可能性の影達

1999/12/2


 あるコミックの主人公が空手の試合に臨むとき、 自分の影と闘っている気がするというシーンがあった。
 相手は自分が選ばなかった道を選び鍛錬して 自分と異なる技を持っている、 もしかしたら自分がなれたかもしれないもう一人の自分だというのだ。
 そして自分が負けたときは自分が影のような気がすると……


 最近、HDDとMOの整理のために昔集めたいろんなCGを見ている。
 CGをはじめる前、自分の方向性を決める前、 「こんな絵を描けるようになりたい」と思った絵が沢山ある。

 それらの絵を見ていて、 それらの描きたかった部分のいくつかは手に入れ、 だけどそのどれとも違う自分の絵を見付けつつあると思えることもある。

 しかし、描きたかったけど自分の絵を作るときに選ばなかった、 選べなかったものも沢山ある。
 そう想いながら今日Webをさまよってみて、 そういう風を持った素晴らしい絵に出会ってしまったとき、 もしかしたらこちらが自分の描きたいものだったんじゃなかったのかと 思ってしまう自分に気づく。


 幸い絵は空手のように勝負するものではない。 絵は誰もが影ではなく本物になれる世界だ。
 しかし、やはり自分が影のような気がする瞬間を味わう。
 いつか影でなくなるために、常に自分で道を選び、極めて行きたいものだ。