望遠鏡の駆動周波数とオートガイドの関係


 少し昔の望遠鏡は、50Hz程度の周波数で望遠鏡を駆動していましたが、最近は、自動導入や高速駆動のために駆動周波数が20〜30Hz程度に低下しています。
50Hzなら、1パルスは0.3秒角ですが、20Hzでは0.75秒角になってしまいます。機械精度を無視すれば、望遠鏡は、このステップ以下では位置決めできません。ですから、駆動周波数20Hzの望遠鏡では、オートガイドの精度は0.75秒角となります。
 CCDで撮像する場合、画素サイズが1.5秒角程度になるように望遠鏡の焦点距離を設定すると良いと言われていますから、駆動周波数20Hzの望遠鏡では画素サイズの半分ものガイドエラーが存在することになります。
ですから、星像直径は、2.25秒角程度になると考えて良いでしょう。
駆動系も含めて、星像直径を2秒角以下に設定するには30Hz以上の駆動周波数に設定する必要があります。
ただし、安価に市販されているDCモータを使用した駆動装置では、より高い周波数で駆動されなくてはいけません。これらの駆動装置では、サーボ系の精度が悪いので±数パルスの誤差があると考えてください。

では、ST-4等でオートガイドする場合について考えてみます。ST-4は、0.2画素単位でガイドエラーの修正を試みます。もし、主鏡と同じFOVpp(画素サイズあたりの見かけの角度)=1.5秒角であったとするとST-4のガイド精度は0.3秒角となります。十分な精度でガイドできそうですね。
しかし、ここでも駆動周波数が問題になります。いくらST-4が高精度にガイドエラーを補正しようとしても、1ステップ以下の補正は行えないのです。ですから、20Hzで駆動されるFOVpp=1.5秒角のシステムでは、恒星像の直径は2.25秒角にしかならないのです。
20Hzで駆動されるシステムでは、駆動ステップ0.75秒角に対してST-4のガイド精度0.3秒角となり、余裕率2倍が見込めますから、まぁ良い線です。
しかし、駆動周波数50Hzのシステムでは、システムの性能を出すためには、より長い焦点距離でガイドする必要があります。実際には、シーイングとの関連を加味して、ST-4などのFOVppを決定する必要があるでしょう。

いま一度、皆さんの撮像システムを見なおしてみてください。

(補足)
SBIGのAO-7は、シーイングキャンセラーと呼ばれていますが、通常の使用で補正されるのは駆動装置のステップ誤差の方ではないでしょうか?



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