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停電時の売電

 東日本大震災の余波で東京電力管内は 長期的な電力不足に陥り、従来予想だにしなかった「計画停電」が行われている。

 我が家も太陽光発電により 晴天時は停電時、2〜4kw程度の発電が期待でき、少しでも電源供給のお役に立てるのではないかと思っていたが、実際は商用電源側が停電している場合は、系統連系運転は自動で停止し、自立運転モードで太陽電池モジュールが、1.5kW以上設置されている場合でも、最大1.5kWまでしか電力供給しない仕組みになっていることが判明した。

そこでこれを機会に停電時の太陽光発電システムのメカニズムを調べてみた。

なお、本内容は大半を "nikkei BPnet" 記事よりの抜粋により作成した。

「系統連系型システム」

個人住宅に太陽光パネルを設置した場合、通常は電力会社と契約を結ぶことになる。

太陽光では発電できない夜間や、発電量が少ない曇りや雨の日には電力会社から「買電」し、発電量の多い晴天時には“発電所”として逆に電力会社に「売電」するためだ。

その際、電力会社の電気系統と連系することから、これを「系統連系型システム」と呼ぶ。


(右図はシャープHPより引用)

ここで配電系について考えてみると

電力が変電所から各家庭に送り出される際、電圧は距離に応じて徐々に下がっていく。電力会社の配電線には、その電圧の振れ幅に合わせた「電圧管理値」という許容値を設定してあるが、そこで想定しているのはあくまで「変電所から各家庭へ」という一方通行である。

住宅用太陽光発電システムで発電した余剰電力を電力会社へ送電する、いわゆる「逆潮流」は想定していない。

しかし、各戸では3〜5kW程度の発電システムでも、将来太陽光発電が多くなると地域全体ではMW(メガワット)級という発電施設に匹敵する規模の発電量になる可能性がある。

そうなると天気の良い日の昼間などに余剰電力をそのまま流していくと、電圧管理値の上限を超えてしまいかねない。

このため、一般の太陽光発電システムは上限値を超えないように電圧上昇抑制機能を内蔵しており、電圧が管理値の上限に近付くと自動的に発電を抑えるように設計されている。

一見、何も問題はなさそうだが、それは現在のように設置数が少ない場合に限られる。将来集中連系した場合には、抑制機能が頻繁に作動しすぎて発電量が減ってしまうという問題も出てくる。

また、停電時、変電所からの供給が無くなると 太陽光発電から供給したいが その負荷は近所一帯となり、たちまち2〜4kw程度の発電量を超えてしまい、「発電量不足」の状態となり、パワーコンディショナが停止する。


従って、現状の「系統連系型システム」では停電時の売電は出来ない
これは将来、太陽光発電が普及してくると大いに問題であり、喫緊の課題として検討すべきであろう。

 なお、これらを見越して (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて「集中連系型太陽光発電システム実証研究」が 群馬県太田市PalTown城西の杜で 557戸の個人住宅が参加して種々の実証実験が進められている。

参考:「自立運転モード」(下図はシャープHPより引用)

電力会社の配電から切り離せば負荷は自分でコントロール出来るので太陽電池モジュールが動作している間はその電力を使うことができる。

ただし、自立運転出力に接続する機器の消費電力が、太陽電池で発電できる電力を一時的にでも超える場合は「発電量不足」の状態となり、パワーコンディショナが停止する。

なお、現在製品化されているシステムは太陽電池モジュールが、1.5kW以上設置されている場合でも、最大1.5kWまでしか電力供給しないものが大半である。

 

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