カラーリバーサルフィルムの仕組み


さて、カラーリバーサルフィルムは、基本的にカラーネガフィルムと同じ構造ですが、
現像処理の工程で、ネガ像をポジ像に反転する点が異なります。


露光から最初の現像までは、カラーネガフィルム、モノクロフィルムと同じです。
ところで、光が当たった部分のハロゲン化銀を銀に還元した(第一現像)状態では、
光が当たらなかった未露光部には、また光に感じるハロゲン化銀が残っています。

もしここで、もう一度全てを光に当てると(かぶらせると)、
現像で銀に還元されてしまったネガ画像の部分は光を感じないわけですから、
逆に現像されなかった部分(ハロゲン化銀が残っている部分)のみに潜像ができて、
その潜像をもう一度現像すれば、ネガが反転してポジ画像となるわけです。

この原理を利用して、カラーリバーサルフィルムの処理工程では、
最初の現像(第一現像)が終わった後、
光を当てるのと同じ効果を化学的に行う「反転処理」があります。

重要なのは、この「第一現像」はモノクロ銀画像を作るだけで、
カラー発色は行われません。
リバーサルフィルムで良く行われる「増感現像」は、
この「第一現像」の現像時間を延ばしてやることで行われます。

これに続く「反転処理」後、
改めてもう一度、現像液で処理すると(第二現像、発色現像)
はじめに光が当たらなかった部分が発色して、
(現像主薬の酸化体とカプラーが結合して色素を形成して)
ポジのカラー画像が形成されるわけです。

でもカラーネガと同じでこのままでは、真っ黒な銀が残っているので、
色素画像以外の全ての銀をハロゲン化銀に戻して(漂白)、
そのハロゲン化銀を溶かして除去します(定着)。

かくして光が当たらなかった部分に色素が発色した、
カラーポジ画像が出来上がります。

 →これがカラーリバーサルフィルムの原理です。

フィルムの基本的な構造はカラーネガフィルムと同じですが、
現像処理は、2度の現像と反転処理が入って複雑です。


露光 → 第一現像(露光部のハロゲン化銀の銀への還元)→反転(未露光部に潜像形成)
→第二現像(未露光部のハロゲン化銀の銀への還元)→発色(カプラーの色素形成)
→漂白(銀画像の消失)→定着(ハロゲン化銀の除去)→カラーポジ画像