バスにて


 高校の卒業式を終えて、数日後の事であった。3月の下旬に行われる、高校の吹奏楽部の記念すべき第1回定期演奏会の練習のため、京王線の永山駅からバスに乗った。
 バスの中は混んではいなかったが、椅子は人で埋っており、自分は座ることはできなかった。自分の前には小学校3年か4年の女の子が座っていた。
 すると突然その女の子が席を立ち、俺に向かって「どうぞ」と言ったのである!!!
 確かにその時はすごく疲れていて、心の中では『座りたい・・・』と思っていたのは事実である。が、18歳という若さで席を譲ってもらうとは、夢にも思わなかったし、勿論自分は「いや、別にいいよ」と言ったのであるが、女の子は再度「どうぞ」と言って席を離れてしまった。
 今でも、なぜその子が俺に席を譲ってくれたのは分からない。もしたしたら、自分の体から『座りたい』というオーラが出ていたのかもしれないし、目に見えない圧力を感じたのかも知れない。これからはそういう事の無いように気をつけなければいけないな、と思った一瞬であった。
 ちなみに、折角席を譲ってくれた女の子の気持ちを考え、自分はちゃっかり席に座らせて頂いた。(^^;;;



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