僕は、気が付くと、姫様になっていた。

これはいったいどういうことだ。
いままで、コンビニに行った帰り道を歩いていたはずなのに。
おまけに、気が付くとベッドに寝ていたし。

僕が目を少し開くと、周りからおーという声が聞こえてきた。
目を開け、周りを見渡すと、そこには、中世の服装を身にまとった人々が大勢立っていた。
その中の一人が僕に近づいてきて言った。
「姫様、お加減はいかがでしょうか?じいは、姫様が3日も目を覚まさないので夜も寝られませんでしたぞ。」
勝手に言葉がでていった。
「そなたの気に病むことではない。わらわは、神の声を聞いていたのだぞよ。」
「おぉ、さすが姫様ですぞ。じいは非常に感心しましたぞ。
皆のもの、姫様に神が降りられたようだぞよ。心して聞くように。」
「この世は、幾千もある世界の内のひとつ。」
神はそのように申したもうた。
「神々の住む世に大いなる災いがあり、この世にもその影が落ちるであろう。
神は、それを憂い、ひとつの助けをもたらした。
それは、わらわのなかに今いる。
月と日が廻るときと共にその助けは、降りたまう。」
そういうと、僕はまた気を失った。
僕は、ひとつの声をそのとき確かに聞いた。
「がんばってね。あとは頼みます。わたしは、別の世に降り立ちますので。」
「おい、待ってくれ。僕はなにがどうなっているか見当もつかないんだ。」
「じゃあね。]


パラレル

第二章 僕は誰だ

作:starbow


僕は、夢を見ていた。
それは甘い夢。そして、いつまででも見ていたい夢。
僕は、女の子を追いかけていた。
女の子は振り返って言った。
「わたしに追いついてね。追いつかないと、ずっとそのままになりますからね。」
「言っていることが理解できないぞ。いったい全体何のことなんだ。」
「そのうち判るわよ。きっと。」
「おーい。おーい。」
「きっとね。」

夢から覚めて見ると、そこは見慣れた場所ではなく、やっぱり中世のような世界だった。
「一体全体どうなっているんだ?」
すると、傍に控えていた侍女が声に気が付いてこちらにやってきた。
「姫様、ご機嫌はいかがでしょうか?」
「今日は気分がいいようです。」
「それはよかったです。いままで寝付いていましたので、まず着替えをしないといけませんね。」
「そうですね。お願いします。」
そういうと、侍女は着替えを持ちに隣の部屋に下がっていった。
ここは知らない世界なのになぜ言葉がわかるのだろうか?
また、ここはどこのいつなのだろうか。

ひとり考え込んでいると、侍女が着替えを持って戻ってきた。
「姫様、お着替えです。」
「わかったわ。」
そういうと、僕はベッドから起き上がり、周りを見渡した。
そばでは侍女が不思議そうな顔をして待っていた。
「ごめんなさいね。待たせてしまったわね。着替えるわ。」
着ていたものを脱ぐとかわいく刺繍が入った下着が目に入った。
すーと、下を見ると、Bカップはある胸が見えた。
僕が気まずくしていると、侍女がせかした。
「お風邪を引いてしまいますので、お早く御召換えを。」
「わかったわ。待たせましたね。」
そういって、侍女に手を持ってもらい、姿見の前に移動した。
「姫様、今日のお召し物はここに。」
一着つづ侍女の手で着替えが進んでいく。
そして、父である王がいる控えの間に進んだ。
王は僕の姿を見ると、顔をほころばせていった。
「おう、元気になったか。かわいいエリカ。父は心配したぞ。」
「ご心配をおかけ申し訳ありません。もう大丈夫です。」
「それで今回の客人はどちらから来られたのかな。」
え、僕のことがわかっているのか。
「この世界の隣にある地球という次元から来られたということです。」
「それは幻の聖地ではないか。」
「はい。そして滅びの影を追ってきているそうです。」
「滅びの影とは?」
「どこか別の次元にある地球で太古の魔法が間違って発動してしまったようです。それをこの方が探し出して封印するそうです。」
「それは大層なことではないか。それで、この世界ではなにをなさるのか。」
「この世界、ジャポネで魔法を封印するための鍵の一部を探されるようです。」
「鍵とは?」
「太古の昔にあまたのパラレル地球ができた根本原因の一つ、量子振動弾のコントローラです。」
「そんなものがジャポネに存在するのか?」
「わたしは時の巫女から伝えられたことをいっているだけですので、内容は判りません。しかし、この方ならご存知のことらしいです。
なんでもPCとかいうものだそうですから。」
そういうと、エリカ姫は、杖を一振りし、呪文を唱えた。
「われに宿りしものの姿を表した賜え。」
僕は、エリカ姫から離れて、姿を現した。
その姿は、16歳ぐらいの少女の形をとり、僕はそこに吸い込まれていった。
「あれれ。」
少女はあどけなく言った。
「僕はこんな姿じゃないのですが。」
「残念なのだけれども、ジャポネでのあなたの同一個体はこの子なの。辛抱してね。」
エリカ姫は僕の手を引いて控えの間から出て行った。

次の日、エリカ姫と僕は、姫の執務室にいた。
「エリカ、探さないといけないものがどこにあるかわかる?」
「まっていてね。時の巫女に言われたことを元に占ってみますから。」
「はい。」
姫は一心に祈っている。
どれくらい時間が経過しただろうか。
エリカ姫の眼が開いた。

「見えたのは王宮のなか、北西の方角、学校」
そういうと地図を開き条件にあう場所を探した。
「そうね。ここですわ。王立魔女学校です。」
「え。」
「年齢もぴったりね。」
「ええ。」
「あなたをこの学校に入学させます。いいですか。」
「え。あ。」
「期限は一週間です。」
そういうとエリカ姫は侍女を呼び手短にことを済ませてしまった。
僕は明日からジャポネの女子高生?
その日はあっという間に過ぎていった。


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