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おはなし;死んでも死んでも生き返ることのできる猫。「おれは100万回もしんだんだぜ。」その猫が出会った、ごく普通の白い猫。「そう。」白い猫の言葉に、猫は「そばに いても いいかい。」とたずねました... |
す;この本は、人を愛したい、すべての人に読ませたい本だよね。 ふ;ラストの1ページで読み手の心にグサッと入ってくるよ。 す;そう?あれは、ああなるしかないでしょう。あのラストは、パズルが思った通りの場所にはまったな、という感じだよ。 ふ;引いてみてるなー。感情移入して、のめり込んでいると、うすうす予感しててもパンチをくらうのですよ。 す;あなたが感じているのは、パンチじゃなくて安心感でしょ。それでパンチを食らったと思っているなら、あなたの感性はメレンゲだね。 ふ;((-_-#)ふ、いつものことだわ)挿し絵のとら猫の表情がまた説得力を持っていて、このとら猫のふてぶてしい感じがよく伝わってくるし、こんな猫が相手を本当に好きになったんだなあと、思わせてくれるところがいいよ。 す;違うな。挿し絵のとら猫が超美形のやさ猫でも、このお話しは同じように感動できるよ。あなたはこのお話の感動が、ほんとうはどこから来ているのか、わかっていないようだね。表面的なものはいっさい関係ない。これは、選び抜いて使われている、この世界の言葉で、ある大きな思想が表現されているからなんだよ。猫のことを好きな飼い主は、100万人もいたんだけど、猫が白い猫が死んだときに100万回も泣いたように泣いてくれた飼い主はいなかったんだよね。 ふ;うん。一方的な思い入れは猫には何にも感じさせてくれなかったんだね。 す;違うな。一方的な思い入れ、ではないんだよ。飼い主たちの、飼っている、と言う意識は、そのまま相手の生き死にも、自分の暮らしの範囲内に納めてしまう。対等の関係ではないんだね。皆けっきょく自分の暮らしを壊さないんだよ。 ふ;対等の関係じゃない?でも、野良猫になった時に、最初に集まってきた猫たちと、白い猫の違いは? す;およめさんになりたがったか、そうでないか、かな。おみやげを持ってきたりして、およめさんになりたがる、というのは、すでに同格ではない。この世界の感性では、飼っている、と結婚している、はけっこう近い言葉なんだと思うな。だからとらねこと白い猫の関係では、結婚した、ということはひと言も言っていない。言っているのは、いつまでもそばにいました、ということだけ。結婚したと書いた途端に、世界が腐り始めるのがわかっていたんだろうね。 す;結婚は社会的立場と、それによる拘束をニュアンスとして感じさせてしまう。だから、いつまでもそばにいる、というのが、個体間が同格の立場でいられる状態を表現できるぎりぎりの線なのさ。自分だけが好きだったとらねこは、ここで初めて同格の個体を得たことになる。自分を壊してしまうほどに好きになるっていうのは、やはり同格の相手でないと、無理であると。 す;ただ、この同格、という解釈がまた難しい。死ぬ、死なないとか、美醜とかは関係ない。性別さえもたぶん関係ないだろう。それを超えてしまえる格っていうのは、どういうものなんだろう。特別な働きかけがなくても、お互いを独立した人格として認められること。これは、私自身も今まで生きてきて、何回かはそれを感じる相手と出会っている。親友、というのがそれに近いんだろうか。 ふ;異性間でも? す;性別は関係ないね。間違いなく。親友って言うのは、いつも一緒にいる相手、ってわけじゃない。むしろ、たとえ20年音信不通でも、会ったときに、相手の出方を窺わずに話ができる相手、とでも言えばいいんだろうか。相手と自分の関係に、利害関係を持ち込まなくていい相手というか。んー、なんか違うな...ま、今の時点では、そんな感じとしか言えません。もっと感性を磨いておきます。 ふ;私も... す;へへっ ふ;!!!だいっきらい! |
好きなフレーズ;言葉が選び抜かれており、抜き取りできません。抜き取ろうとすると、ひとつひとつが、ごく普通の言葉なのに、組み合わされたものは魔法のように心に響きます。ぜひ一度読んで下さい。 |
100万回生きたねこ/佐野洋子 作・絵/講談社 |
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