福島第一原発事故核燃料779トン建屋内に

   東北地方太平洋沖地震

 テレビを通して巨大津波による被災映像が流れ、国民の誰もが救援への想いを強める中で、福島原子力発電所はコントロールを失い周辺住民を一層悲惨な状況に追い込み、大量の放射性物質を環境に放出する史上最悪の事故を起こしました。駆けつけた自衛隊、消防隊による注水作業によって、水蒸気爆発による原子炉本体の爆発的破壊だけは免れることが出来たために、原子炉内部の60〜90tの燃料体や燃料プールにあったそれぞれ100tを超える燃料体が高温と共に飛散する東日本の生活と社会機能を奪い去り兼ねない最悪のシナリオは避けることが出来ました。1〜4号機棟屋にあったウラン燃料の総量は779トンありましたが、炉体爆裂による周辺飛散の事態は免れました。

 しかし、広範囲に飛散した事故初期の水素爆発による放射性物質だけでも広範囲の重大な汚染となり、住民の健康を護るためには日常生活から農業生産、教育・子育てなどあらゆる分野で長期にわたる支援と対策が必要になっています。

 原子力発電推進派による安全神話醸成の陰で、原子力災害に対する真摯な対応策が全く構築されず、事故後の福島県民の復興事業をより困難に追い込みました。

世界に発信された3号機爆発の映像

 世界に配信された3号機爆発 噴煙は400mの高さに達している

拡散した福島第一原子力発電所事故放射能

 福島第一から215km離れた、群馬県高崎市の大気から半減期8日のヨウ素131、3.2日でヨウ素132に変化するテルル132(Te-132)、半減期30年のセシウム137などが突然、大量に検出されました。2つのピークで検出された、人工粒子状放射性核種の構成は異なりますが、風速、雨雲などの気象条件により飛散の様子が大きくことなることを示しています。

 大気圏核実験の国際的監視を担う公益法人・日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センターの高崎観測所は、大気中の人工的粒子状放射性核種の観測を行い、その観測データをCTBTO包括的核実験禁止条約機構へ送っています。

 通常は非公開の「24時間毎にフィルターに捕集された異常な観測データ」を、福島第一原子力発電所事故と関係ありとして、公表されました。大量に大気に放出された放射能を考えると、爆発事故時の風向きによっては関東の人口密集地の汚染の可能性もありました。

 

高崎市で観測された福島原子力発電所事故により飛散した粒子状放射性核種の観測データ   
停止したはずの炉から3.2日で無くなるテルル132が出る

 

   2つめのピークに含まれる核種

 

     何らかの核反応?

 

 3月15日〜16日の観測記録と3月20日〜23日の観測記録は全く意味が異なります。高崎市が200km離れていて、福島第一原発から原子雲の到達時間のずれは1日〜2日あり、3月11日の発災時緊急停止されてから10日たっていた2つ目のピークに3.2日でヨウ素132に変化するテルル132が含まれるていたことは、単なる水素爆発では説明しきれず、3月11日の緊急停止後になんらかの核反応があったのではないかということです。

 原子炉と燃料プール内の燃料体の損傷状態が過酷であるほど、今後の作業が困難であることを示唆し、40年、50年と言われる事故処理の作業年数は、不確定となります。

 

 

 原発事故後、自然界に常時存在する放射能を引き合いに、原子力発電所の原子炉内部で生成される人工的な核放射性物質と自然放射能の影響を同列に並べる「専門家」の意見が紹介されました。

 人類誕生以来の進化の中で、海から陸に上がった私たちの体はミネラル分を効率良く取り入れる仕組みを持っています。成長ホルモンを作り出す甲状腺は、体に入ったヨウ素を効率よく集め、カルシウムに似たセシウムは骨に蓄積されます。

 環境に拡散した核汚染物質が、自然の循環サイクルと植物連鎖による濃縮は、今後、どのような形で現れるのか注意深く監視する必要があります。内部被爆が遺伝子に影響を与える深刻さは、多くの指摘がある通りです。

 とりわけ成長期にある子どもは、代謝が活発でおとなと比較にならないほどの影響を受けるため、一層厳しい対応が必要となります。

  

原子力発電所に展示された燃料体写真

燃料集合体

 

長さ4.47m

 

14センチ角

 

重量300kg 内ウラン燃料ペレット170kg

福島第一原子力発電所1〜4号機燃料体数

左の表は、福島県庁ホームページにある福島第一原子力発電所1号機、2号機、3号機、4号機建屋内部にある燃料体数を示すものです。

 ウラン燃料は、どのぐらいあるのでしょうか。

原子炉内は、1,496本×170kg=254トン。メルトダウンしているためどんな形状でどこにあるか分かりません。

 核分裂反応による放射性同位体を大量に含んだ使用済み燃料体は、プール内にあり2,724本×170kg=463トン。

未使用の燃料体は384本×170kg=62トン。合計すると779トンとなります。

 使用済み核燃料の放射線量は、未使用時の数千倍と言われますから、常に安全に遮蔽された水中に保管される必要があります。原子炉が健全な状態のとき、ひとつの原子炉建屋内で使用される水量は3,000トン。現状では内部がどのような状態か誰にも分からないので、想像の話になりますが、高濃度汚染水は、数千トンとなるはずです。

 

 

3号機使用済み燃料プール

3号機使用済み燃料プールには鉄骨が

自然エネルギー福島再生の産業に

 

 政府、国会、民間の事故調査委員会がそれぞれ明らかにした膨大な調査、報告を知り感じることは、民間営利企業が利益追求のために、事故予防に振るべき施策を「経費節減・効率化」の声に押されて見失い、いつの間にか安全神話をつくりあげ、これほどの被害をもたらす事態を招いたこと。利益追求のために、万一の事故で国民が祖国を失いかねない、巨大で危険な装置を持つべきではなかったことです。

 福島再生のため自然エネルギー産業を

 高効率なガス発電、地熱・温泉発電、海洋潮力・波力発電、小水力発電、太陽光発電、風力発電など世界の先端を行っていた技術と企業の活動がありながら、原子力発電を重視する電力会社はそれらが市場として成り立たないように抑える姿勢を貫き、影響力を駆使して国策として原子力優先を推進してきました。

 すでに技術的基盤を持っている自然エネルギー発電を政策的に育成促進し、電力会社の地域独占を保証してきた発電と送電を分離する明治以来の改革を実現する。電力市場の自由化と電力会社自身が大規模に自然エネルギーに参加する競争関係を作る。

 大規模な節電が可能となる直流給電と機器の直交流回路搭載、新築住宅、ビル、工場に直・交流配電設備設置など、大規模な需要を喚起しながら長期的には日本の化石燃料への依存を減らす方策もあります。わずか半年の間に原子力発電1基分のプラント事業化が明らかになったメガソーラー発電。自然エネルギー計画を世界をリードする産業として育てることが、日本の未来を拓く道です。

松川地熱発電所

松川地熱発電所・岩手県八幡平

2万3,500KWh 1966年稼働

 

山奥の松川温泉上流にあります

 

五島沖浮体式洋上風力発電プラント

環境省・五島沖浮体式洋上風力発電プラント

10分の1実証機 出力100kw

2013年度2MW発電プラント設置予定 イギリスは7000基13兆円の投資を計画

 

 

 浮体式洋上風力発電プラント

 

 福島県は、機械工場や電気機器工場もあり、原子力発電を支えたメンテナンス企業もあるだけでなく、発電した電気を消費地に送るための送電線は、これまでの原子力発電所用をそのまま使えます。福島県は、これまでも再生可能エネルギー推進を県の政策として来ましたが、2012年3月再生可能エネルギー推進ビジョンを改訂し、2020年までに風力発電で100万世帯分の電気を賄える2,000MWを実現するとしました。経済産業省管轄は、福島県沖での浮体式洋上風力発電試験プラントを2012年10月稼働させ、順次大型開発を進める計画です。

同県郡山布引高原風力発電所は、2007年から稼働し、33基の風車発電機で66MW・3万5千世帯分の発電を行います。

  

神戸製鋼マイクロバイナリー発電システム

神戸製鋼

マイクロバイナリー発電システム

BM−70H

電気事業法の小型バイナリー発電の

規制緩和の対象仕様

工場廃熱利用の小型発電にも対応します

効率良く温泉水利用 バイナリー発電システム

 

 大分県湯布院温泉・庄屋の館を最初に、別府温泉・「瀬戸内自然エナジー」熱媒を利用して未利用温排水で発電するバイナリー発電システムが2012年発電を開始しています。

 長崎県雲仙小浜温泉では、105℃の未利用のまま海に流されている日量1万トンを利用し、経済と観光の活性化を図る地元に長崎大学が協力し、一般社団法人「小浜温泉エネルギー」が発電実証試験で同じシステムを採用し、2013年2月発電開始を行います。別府、小浜とも順次発電量規模を大きくする計画です。

白地震、津波、原発事故の3大苦 東日本大震災
   
 

第11回調査までの歩み

急速に整備されてきた日本の地震観測システム

南海トラフ地震の姿

 

第11回耐震調査都道府県結果

吹田市の耐震化の遅れの原因は

 

南海トラフ被害予測と対策の重要性

 

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