地裁八王子支部(提供:亜細亜大学法学部町村ゼミ生による写真)


追悼・辻内鏡人 1954-2000

 辻内さん傷害致死事件 裁判の記録

東京地裁八王子支部

初公判(2001.2.26)
第2回(2001.3.14)  
第3回(2001.5.16)  
第4回(2001.5.23)  
第5回(2001.6.7)  
第6回(2001.6.27)  
第7回(2001.8.22)  
第8回(2001.9.12)  
第9回(2001.10.17)  
第10回(2001.11.14)  
第11回(2001.12.5)  
第12回(2001.12.12) 論告求刑・最終弁論  
第13回公判(2002.1.21)  判決 懲役7年

控訴審(日程未定)

 

2001年10月17日 第9回公判

(今回も、鈴木茂さんを中心に作成した詳細な報告をもとに中野が概略を作成しました)


地裁八王子支部305号法廷 13時35分開廷

10月17日、第9回公判が、冷たい雨の中、開かれました。今回、弁護側は小林弁護士に加え、もう一人の男性(弁護人)が出廷しました。今回をもって証拠調べを終了するとのことで、弁護側から証人申請のあった被告人の母親と被告人本人への質問が行われ、両人とも、はっきりとした声で証言しました。

被告人の母親は、事件後、5、6回現場を訪れているが、事件発生と同時刻には暗いので、通行する自転車の種別まで識別することはできないと強調しました。また、前回(第6回)の証人尋問において、陪席裁判官から、被告人が警察を恐れるようになったことについて、何か思い当たるところはないか、と尋ねられたのに対し、とくに思い当たることはない、と答えていましたが、今回は、同じ質問に対し、椎名麟三と小林多喜二の作品を読んだことを指摘しました。被告人が他人と争うことはなく、長い間病気をしていたので臆病なこと、弁償金の一部支払いを拒否されたので裁判所に供託金(394万4712円)を供託しているが、そのお金は預金と生命保険の解約(90万円ほど)によること、現在は被告の赤帽の収入が無くなったために、年金だけでは足りないので生活保護を受けていることなどを述べました。


次に被告人は、重ねて故意でないことと、警察に対する恐怖を訴えました。また、被害者とその遺族に対する現在の心境について、被告人は、自分がキリスト教徒で、マーティン・ルーサー・キング牧師と親しかった牧師からキングの非暴力主義についての話を聞いて感動したことがあること、最近、辻内さんのお嬢さんが書かれたキング牧師についてのエッセイを読んだこと、過失であれ、なんであれ、辻内さんが亡くなってしまったことはどうしようもないという思い、遺族が長い裁判に耐えてくれたことに感謝していることなどを、涙声で述べました。また、検事の質問に対して議論しているときは興奮しやすい性格であることを認め、最後に陪席判事から、事実関係の記憶が曖昧なことを指摘されて、実際には事件直前の走行経路など、自分の行動について何も分からない状態であったこと、そして分からないので、多分、そういうことではないかと思ったことを話し続けてきたことを認めました。

最後に裁判長が、弁護側が申請していた鑑定はしないこと、現場検証もしないことを通告し、今日で証拠調べが終わり、次回は、論告求刑と最終弁論を行うと述べました。次回公判は11月14日水曜日、13:30から同じ地裁八王子支部305号法廷で行われる予定です。