追悼・辻内鏡人 1954-2000

 辻内さんの仕事

『アメリカの奴隷制と自由主義』

東京大学出版会、1997年

(アメリカ学会清水博賞)

「すなわち、南北戦争前には、奴隷制廃止という道徳的な要請とも合致した功利的で進歩的な自由主義は、19世紀の後半以降は、自由放任(レッセフェール)的と自助の原理にもとづいた自由主義へと転換を遂げたのである。その過程で、北部人のいだいていた初期の奴隷制廃止主義(アボリショニズム)の熱は冷め、『40エーカーの土地と一匹のラバ』という解放民の要求は見果てぬ夢となった。社会全体が利益追求に奔走する『金ぴか時代』Gilded Ageにさしかかり始めたとき、かれらは無防備のまま市場経済の世界に放り出されることになったのである」。

終章(321頁)から

 

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