吹田市の学校配分予算は、教育委員会が学校の標準的運営経費を算出しそれに児童・生徒数等を勘案して各学校に渡されます。学校長は教育委員会が定めたガイドラインに沿って配分額の予算編成を行い支出します。
子どもたちの学校生活に一番身近に影響する学校配分予算ですが、学校の外にはほとんど知られることはなく、児童一人当たりの年額はわすか1、2万円程度に留まっていましたが、下のグラフの様な急落となっています。 吹田市の場合、小学校の児童数は増えているなかで2001年から2008年の8年間に1万1,566円から8,539円に25%以上も減額されました。
下の予算の使い道を見ても判るように、児童数に関係なく発生する固定経費と膨大な用具、備品の維持管理・更新費用などは先送りされることでボディーブローの様に教育環境の悪化となってあらわれます。例を挙げれば、かつてはストーブの予備を持って故障したとき児童が寒さを覚えることなく対応していたのが、予算の残をみながらあわてて業者に発注することになっています。このようなことが、あらゆる備品の事例で起こり、突発のことに職員はあたふたすることが多くなります。
すべての備品、消耗品がギリギリの数量を購入することになり、必要な用品を探し回る姿がよくみかけます。仕事に使うものを職員が自宅から持ってきたり、やむなく自腹で購入して使うこともあります。配分予算削減が児童の学習環境を直撃しつつあります。
吹田市議会事務局発行「市政概要」20年度分より作成
下記の表一番下の備品購入費は、図書と教材、校務の3つに分かれます。 図書は、図書室の本等の購入に当てられます。 教材用備品費は、家庭科室、音楽室や理科室等の各教科で使われる冷蔵庫、ミシン、楽器、実験機器、テレビ等のAV機器、資料から体育で使うサッカーゴール、プールのコースロープまでの教育活動に直接必要な備品の購入に当てられます。 校務用備品費は、児童用机・イス、保健室の体重計、ベッド等に、印刷機、職員室の机・イス、ロッカー、ストープ、扇風機、換気扇、営繕作業に使う電動工具等学校運営に必要なあらゆる備品の購入に当てられます。 教材用消耗品費は、授業や学校行事等教育にかかわる多種多様な消耗品の購入に当てられ毎年百件を超える用品が購入されます。 校務用消耗品費は、文房具類、トイレットペーパー、印刷用紙、掃除用具、ワックス、ペンキ、蛍光灯、保健室の薬品・包帯等学校生活を支える用品の購入費です。
需用費の中にある修繕料の内、「建物等(ガラス)」の予算枠は、中学校ですら50万円程度しかなく、事実上どの学校もガラスの入れ替えで終わっているのが実情です。 堺市などのように配分予算の中に校舎修繕料が2,3百万円含まれ、校長権限で50万円以下の支出が行うことが出来れば、きめ細やかな環境整備が実現でき、いつまでも破損個所が放置されることはありません。 施設修繕のための予算は、吹田の場合配分予算には僅かしか含まれていないため学校長が必要と判断しても細やかな改修工事は進みません。残念ながら学校で購入できる修繕資材の予算も年間10数万円しかないため、限られた営繕・修理しかできません。 吹田市の場合、学校配分予算には水道、光熱費は含まれず教育委員会が一括して支払います。
地域教育協議会の発足等もあり、近年学校と地域との交流は強まるばかりです。学校長は、多くの場合学校を代表して自治会等の地域組織や個人とのつき合いは多く、場合によっては冠婚葬祭にも出席しなければなりません。 配分予算を見ても、交際費らしい費目はなく、吹田市の場合学校長は自腹を切って地域との交流を深めているのが実情です。 自らの休暇も返上して、土日、祝日にも地域行事に出席するのですから、心身ともに休む間もない毎日。せめて交際費があって良いのではないでしょうか。 同じく、クラブ活動を支える教諭をサポートする予算もほとんど無きに等しいと言えます。中学校においては学校生活に占めるクラブ活動の比重が大きく、学級活動では得られないメンタル面の成長を期待されていますが、そのクラブ活動の指導者は生徒のために自分の財布から支払わなければならないことがよくあります。