保険という商品

1999/7/10


 最近保険の転換がどーたらこーたら話題になっている。 しかし自分自身で確認したわけでは無いのでなんとも言えない、 というのが今迄のところの感覚であった。
 そんなおり ちょうど保険の勧誘があったので、 その設計書を机の中から発掘した(^^;)5年ほど前の設計書と比較、分析してみよう。

 まず大前提として勧誘してきた保険外交員は前もってアンケートで わたしがすでに生命保険に入っていると知っているはず。
 したがって、設計書は私が買い替え又は買い足しの検討をするに 値するものでなくてはならない。


商品比較

 今回の設計書はコミコミの定期付き終身であった。
 終身部分については必ず受け取るものなので、 仮に払い込み終了時に受け取りの積み立て預金として利率を算出して比較する。
 5年前: 年利 4.8%
 今回 : 年利 1.8%

 定期部分については単純な単価計算で良いだろう。

 5年前: 保障1万円あたり月掛け金 2.74円
 今回 : 保障1万円あたり月掛け金 2.56円

 その他の特約はかなり変わってきてるし、 いずれにしても損保専門のものや組合のもののほうが割安なのでパス。

 保険料

 現時点で微妙に安くなる。
 ただし、53歳からは今回のもののほうが50%高くなる。
 また、払い込み期間は従来が58歳まで、今回は65歳まで。

 これらの比較を基に少し分析をしてみよう。


終身保険

 利率計算の前提条件の妥当性を再検討する必要が無いくらいに利率に差がある。 さらに払い込み開始が遅くなってさらに損。買い換えはかなり損ということ。

 そもそも終身保険は一生ものの買い物。 よほど世の中の状況が変わらなければ見直す必要が無いような保障内容で 契約を結ぶもの。
 終身や年金で、結婚や出産に合わせて「ライフステージに合わせた買い替え」 などと言ったセールスもあるらしいが、 そもそもそんなことで買い換えなくてはいけなくなるようなら 「終身」である必要性も意味も無い。
 だから最初にちゃんと考えて買っていれば買い足しはまず無いし、 買い換える場合も買い替えにかかるコストを上回るメリットのある 新商品が出た場合のみである。 が、利率の比較から今回の場合それにはあたらない。
 終身に関しては客(私)には損になるばかりの勧誘であることがわかる。

 セールストークは「銀行に預けるより有利ですよ。」だそうだが、 以上の事情から比較対照は現在入っている保険でなくてはいけないはずだ。
 また、「従来のは運用利益が出ないので配当は無いでしょうけど、 今回のものなら配当付きますよ。」と言われたこともある。 しかし利率の比較から、 配当を加えても配当無しの前回の保険を上回ることはまず無いと思われる。
 いずれにしても真実ではあるが、実は客の得になるかどうかには関連が薄い。 それをいかにも客の得となるような印象で行なうセールストークは 広義で騙している言って良いと思う。

 そもそも一生ものであるはずの終身保険の買い換えを 度々薦められるのは何故なのか?
 保険外交員をしている知り合いの話では、 定期付き終身を売らないと評価・ノルマのポイントを十分に稼げないそうだ。
 一生ものの商品なので、よほどのことでなければ買う人はまだ持ってない人だけのはず。
 それ以上に売らなければポイントを稼げないようなシステムがあれば、 必要無くても買い換えさせようとする外交員が出るのも不思議はない。


定期保険

 これは安くなってますね。歳とってるのに掛け金が安くなる。
 何故定期だけで売りにこないんだ?
 昔の定期付き終身の定期部分だけ次回更新時点で解約して、 定期だけ買い換え、ってのをしたいぞ。


保険料

 セールストークでは「保険料が少し安くなる」んだそうだ。
 確かに現時点では安くなる。 でも、歳がたつにつれてどんどん高くなるし、 定年過ぎてまだ年金の支給も始まらない歳になっても 高額の保険料が必要じゃないか。
 実は「保険料が(今は)安くなる」だけである。実は総額はかなり高くなる。 まぁ嘘じゃないが、何が安くなるのか言わないのは充分騙してると思うぞ。

 保険というのは高い買い物だ。総払い込み金額は数百万になるだろう。 数百万と言えば高めの車と同じくらいだ。
 しかし自動車は店頭受け渡し価格が書いてあり、 その後ろに小さく分割払いの場合の月々支払額が書いてある。 分割払いの頭金の額のみ言って 価格を明らかにしないまま売りつける車屋なんてあったら、 かなり悪徳業者だと思う。
#土地や家、マンションだってそうだ。
 しかしどういうわけか保険だけは、現時点での月々保険料が 最初に大きく書いてある。 しかも代金の総額はどこにも書いていない。

 まぁ、それ以前に年取ってからそんなに払えない。
 セールス:「そのころには死亡保障はそれほど必要ないでしょうから、 定期のみ減額していただければ、払える額に……」
 なんだ、定期だけ減額できるんじゃないか。 なら「定期保険」の項目で書いたように、それだけ買い換えてやってもいいぞ。
 セールス:「では終身部分を最低限にした提案書を持ってきます。」

 ……こりゃ駄目だ。(-_-;)


 しかし実際に自分がそういった勧誘をうけて、 その内容を分析してみて客には損になる商品を実際に薦められていると知ると そういう客に不利な勧誘が広く行われている可能性は高い気がしてくる。
 それとも……
 新聞記事では保険会社は「一部の外交員が……」とか言ってるようだが、 そうだとすると私はたまたま世間で話題になってる極一部の例に大当たりということで 運が良いということだろうか?
 どちらが真実なのだろう?

 いずれにせよ、保険外交員のモラルとかの問題ではなく、

に問題があると私には思える。

 商品を必要としていない客にまで売らないと評価されない、 すなわち、客の利益と外交員の利益があからさまに相反する制度。 これはどことなく、客に不必要なリスクを課してでも 手数料稼ぎにとにかく枚数を稼ぎ買い替えをさせるノルマを課せられた、 悪徳先物取り引き会社の営業を連想する。

 代金が不鮮明なことは、 分割払いの仕方のトリックで見かけの代金を安く見せることを可能とする。

 そもそもシステム的に問題を起こしやすい要素を強く持っていたものが、 今回の不景気を契機にしてその実体が見えてきたにすぎないのではなかろうか。