QCAMでの惑星撮像


 ここでは、私がQCAMを用いて惑星撮像を行う場合のシステムと撮像、画像処理方法などを簡単にまとめてみました。画像処理のソフトはステライメージ2または3を想定しています。

システム
C5にXP8mmで拡大撮影しています。QCAMは、シャープのCCDを使用したもの(QCAM VC)で、ついているレンズは取りはずしてTマウントを接着しています。撮影アダプタは、手持ちの金物を組み合わせたものです。
IRカットフィルターは誠報社のものを、アダプタにテープで止めて使用しています。
シュミカセでは、天頂プリズムを使用したときに球面収差が最小になるような設計らしいので、アイピースまでの距離が大体100mm程度になるようにしています。

撮像
まず、出来るだけ階調が豊富になるように露出を設定します。ただし、飽和してしまうとまずいので、調整に一番時間がかかり、かつ面倒臭い作業です。必要に応じて、一度キャプチャした画像をステライメージなどで開いて、画像の輝度値を確認します。また、できるだけフレームレートをあげるようにしています。
露出の調整が出来たら、あとは表示される画像を見ながら、シーイングが良くなるタイミングを見計らって、1分程度のムービーを10本くらい撮像します。
望遠鏡に蓋をしてダークのムービーを撮っておきます。

前処理
AVIcutというフリーウェアで、すべてをBMPに変換します。ムービーには、同じ画像が数回使用されているようなので、同じ画像が変換されないように数コマ間隔で変換します。
ダークのムービーも10コマ程度をBMPに変換して平均のダーク画像を作ります。

画像の選択
ステライメージなどに、変換した画像を読み込み、良さそうなコマを選びます。
選んだ画像から平均のダーク画像を減算します。
私がC5で撮像する場合、8〜32枚の画像を選びます。

コンポジット
位置合わせは、差の絶対値の表示で模様が最も見えなくなる位置にします。位置が決まったら、その位置で加算処理を行います(平均加算ではNG)。
2のn乗枚の画像のときは、順に処理をしていけば良いのですが、それ意外の場合にはコンポジットする枚数が画像毎に異なるため、模様が最も見えなくなる位置がわかりづらくなります。そのときは、それぞれの画像のレベル調整をして同じような輝度になるように調整した上で、「レベル調整した値を使う」をチェックした状態で位置を合わせます。ただし、コンポジットを実行する時には、チェックボックス「レベル調整した値を使う」をOFFにして行ってください。
右の画像は、4枚のコンポジットをした木星です。
また、大気差で色が分散している場合は、ひどく面倒になりますが、各画像を3色に分解し、各色毎にコンポジットして、再合成したほうが良いでしょう。

復元処理
コンポジットの終了した画像は、ウィナーフィルタで復元処理をしたうえで、更にアンシャープマスクをかけます。
単純にカラー画像のままでこの処理を行なっても良いのですが、カラー画像から白黒化した画像を作成し、上記の処理を行った後でLRGB合成すると、よりコントラストのある惑星像を得ることが出来ます。時間も短くて済みます。

画像のモードによっては、アスペクト比が1:1でない場合があるので、その変換を行って完成です。

画像は、復元処理をする前と後の木星と土星です。

拡大撮影に使ったアダプタ



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