サンデー毎日表紙  サンデー毎日を読みましたか

 酔水会企画局長福田氏は写真家です。今号の表紙も彼の写真をただで使用させていただきましたが、彼の活躍の場はプロの場です。1月17日付のサンデー毎日の巻頭グラビアが彼の仕事でしたのでご紹介します。
 最低気温が連日マイナス20度を下回ることも珍しくない1月の北海道。
 極寒の地に生きる動物たちといえば、どれも冬眠して遠い春を待っているかと思われがちだが、実は厳しい冬をいきいきと跳び回っている生き物も多い。
 彼らの生活ぶりを撮影している私は、分厚いダウンジャケットでふくれあがっていかにも不格好なのだが、エゾリスやテン、キタキツネなどはわずか数センチの長さの毛皮を身にまとっているだけで、寒さなんてどこ吹く風といった感じで目の前を平然と通り過ぎていったりする。
 この季節、確かに寒さは厳しいのだが、雪の積もった森を歩くのはとても楽しい。雪の上にはふだん見ることのできない動物たちの足跡がはっきりとしるされ、この足跡は向こうの沢のほうへ行ったようだとか、この小さなのはエゾリスだろうかとか、思いを巡らせながらの散策はこの時期ならではである。  また、葉の落ちた森は見通しがきき、木のうろで日中羽を休めるエゾフクロウを発見できる楽しみもある。
 そして、特に気温の低い日などは雪の観察がおもしろい。本州の湿った雪は綿のように空から降ってくるが、乾燥した北海道の雪は、条件のよい日なら『雪印マーク』がそのまま落ちてくる。雪の結晶が一つずつ舞い降りる様子は、一瞬我を忘れるほど美しい。  閉じこもりがちな毎日だが、元気を出して自然の中に飛び込んでみれば、きっと心温まる何かに出会えるはずだ。   

文・写真 福田幸広
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