CVシリーズのCCD換装


CVシリーズのCCD換装方法について公開します。乾燥方法やチップの清掃方法については他のTipsを参考にしてください。

ただし、ここで述べる方法により生じたいかなる結果に対して、一切の責任を持たないことをあらかじめお断りしておきます。
デュワー内部は、右のような状態になっています。
CCDの表面には黒色のスポンジが両面テープで貼り付けられています。
スポンジを慎重にはがします。
CCDが姿をあらわします。

KAF400は、2mmのビスで冷却板に留められています。
これをはずしてください。
KAF400の場合は、精密ドライバなどで、右の様にして前後を均等に少しづつはずしていきます。
この段階で無理をするとチップを割ってしまう事があるので注意してください。ちょっと辛いなぁと感じたら、次の様にしてみてください。
KAF1600等は、チップを割らないように、CCDのピンのそばと、ICソケットの部分に精密ドライバを当てて、全体を少しづつはずしていきます。
CCDが外れると、右のような状態になります。

冷却板についている白いものは、熱伝導グリスです。
これは、古くなっているのでふき取って下さい。

基板を止めている2つのビスをはずします。
写真上部にあるコネクタに注意して、冷却板をかわしながら、基板をフリーな状態にします。

右の写真では、左側に基板(裏)が見えています。
この状態で、基板にCCDを取りつけてください。
CCDには、取りつける方向があります。
取りつけ時には、CCDの1ピン方向を絶対に間違えないで下さい。

取りつけたら、冷却板とCCDの背面に、極薄く熱伝導グリスを塗っておきます。
基板を元通りに取りつけ、ビス止めします。
さらに、KAF1600も1.7mmのビスで固定します。
側面からみてCCDと冷却板が密着している事を確認します。
このとき無理にビスを締め付けるとCCDを割ってしまいますので、くれぐれも注意してください。

CCD表面に指紋やゴミがついていないか確認した上で、黒色スポンジを元通りに貼り付けます。


真鍮製の冷却板がペルチエ素子から取れてしまった場合
この二つの部品は強力な熱伝導性両面テープで取りつけられています。真鍮ブロックを乗せて圧力をかけて十分な接着力が得られるならそのまま使用してください。
ダメな場合は、古いものをはがしてから、CPU冷却用に市販されているものを利用して取りつけてください。
本当は、熱伝導グリスの方が良いのですが、設計値に伝導テープの厚みが考慮されているようで、グリスでは十分な密着状態となりません。
換装したカメラで動作確認を行う場合は、デュワーを組みたてた状態にするか、暗室内で行ってください。
明るい部屋では、「真っ黒な画像」しか得られません。白い画像にはなりませんのでくれぐれもカメラが壊れたと勘違いしないで下さい。




以下の項目に付いては、組立て直す時の参考にしてください。

CVシリーズでは、右の画像にあるようにCCDを取りつける基板の下に乾燥剤が取り付けられています。
実は、この場所に乾燥剤を取り付けると結露を起こしやすくなります。
デュワーの底面に接触しているため、ペルチエ素子でCCDを冷却すると逆に乾燥剤は暖められてしまいます。
でも、乾燥剤って、再利用するときは熱しますよね?
そうなんです。乾燥剤は暖められると水分を放出してしまうのです。

ですから、デュワーの密閉時に十分な乾燥状態が得られているなら、乾燥剤なんて無くても大丈夫です。

さらに、チップの前面に黒スポンジが取りつけられていますが、結露防止という意味では、取り外したほうが良いでしょう。ただし、輝星が近くにある場合、ゴーストが出る可能性がありますが....

また、密閉状態を保つために、Oリングには真空グリスを少量付けておくと良いでしょう。
画像は、デュワーの外側のコネクタです。
このコネクタはエポキシ系の接着剤でモールドされていますが、出来ればシリコン系のモールド剤で上からモールドし直したほうが良いでしょう。
エポキシ樹脂のままでは、経年変化により密閉状態が損なわれる可能性があります。





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