フルスロットル

〈レースを楽しもう〉 第4回

11月のレースがとても惨めな結果だったので、12月のテイスト・オブ・フリーランスでなんとか去年のレースをいいかたちで終わらせたいと思っていた。しかし、11月のレースとのインターバルが短すぎて、2回予定していた練習も仕事が忙しくて1回しかできず、最悪のコンディションでレース当日を迎えるハメになってしまった。

 12月は寒い!はっきり言ってレースをやるような季節ではない!寒いと体が動かないし、路面温度が低い=タイヤがグリップしない、などなど危険要素が多い。午前中の寒い時間に始まった予選では転倒が続出、何回か赤旗による予選の中断があった。僕の予選開始は9時半であったが、気温は低く体も動かない。予選時間が10分と短い上に遅いバイクに引っかかってしまって、予選タイムは1分10秒。「去年みたいにリベンジャー(予選落ちした人の為のレースのこと)に出れるから予選結果なんてどうでもいいよ」と予選結果を見ると25位。「そうなると午後一には終わりかぁ」、既に帰りのことを考えているのだった。

 予選25位は後ろから数えた方が早い。ウォーミングアップランを終えて位置についても緊張感がまるでない。スタートと同時に軽くウィリーしながら(バイクは速くなっているのにねぇ...)ダッシュするが、1コーナに殺到する20台以上のバイクを目の前にして、「転倒されたら巻き込まれる!」と思って弱気になってしまい順位を一気に下げてしまった。レースはメンタル面が大きく影響するので、スタート直後からそんなことを考えていたら勝負にならない。気がつくと最下位争いをしている....。予選をぎりぎりで通過したVFR友杉さんに抜かれてしまったので、何とか抜き返そうとするが横に並ぶことができない。VFR友杉さんを含めた4台集団の後ろについてチャンス(?)を伺う。なんとなく嫌な予感がしていたが、案の定4台集団の先頭が第一ヘアピンで転倒した。よけようと減速したせいで友杉さんは先に行ってしまった。「あ〜、もう駄目だぁ〜。」

 危なく周回遅れにされそうになりつつも、何とか23位でゴールした。しかし転倒が多かったので完走は25台。ということは、ビリから3番目...。その上、いつもの仲間には全員置いていかれてしまったのだった。あ〜あ。

〈速く走るためには〉
 去年は、一度も自己ベストタイムを更新できなかった。こんな事はレースを始めてから一度もなかった。 以前、5位入賞した時は走っていても転倒する気はしなかった。タイヤがスライドしてもお構いなしにアクセルを開けていたし、むしろそのスライドを楽しんでいた。心理的にも、自分は速いんだという自信があったように思う。しかし、去年は色々なことで自信を失うことが多かったせいか、走っていても集中しきれなかった。その結果、走るたびにタイムは落ちていった。今年は転倒が一度もなかったが、それは自分の限界に挑戦しきれていないということである。

〈僕にとってのバイクの楽しみ方って?〉
 つい最近まで、バイクに乗る時は「バイクに乗るぞっ」という気合(?)を入れていた。でも去年の10月に安田さんと走りに行ってからその考え方が少し変わった。もっと気軽にバイクに接しようと。そのための第一歩として、普段使うヘルメットをフルフェイスからジェット(戦闘機のパイロットが被るタイプ)に変えようと思う。「世界が変わるぞぉ」と安田さんは言う。 今でも憧れのレーサー、例えばP・F・キリのような人達が乗っているレース用バイクの市販モデルは欲しいと思う。しかし、それはサーキットで乗ってみたいと思うだけで、街中で乗りたいとは全然思わない。それらは、レースで勝つ為に作られたバイクであって、交差点や曲がりくねった日本の峠を走る為に作られたのではないのである。見栄や憧れだけで選んだバイクに乗せられるのではなくてバイクと対話しながら乗りこなしたい、最近そう思うようになった。

 で、車庫の片隅で埃を被っていた250ccのオフロードバイクを去年の暮れに復活させた。そのバイクを買った目的は、林道に行ったり、河川敷を探検(?)する為だったが、軽い車体を振り回しながら近所を走ってみるととても楽しいのである。これがツーリングで使っていたBMWでは、重いだけでとても苦痛である。BMWは長距離ツーリングを得意とするバイクであるから、当然ではあるが...。 今年はBMWの後継者選びから始まりそうである。



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