Terrible Booing Soccer

アルビレックス新潟に軸足を置いてサッカーを論じる、時にブーイングを放つサイト。



●アルビレックス・ゲームレポート2008
第5節 vs柏レイソル(AWAY) 2008/4/6


(文:オヤジ 2008/4/10)


 第5節にして初めての勝ち点で、やっと開幕を迎えた感のあるアルビ。
 引き分けたものの得点は無く、課題は多い。この貴重な勝ち点1は一筋の希望の光となるだろうか。


ようやく重い腰を上げた鈴木淳

 ついに修正を施した鈴木淳。寺川をボランチに据え、中盤の底でリスク管理とパスの安定供給を図った事は大変評価できる。やはり私が感じたとおり、寺川はボランチのポジションであれば、まだまだ良い働きが出来る選手だ。本間の代役は寺川しかいないだろう。

 チームにフィットしないアレッサンドロを先発起用した点は全くいただけないが、自らの誤りを認めるかのように前半25分過ぎから貴章を右サイドにポジションチェンジさせ、茂原を中心とする柏・左サイドの攻撃を抑え、守備を修正させたことは機転が利いたと言える。
 そして前半を無失点で凌ぎきり、後半に入りアレッサンドロに見切りをつけた事はようやくではあるが、賢明な判断である。

 鈴木監督は次節、アレッサンドロを先発から外さなければならない。今の彼ならばその英断を行えると信じたい。アレッサンドロは現時点ではエジミウソンのような力量のある選手ではどうやら無さそうである。
 代役はダヴィか河原かで迷うが、柏戦の出来を見る限りでは河原をより長い時間で見てみたい。

 また守備全体の修正を施すことが出来たことも大変評価できる。鹿島戦が最も顕著であったが、今シーズンは前線から全くプレスに行けず、ズルズルとディフェンスラインが下がっていた。しかし、柏戦の特にアレッサンドロが下がった後半はチーム全体で激しいプレスに行くことができ、ボールを高い位置でよく奪えていた。
 ようやく本来のディフェンスが戻ってきたといったところだ。これを継続して遂行できるかどうかが残留の鍵のひとつとなる。

 さて次節の布陣はどのようにすればよいだろうか。
 FWは貴章と河原。MFは左に亜土夢、ボランチには寺川と成長著しい木暮に鎮座してもらい、残り一枠(右)にはダヴィか松下か。この一週間でどちらがよりフィットするかを鈴木監督は見極めて欲しい。ディフェンスラインは柏戦のままで問題ないだろう。

 この引き分けで辛くも首の皮が繋がったように見える鈴木監督だが、まだまだ降格圏を脱したわけではない。更なるディフェンスの向上と、如何にして得点力を構築するかという根本的な仕事は依然として残り続けている。
 これらのミッションが完了しない限り、鈴木監督の更迭は現実味を帯びるはずだ。2006年にはエジミウソンとファビーニョの怪我による離脱を乗り切った知力に期待したい。
 ただしフロントは後任探しを怠ってはいけない。この状況において、監督を信頼することとリスク管理をすることは別物であるはずだ。


貴章のサポートをどのようにすべきか

 チーム全体での守備が復調しかけた事は既に述べたが、攻撃力を再構築するには依然として至っていない。

 現在のアルビの攻撃で最も可能性が感じられる選手は矢野貴章であるが、凄まじいほどの密着マークを受けている。その密着マークと拙い配球の結果、貴章は後方からロングボールをポストすることがプレイパターンの多くを占めるようになってしまった。これでは貴章がゴールを奪うことは難しい。
 
 貴章を活かすには前線で動き回ることが出来る選手の起用が必要であり、先にも述べたが、河原をFWの相棒に組ませ、亜土夢をMFに据えたい。
 河原は小柄ながらポストワークにも精を出せる選手であり(U-19ワールドカップでも積極的にボールを受ける役割を行っていた)、ボールを受けた後も前を向くことが速く、しかも上手い。現メンバーであれば貴章の相棒は河原がベストだろう。
 また亜土夢起用により、積極的に前に飛び出させ、相手SB、ボランチを引き付ける事により、貴章のポストワークを楽にさせたい。

 後方からの配球にも工夫が欲しい。貴章には巻誠一郎のような単純なポストプレイをさせるよりも、体がゴールに対して斜めの状態で、パスもドリブルも可能な状態で受けさせたい。
 そのためには後方の選手がプレスをかわしながら如何に落ち着いた状態でボールを持つことが出来るかが重要になる。矢野貴章に二桁ゴールを獲らせる事が今シーズンの残留に直結する。


アレッサンドロの「損切り」について

 株の世界で「損切り」という言葉がある。買ってはみたものの、値が下がり続ける株はある程度(10%位でしょうか!)で見切りをつけて手放してしまうことを指す。
 アルビレックスに置き換えてみると、このままシーズン終了までアレッサンドロを持ち続け、外国人枠を潰し、得点を量産できない事は大変な損失である。ここらで損切りをしてもいいだろう。

 目標は5月の中断期間のあと、アレッサンドロとの契約を解除し、レンタル移籍ならば違約金を払い返却、完全移籍ならば、ブラジルのクラブに少しでも高額で買い取ってもらうか、トレード(!)のような手段で新たな選手を手に入れたい。

 先発起用など最早もっての外である。如何に名スカウトとはいえど、たまには目が狂うこともある。
 この損失にめげずに新たな選手を発掘することが大切だ。外国人がひとり外れたくらいでJ2に行くのは悲しいではないか。我々がまだ死んでないことを証明して欲しい。


その他の気になること

・石崎監督について
 この試合を引き分けることが出来た理由はアルビレックスが守備に奮闘したことに拠るが、柏・石崎監督がアルビの状態を読み違えたことも大きい。

 石崎監督は組織性のある守備を重視して、ポポ、アレックス、菅沼などを控えに置いたが、これは間違っている。
 アルビは前半に(しかも早い段階で)失点することが多く、失点すればチームの雰囲気が一気に下降し、修正ができないほどになる。今のアルビと対戦するチームは前半からフルパワーで叩いて逃げ切ることが上策である。

 石崎監督は前半からポポとアレックスを起用すべきだった。石崎監督は的確な分析がウリの監督だと思っていたのだが、失望した。


おわりに

 柏戦の帰りの常磐快速線のなかで、柏サポーターのちょいワル風なオヤジに「今日はお疲れ様」と握手を求められた。長年Jリーグで戦い、様々な悲喜こもごも経験している(であろう)このオヤジは相手サポーターに対する敬意を持っているばかりではなく、惜しげもなく振りまくではないか!!!!

 私も彼のような余裕のあるサポーターになりたいと思うものだが、様々な状況を鑑みるとしばらくはこのブーイングを止めることはないだろう。



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