吹田市内ではマンション開発が急速に進み、ニュータウン以外の各地域で小学校の過密化が 問題になっています。

 35.9%に留まる耐震化率(2009年4月現在)。建設後60年近く経過し老朽化した学校の改築計画はありません。財政状態が良かった時代、給排水管等の設備の更新工事を後回しにした不徹底な「大規模改修工事」が1987年から1992年の6年間に行われました。

 その結果は、今になって各学校現場からの設備改修要請の増加することとなっています。
 吹田市では、大企業が保有していた社宅やグランド等の健保施設がマンション用地となり各地で急速な開発が進み、いくつかの校区で児童、生徒数が増えてきました。老朽化の問題を抱えたまま、過密化に晒されているのは、江坂・豊津地域の豊津第一小学校、片山・岸辺地域の片山小学校と千里第一小学校、山田・千里丘地域の東山田小学校と南山田小学校、山田第一小学校、佐井寺・千里丘地域の千里新田小学校と佐井寺小学校、千里ニュータウン地域の藤白台小学校、佐竹台小学校の合計10校、全小学校36校の25%に当たります。

運動場にプレハブ教室

千里新田小学校

運動場にプレハブ教室の図書室整備 千里新田小学校

運動場に図書室と低学年図書室の2教室が整備されました。

 

市独自の規制撤廃が開発に拍車

特別教室整備後に
 再び、過密化の波


 

 昭和30年代までに設立された学校は、児童・生徒数の増加に伴い増築をくりかえしましたが、 人口急増期の昭和50年代に開校した学校は、当初から、一定の生徒数を見込んで計画できたため余裕があり、普通教室を特別教室に転用することを避けることが出来ました。その後生徒数が少しずつ減少した時期に、国の計画に沿って余裕教室をコンピュータ室や多目的教室、低学年図書室などとして整備が進められました。
 規制緩和の流れの中、吹田の良好な都市環境を守ってきた「人口密度規制」等の市独自の開発要綱が廃され、マンション事業者の望む開発が急速に進んできました。   そのため、開発用地が比較的残っていた地域の学校区にこれまでには考えられなかった大きなマンション開発が行われ、その地域の小学校では過密化の波が再び押し寄せています。

  千里新田小学校

 佐井寺小学校

  狭い校舎と運動場

 この地域の5つの小学校の内、千二小学校は開校から80年、千三小学校は40年の歴史が有りますが、千里新田小学校と佐井寺小学校、東佐井寺小学校の3校は、開校から30年前後の学校です。

10%超える人口増加率
 南山田地域は深刻度増す

 2002年度に対前年度13%の人口増加率を示しましたが、その勢いは増すばかりです。甲子園球場の数倍といわれた旧日生団地の開発は、2006年度後半に始まったばかりです。

 南山田小学校区には、社宅団地や企業のグラウンドがあったためにマンション適地が残っています。山一小学校のように生徒数600人未満であるにもかかわらず、もともとの校地面積が狭いために建ぺい率ギリギリの学校では、増築の余地すらないため下足ホールを普通教室に転用することになりました。   
  

山田・千里丘地域は過密校が多い

 下足ホールが 
  教室になった

 教室不足のため2ヶ所あった下足ホールが普通教室に改装されました。障害児の受け入れのために数百万円掛け整備されたスロープも無駄になりました。

山一小下足が教室に
南山田小学校運動場風景

厳冬期でもいっぱい

 短い業間休み(20分間)にも寒さを忘れていろんな遊びのために子どもたちは運動場に飛び出します 南山田小学校

吹田市で最古の80年経過した校舎も使われる
80年以上たった大正時代の校舎外観
窓サッシと床は改装されましたが

千一小学校は、旧吹田村設立のJR以北の旧市内にあって最も古い小学校です。古い学校の例に漏れず、第二次世界大戦後の学校設置基準の標準的な学校に比べ敷地面積が狭かったため、周辺の開発が進むとともに道路を挟んで校舎と小運動場を造られました。
 上の写真の校舎は、大正時代に建設された2階建て校舎で80年以上が経過して、解体するにも進入道路がないため長い間雨漏りするなど学校現場では困り者の存在でしたが、マンション開発に伴い、窓サッシや床の改装を行い使われることになりました。
 当然、旧耐震基準にも対応していませんが、耐震補強はおこなわれないままです。

片山・岸辺地区の開発の歪みは片山地区に集中

深刻さNo.1
  千一小学校

 

 阪急吹田駅から東にJR東海道線の北に広がる片山・岸辺地域は、衛星都市化が進むとともに駅周辺がら外周部に開発が進み人口が増えてきました。  4校の内、片山小学校だけが昭和50年代に新設されました  残る3校の中でも、大正時代に開校した千一小学校は昔の基準の施設であるため、人口増加に伴い道路を挟んだ山側に校地を得て校舎棟と給食調理場を建築るすなど、人口増加に合わせて追加的に施設を拡大してきたため、運動場が日常的に使いづらいものとなり、数字で見るよりも過密化の問題は深刻です。