地裁八王子支部(提供:亜細亜大学法学部町村ゼミ生による写真) |
辻内さん傷害致死事件 裁判の記録 |
東京地裁八王子支部 初公判(2001.2.26) |
|
控訴審(日程未定) |
|
2001年9月12日 第8回公判 地裁八王子支部305号法廷 13時34分開廷 冒頭、弁護人が実況検分合意書面を提出した。立証主旨は、現場の見通し状況について。被告が被害者を発見したとする位置から5カ所で、前照灯をつけたとき、つけないときなどで照度を測定。結果は0.36ルクスから3.25ルクスとのこと。
これに対して反対尋問に立った弁護人は、サドルの横に立たせた人間はスポーツ車に通常乗るように屈んではおらず、実際に被害者が乗っていた状態で検分したわけではないこと、着衣の色などが分かるかどうかも検分していないことを確認しようとした。 この証言に伴い、検事は刑事訴訟法323条3項にもとづき、同日の実況検分調を甲35号証として採用するように申請した。弁護人は異議を申し立てたが、裁判長は異議を却下して、甲35号証を採用した。 次に、弁護人は松田よう証人(事件当夜110番を受信した警視庁通信司令本部勤務の警察官)を申請した。なお、110番の聴取記録(テープ)については、通常、3、4日で消去され保存されていないとの警視庁からの回答が報告された。 松田証人は宣誓後、弁護人の質問に答えておおむね次のように証言した。事件当日、12月4日は「泊まり」勤務(午後3時から翌朝10時まで)で、通常、100件から150件を受信する。当該事件については、受信の時点で電話を受けながら受理用紙に記載したほかに、事件の翌朝、小金井署より当該事件についての連絡があったので個人的なメモを作成し、12月16日に上司に110番聴取状況報告書の作成を命じられたので、受理用紙、メモと記憶を頼りにして報告書を作成、この際にメモをシュレッダーにかけたと述べた。さらに松田証人は、事件当時の受信の状況(8時22分から26分まで)について、「男に追われている」というようなことを被告が通報したが、すぐにノイズのような雑音が入り、切断されたような状態になったので何度も再信ボタン(自動的にコールバックする機能をもつ)を押して呼びかけたが応答がなく呼びかけ続けたこと、しばらくしてつながったときに、被告が追いかけてきたので「ぶつかった」というようなことを言っていたと報告書には記入したが、今は詳細について記憶がないと述べた。また被告は当時、自分のいる場所をはっきり言えず、「国立市光町」と誤って言っていたこと、「光町」という地名についても誰かに場所を聞いている様子だったこと、これを聞いた松田証人が場所を探して無線指令を要請したこと、記録にある8時27分は、無線指令の終了時刻であることを証言した。 このあと、弁護側の要請により被告の母親の証人尋問が行われる予定だったが、これに先立って被告人に対する尋問を行う必要があると弁護人が申請し、なおかつ被告が体調不良を訴えたために、今回の公判はここで終了とすることになった。閉廷は午後3時40分頃。
|