「約束だから」

 あなたは言って護符を渡すと目をとじました。

「あんた……もしかして」

 少女は目を見開き驚愕の表情を見せました。

「護符の裏に文字が刻んであったからたぶん、わかった……と思う。でも約束だから」

 あなたはもう一度そう言葉を繰り返しました。

 その言葉に彼女はしばしあなたをみつめ考え込むと一つため息をついてこう言いました。

「あたしの負けだ。この護符はあんたのものだ。好きにすればいいよ」

 その言葉に目をみひらくとあなたの前で彼女はそれは綺麗な、透き通った笑みを浮かべていました。
 

          

 
「つまりはさ、こういうことなのさ」

 彼女が話してくれた内容を要約するとこうでした。

 彼女は伝説の魔法使い達の王国の姫君だったのですが、そのわがままというか、奔放すぎる性格の為国を追放されたのです。しかし彼女が他の国に行ってしまえば自分達の国が確かに存在するのだということがあきらかになってしまうため、彼女をこの森の屋敷に閉じ込めたのです。しかも、彼女は魔法使いの王国の中でも歴代の名高い魔法使い達に匹敵する程の魔力の持ち主だったため、
追放したことに対する報復をおそれて彼女の魔力のほとんどを封じ込めてしまったのです。

「あんたに取りにいかせたその護符はあらゆる魔法や魔力を打ち消す仕組みになってるすごい代物なのさ。森にはあたしが森から出られないようにする為の魔法がかけられていてね、その護符さえあればその魔法がうち消せるのさ。あたし自身が取りにいけなかったのはそれがおかれてた台座にあたしだけに反応する、あたしにはさわれないようにする魔法がかけられていたからで、あたしはそれを誰かにとってきてもらわなきゃこの森を出られなかったのさ」

 少女はそう言うと遠い目を浮かべました。

「あたしは自由になりたいだけなんだ。あたしをしばりつけるあらゆる存在が許せない、ただそれだけなんだ。掛けられた魔法の所為でほとんど使えなくなっちまった魔力も取り戻したい。別にそれで復讐しようなんざ考えちゃいないけど、あたし以外の誰かにあたしのことを決められちまってるそのことが気に喰わない、ただそれだけなんだ」

 キリコ、そう名乗った少女の瞳は悲しい程に強く、そして何かを切望していました。


 

 
「だったらさ、一緒に森を出ないか?」
「えっ」

 あなたの問いかけに彼女は目を白黒させています。

「俺の国にはものすごく大きな図書館があるんだ。世界で最大って言われてる、ね。そこには失われた知識、つまり魔法についての書物もたくさんあるんだ。普通の人には貸し出すどころか見せてもくれないだろうけど、世継ぎである俺の紹介なら見せてもらえるはずだよ。なんなら俺も手伝ってもいい。魔法って代物がどういうものなのか興味があるんだ」

 あなたのその言葉に少女はしばし考え込み、彼女にとっての嬉しい申し出を素直じゃない言葉で受け入れました。

「あたしがあんたに魔法について教える、そのかわりあたしは自由に本を調べられる、これってギブアンドテイクだよね」
「そうだよ」
「じゃあ乗った!あたしはあんたと一緒に行くよ」

 彼女はとても綺麗に微笑みました。

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