地震考古学で確認された活動周期 有馬・高槻構造線系地震、大阪北部を襲う直下型の危険性

   

すでに活動周期を超える

 阪神・淡路大震災以降に断層面の発掘調査を行う地震考古学が記録に残っていない各地の地震の歴史を明らかにしています。その中で、有馬・高槻構造線系における地震の歴史が明らかにされてきました。有馬・高槻構造線では、7、800年周期に断層が活動を繰り返していることが明らかになっています。六甲断層がおよそ1000年周期であるのに比べ、やや短いのですが最新の活動期からすでに700年以上が経過し、いつ発生してもおかしくない状況になっています。

吹田市では、木造住宅の56%が全半壊

「吹田市地域防災計画」では、有馬・高槻構造線系地震の被害予想では、木造住宅の全壊は、40.2%にあたる15018棟、非木造住宅では、10.4%にあたる1729棟となっています。全・半壊の合計では、木造住宅は、半数を上回る56.2%、非木造でも22.6%という驚くべき数字になっています。人的被害では、1371人の死者数になります。一時避難者の総数は、18万5400人。収容避難者は、5万5600人と見積もられています。

 

市の北部中心に震度7も

 有馬・高槻構造線は、北摂の山裾を大きく東西に走る活断層で、吹田の北部から僅か数Hの所にあります。震度7を予想されている地域は、山田川流域から市の北側、万博公園周辺となっています。色が震度7地域。

 

有馬・高槻構造線系  

吹田地域地震動予測  

「吹田市地域防災計画」より  

 

有馬・高槻構造線系地震 

建物被害予測 

 

 有馬・高槻構造線系地震は、阪神・淡路大震災と同じ直下型地震です。右の図の枡目は、250m×250mのおおきさですが、その地域の全ての建物の内で半数以上が全壊すると予測されている地域が、30以上あります。
 特に、地震動の大きさに関わりなくJR以南の地域に50%超える被害が予測されています。これは、軟弱地盤の液状化による 被害が大きくなるとされているからです。

 右の被害予測地図で、白い大きなエリアは万国博覧会記念公園です。

 

 図の見方

全建物全壊率

一番濃い赤色 60〜70%
    赤色 50〜60%
  ピンク色 40〜50%
 オレンジ色 30〜40%
 クリーム色 20〜30%
   濃緑色 10〜20%
   黄緑色  5〜10%
    水色  5%未満  

   

南海地震被害予想 同時発生の可能性

 最近、地震専門家の間から注目しなければならない警告がありました。フィルピン・プレートの沈み込む南海トラフに沿って発生する南海地震は、過去繰り返して東南海地震と東海地震との同時発生による大震災となっていることが地震考古学の調査で裏付けられ、東海地震と同様な警戒をしなければならないと言うものです。
  断層による直下型地震と異なり、トラフ沿いに起こる海洋型地震は、揺れる幅が大きく、揺れる時間も1分を超えるものとなります。吹田市地域防災計画では、南海地震単独の地震動予測を行い、震度6弱を想定して、直下型地震に比べて被害予想も十分に行われていません。
 専門家の指摘通り同時発生となれば、予測震度は7に達すると言われています。南海地震の周期を90年とすれば2030年が予測されますが、連動の歴史が明らかになったことで、東海地震の予測された2001年が過ぎて、同時発生の危険性が高まっています。

単独発生を想定しているために

低い南海地震の被害予測

南海トラフ系地震

建物被害予測 

 

 南海地震の予測する建物被害は、5%未満となっています。わずか10数秒で終わる直下型の揺れに対して、南海トラフで発生する巨大地震は、1分以上の大きな揺れをともなって広範囲に被害を与えます。

2004年9月5日の夕刻と深夜に発生した震度5弱の紀伊半島沖合の地震では、人間には感じにくい長周期の揺れが大阪、愛知、東京でも観測され、大きな構造物への被害が懸念されています。同時発生になったときの破壊力は、直下型を上回るすさまじいものになります。

 
 

図の見方

全建物全壊率

一番濃い赤色 60〜70%
    赤色 50〜60%
  ピンク色 40〜50%
 オレンジ色 30〜40%
 クリーム色 20〜30%
   濃緑色 10〜20%
   黄緑色  5〜10%
    水色  5%未満