地震エネルギーは 阪神・淡路大震災の120倍、東南海・南海地震同時発生の危険性

 

2002年12月24日中央防災会議・専門調査会が被害予測を発表

   
   

有史に残る最大被害を予想

2002年12月24日中央防災会議の専門調査会は、東南海地震と南海地震が同時に発生した場合の被害想定を発表しましたが、建物と人命の予想される最大の被害は、全壊27万7000棟、死者7400人というものでした。しかし、この被害予想は、地震による揺れと液状化等を想定しただけで、歴史上明らかになっている過去の南海地震で大きな被害をもたらした津波と火災による想定を入れないものです。
 同時発生したときの被害は、有史に残る想像を超える甚大なものになることは現在の震災対策の遅れと過去の歴史には無かったほどの危険物の集積、人口の都市部への集中などの要素を考えれば明白です。

 

二つの地震が同時発生したときの予想されるマグニチュードは、M8.6で地震のエネルギーは1995年の兵庫南部地震の120倍というすざましいもので、被災地域も遥かに広範囲に及び四国・近畿・東海の人口密集地帯全体を激しく襲う海洋型の巨大地震となります。
 また、海洋型地震の特徴として地震の揺れる時間は兵庫南部地震の10数秒に比べはるかに長い1〜2分になり、大きな建物ほど被害を大きく受ける危険性があると専門家は指摘しています。
 このようなかつてない巨大地震が、今後30年間の間に発生する確率は40%、50年の間では80%と予測されました。

東海地震に連動すれば早まる同時発生

最近、フィルピン・プレートの沈み込む南海トラフに沿って発生する南海地震は、過去繰り返して東南海地震と東海地震との同時発生による巨大地震となっていたことが地震考古学の調査で裏付けられました。2001年の発生予測年を過ぎつつある東海地震が発生すれば連動する危険性が日々高まっていると言われ、東海地震と同様な警戒をしなければなりません。
 近畿の各自治体は、これまで南海地震単独の被害予想を行ってきましたが、その被害予測は軽微とするものでした。(ページ最後の吹田市での予想震度を参照)
  今回の専門調査会には、5つの組み合わせでの発生想定を行いながら、同時発生を繰り返してきた事実に基づき、宝永地震等の歴史的な検証と最新の分析モデルにより多様な地震の規模と被害予測を行っています。
 そうした想定の中で、南海地震単独発生よりも同時発生の危険性の方が高いことが明らかにされています。各自治体は、予想を超えた規模の巨大地震に対して、 早急な対応が求められています。吹田市地域防災計画でも、他の自治体と同じく南海地震単独の地震動予測を行い、直下型地震に比べて被害予想も十分に行われていません。

 

最悪の事態では大阪の震度は、6弱にも

専門調査会で発表された資料には、震源域が異なるいくつかの震度分布地図が含まれています。その一枚である下の震度分布地図では、大阪府全域が「震度6弱」となっています。同時発生での南海地震震源を近畿中央部寄りにした最悪事態では、大阪府の大部分が震度6弱と見込まれています。この分布図と液状化予想図を合わせたとき、北摂地域の被害はこれまでの単独発生時に比べて大きく塗り替えられます。

 

 

(2002年12月24日中央防災会議専門調査会資料より)

 

 

 大阪の液状化する危険が高いとされるのは、淀川に沿ったかなり広い地域と港湾部の埋めたて地域が主なものとされています。地盤の液状化の可能性の高い地域は、内陸部であっても川や池、水田等を埋め立てて宅地を造成した場合だけでなく、地形そのものが長い時間をかけて土砂が流入し堆積したような場所では、液状化があると考えられます。

(2002年12月24日中央防災会議専門調査会資料より)

2003年12月16日

政府の中央防災会議

東南海・南海地震防災対策推進地域を指定

 2003年12月16日、中央防災会議は全国652市町村を東南海・南海地震へ防災対策推進地域と指定しましたが、歴史的に明らかになっている東海地震との同時発生又は短時間の間隔での連動発生の可能性が高いことを想定し、政府、自治体、民間企業、住民組織が総合的な事前・事後の対策を定めた「大綱」も発表しました。
 

 

「大綱」
耐震診断結果の公表求める

「大綱」では、学校を含めた公共施設の耐震診断を早急に実施し、その結果を住民に公表することとしていますが、自治体の中には対策の遅れが公然化することで、自らの施策の遅れと責任が明らかになることを恐れ、議会ぐるみで情報の開示を滞らせる動きが広く見られます。
  中央防災会議に参加する防災専門家は、この対象地域には3700万人もの住民が居住し、産業・経済から見ても日本の心臓部にあたる重要な地域で、ひとたび災害に見舞われた場合には、被害地域が広大であるため被災地への救援活動は望めないことを前提に、地域が責任を持って自立的な防災対策の確立の必要性を指摘しています。

 
 
 
指定された府内市町村
 


 

 2003年4月17日中央防災会議・専門調査会

総括的な被害予測結果を発表

 2003年4月17日、中央防災会議・専門調査会は2002年12月に引き続き南海地震と東南海地震同時発生における総合的な被害予想結果を発表しました。 地震による建物被害を中心にした12月の被害予想に、新たに津波による被害と火災による被害を加えた総括的な被害予想の規模は、死者2万500人、全壊建物61万6千棟、経済的損失56兆円、発生後1週間の避難者数440万人、被災都道府県36という現在想定される東海地震等の他の大地震を遥かに上回るものとなっています。

 
 
阪神・淡路大震災の死者6,433人・不明3人、焼失建物7,500棟、避難者35万人(平成14年12月26日消防庁まとめ)という被害規模を遥かに上回るものとなっています。
 
中央防災会議・専門調査会
(単位・棟)