく胸を揉みしだきはじめました。
「だっ、誰が!」
赤ずきんちゃん(希理子)は口ではそう叫んだが内心『どうしてばあちゃん(小林)がそんなこ
と知ってるんだろう?』と疑問に思っていました。
「ばあちゃん(小林)止めとくれ!一応この設定では近親相姦になっちまうんだよ?」
ここでたった一つ大切なことは、この段階でも希理子は狼(桜井)のことを自分の祖母(小林)
と勘違いしているということです。でもその叫びにも動じず狼(桜井)は平然として愛撫をつづけ
ました。
「心配しないでいいよ。俺はおばあさん(小林)じゃないから」
そしてその胸元をまさぐっていた手が赤ずきんちゃん(希理子)のスカートをまくりあげようと
した瞬間、バーンという激しい音が響き渡りました。
「ちっ、為損じたか」
悔しそうにつぶやいたのは鉄砲を持った猟師(澤村)でした。
「何で実弾が飛び出してくるんだ!」
赤ずきんちゃん(希理子)の上にのりかかったまま、狼(桜井)は自分を打ち殺そうとした猟師
(澤村)に向かってすごみました。
「ふっ、ウラの世界でも生きてたことのある俺だぜ?トカレフやマシンガンの一丁や二丁、簡単に
手に入らぁな」
猟師(澤村)はそう言うと付けていたマントの下から手にしていた旧式の銃とはあきらかに違う
最新型の拳銃を抜き出しました。
「44口径、クマでも殺せる代物だ。あんたを殺るにはこれぐらい必要だろ?」
「上等だな。殺れるものなら殺ってみろ」
狼(桜井)はそう言うと猟師(桜井)の方に完全に向き直り、臨戦体勢に入りました。
しかし、そこにもう一つの影が乱入してきました。
「待てッ!」
そこにあらわれたのは本物のおばあさん(小林)でした。
「ばあちゃん(小林)?!」
ベッドから何とか這い上がった赤ずきんちゃん(希理子)はその祖母(小林)の姿を見て驚きま
した。まさにぼろぼろで、両手首にはロープか何かを無理矢理引きちぎったかのような擦り切れた
跡がくっきりと浮かび上がっていました。
「許せない!俺の誰より大切な、誰より大好きな赤ずきんちゃん(希理子)さんにいきなり襲い掛
かるなんて!本人が認めて受け入れてない限り、例え誰であろうとそんなことは許さない!」
目には殺気が満ち溢れ、その両手には何処から持ち出してきたのかそれは美しい日本刀が握られ
ていました。その妖しいまでの美しさはまさに妖刀『村正』に勝るとも劣らない、それほどの業物
でした。
「そのとおりだぜ」
そのおばあさん(小林)の言葉に猟師(澤村)が頷きます。
「てめぇにだけいい思いさせるかよ!赤ずきん(希理子)に惚れてるのはてめぇだけじゃねえんだ
よ。抜け駆けとも言えねぇ汚いヤリ口で処女膜貫かれてたまるかよ」
「だっ、誰が処女だい、誰が!」
激しく真っ赤になった赤ずきんちゃん(希理子)の言葉を無視して男3人(ここでは2人と1
匹)は激しくにらみ合っています。
「最後に残ってた者が赤ずきん(希理子)を頂く───それでいいな?」
狼(桜井)がそう言いました。
「結構です」
「上等じゃねぇか」
その言葉におばあさん(小林)も猟師(澤村)も頷きました。
「だから何であたしの意志を無視して勝手に話が進んでるんだい!」
再び赤ずきんちゃん(希理子)が叫びましたが誰も聞いてはいませんでした。
「じゃあ始めるぞ」
その言葉と共に3人は取っ組み合いの乱闘をはじめてしまいました。ガタイの有利な狼(桜井)
に武道の心得のあるおばあさん(小林)、そして実戦慣れしている猟師(澤村)のその喧嘩はまさ
にすさまじいものでした。ベッドルームがまさに5分もしないうちに瓦礫の山と変わっていきまし
た。
「やるな」
「お前こそ」
「そっちも」
息をぜいぜいきらしながら、それでも3人は取っ組み合いをやめません。赤ずきんちゃん(希理
子)はそれを呆然と、半ば呆れ返って見守っていました。するとどうも玄関の方でも物音がしま
す。
「あのーすみません」
赤ずきんちゃん(希理子)が玄関に向かうとそこには男の子(成瀬)と女の子(みずき)が立っ
ていました。男の子(成瀬)の方は赤ずきんちゃん(希理子)の姿を見ると怯えぶるっと身体を震
わせましたが、一方の女の子(みずき)の方は大きな目を輝かせながら真っ直ぐに赤ずきんちゃん
(希理子)の方を見つめてきました。
「あたしたち、見たら幸福になれるっていう『青い鳥』を探してるんです。何処かで見かけません
でしたか?」
赤ずきんちゃん(希理子)はその言葉と、何より女の子(みずき)の方の真っ直ぐな瞳に惹かれ
ていました。
「あたし、知ってるよ、何処にいるか」
「本当ですか!」
女の子(みずき)はますます目を輝かせます。
「ああ、何だったら案内してやるけど一緒に行く?」
「はい!嬉しい!」
女の子(みずき)は嬉しそうに赤ずきんちゃん(希理子)に飛びついてきました。赤ずきんちゃ
ん(希理子)は満足そうにその女の子(みずき)の髪を撫でています。
「さあ、早速行こうか」
そう言うと女の子(みずき)の肩を抱きながらさっさと歩き出してしまいました。男の子(成
瀬)が慌ててその背中を追います。
「ねえ、あの人たち、ほっといていいんですか?」
何をどたばたやっているのか気になって覗き込んだ部屋で乱闘をしているのを見て、男の子(成
瀬)は心配げにそう問いかけてきました。
だがその言葉に赤ずきんちゃん(希理子)はあっさり手を振ります。
「ほっとけ。馬鹿は死ななきゃ直らない。そのうち飽きてやめるだろうさ」
そうきっぱり言い切ると森の奥の方へとずんずん進んでいってしまいました。
そのあとどうなったかはまた別のお話。
FIN
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