un-stubborn とは?

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これは一体どういう意味なのかという、よく訊かれる質問にお答えします。

1991年にはじめて自分のワークショップを持ったときに、名前を stubborn と付けました。
これは普通に使われている英語で、日本語表記で最も近いのは「スタバーン」でしょう。
「がんこな・頑迷な・へんこな」といった意味があって、いい意味に使われることがないとは
言えませんが、あまり良くない意味に使われることの方が多いようです。
a stubborn old man who never listens (他人の言うことを聞かないがんこじじい)といった
ぐあいです。
これを逆に取って「納得いくまでがんばって仕事する」というような意味を込めてみました。

そして月日は流れて2004年1月1日というおめでたい日、今度は本当の意味での自分の
ワークショップを建てることができました。(以前は貸倉庫でやってましたが、今度は土地
買って新築!で大借金!)
そこで変えた名前が un-stubborn という反対語なのです。

でもこれは普通の英語ではなくて、大昔に読んだジョージ・オーウエルの「1984」というSF
小説からの引用です。
この小説自体の詳細なストーリーはもう忘れましたが、未来の超画一的な生活から逃げ
出そうとするカップルのお話だったような気がします。
副題の big brother is watching というのがすごくインパクトありました。
big brother は普通「お兄さん」ですが、この場合は「政府」とか「統制者」とかいうような意
味で、タイトル風にいくと「われわれは常に見ている」とか「あなたは常に見張られている」
とかいったところでしょう。
こういう未来って本当にありえそうでこわいです。 (‐‐;

この小説に出てくる未来では政府が完全に統制した社会を作っていて、反乱を起こそうと
する異分子の発見と排除にいろんな策略を使います。
全員同じ服装・住居とか密告報奨制度とか、まるでどこかの国みたいです。
その中の1つに「思想統制」を更に進めた「思考統制」なるものが出てきます。
自由な思想とか議論とかの前段階の「思考」、つまり人にものを考えることをやめさせてし
まうことで無思考・無気力・無感動な群集を作って、革命を起こさせないということです。

さらに、その思考統制を進める方策の1つとして「言語統制」というものが出てきます。
人が使う言語そのものをできるだけ単純なものにすることで、思考をもまず単純なものに
してしまおうということです。

例えば「良い」意味の単語を考えてみます。
フツーに良いのは good / nice
天気がいいのは fine
オートバイがかっちょいいのは cool
おっとこまえなのは handsome / cute / good-looking
美人なのは beautiful / pretty / cute
食べ物がおいしいのは delicious / tasty
などなど形容しているモノによって使われる単語もちがうし、同じような意味でもビミョ〜に
ちがうニュアンスをもってさまざまな単語が使われるのが通常の言語です。
この使い分けなどを「考える」必要のないものにしてしまいます。
「良い」のはすべて good で表わすのです。
人も天気もオートバイも食べ物も全部、いいものは good なのです。

さらに「すごく」良いということを表す単語も very / so / really などさまざまに使い分けて
使われるものですが、これは全部 plus で表わします。
何でもかんでも「すごく良い」のは plus good なのです。(+ good ということ)

そしてさらに「とんでもなく」良いというもっと上の表現には unbelievably / incredibly /
surprisingly などがありますが、これは全部 double plus で表わします。
「ちょべりぐ〜」は double plus good なのです。(++ good)

反対の「悪い」意味の単語も当然 bad / ugly / nasty / terrible など使い分けされますが
これらは全部 ungood で表わします。
元々悪い意味を持つ bad とかに統一するのではなく、un という否定の接頭語を使うのが
ミソで、これで使う単語もほぼ半減するわけです。
う〜ん、よく考えられてます。

もうこの辺でおわかりだと思いますが、double plus un-stubborn は「全然っ!がんこじゃ
ない」という意味になります。

これとは違い、always customer first は普通にアメリカなどで使われている宣伝文句で、
直訳すると「常にお客様第一」ですが、三波春夫の「お客様は神様です」がぴったしです。
customer is the king の方が近いことは近いですが........


doubleplus

             always customer first

そこでこのロゴをまとめて訳すと、
「がんこで偏屈で無愛想なんてとんでもございません。
 お客様は神様でございます。
 どなた様の修理や改造依頼も喜んでお受けさせていただきます。
 このバイク好きだし、その改造おもしろそうだけど、あなたキライだからお断りします........
 などとは口が裂けても言いません。
 金のためなら何でもするのがアンスタバーンさんです。」
となります。

まず stubborn と名付けた「フリ」が続くこと10余年、un-stubborn で「オトシテ」みました。
いかが?
ここで考えられる「ツッコミ」は、
「ウソつけっ!」
「どこがやねん!」
「言ってることとやってることが違うがな!」
などが定番ですが、
「長いフリやなあ〜」
「はいはい、わかりました。」
というひねり技もいいでしょうし、
「そうそう、いつもニコニコで誰のどんな依頼でも受けてるもんなあ............って、そんなこと
あるかっ!」
というような「ノリツッコミ」もしぶいです。 (^^)





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