●アルビレックス・ゲームレポート2008
第3節 vs浦和レッズ(AWAY) 2008/3/30
(文:オヤジ 2008/4/10)
3月30日の新聞のテレビ欄、やべっちFCの枠には「浦和初勝利なるか」と書いてあった。結果としてくだらないサッカー番組の思惑通りに勝利を献上したアルビには憤懣やる方なし。手負いの浦和にただ自信をつけさせただけのゲームとなってしまった。
どんなときでも、例え負けるとわかっている時でも(このゲームが「負ける」ゲームだと試合前に私自身が感じたわけではないが)応援し続けることがサポーター道とはいえ、このゲームを見た後は呆然としてしまった。試練はまだ続くようである。
アルビの攻撃が活性化しない理由
浦和戦だけでなく、今シーズンのアルビは実に単調な攻撃を繰り返している。
中盤でボールを持つものの、ボールを持っている選手は迷っているように見え、相手の寄せに我慢できなくなり、なんとなくパスを出す形になり、あっさりインターセプトされる。また何とかサイドバックに出せても有効なクロスが上がらないことが多い。事実、多くの雑誌・メディアには「クロスの精度が低い」と言われている。このような攻撃を5試合続けている。もちろん、この日もノーゴールだった。
まず、ボールを持つ選手が迷う理由は、受け手となる(つまり、ボールを持っていない選手)の動き出しがほとんど無いことが理由として挙げられる。
ダヴィは日本の速いサッカーに慣れていないのか、有効な動きをすることがほとんど無く、プレスで簡単にボールを失ってしまう。
アレッサンドロはコンディションも悪く、また使われ方が昨シーズンのエジミウソンと同じような配球しかされず、しかもその配球がアレッサンドロに全くフィットしないため、どうすることも出来ない。
寺川は動かなければいけないことは認識するものの、私が再三指摘している通り、かつてのスピードとキレを失い、怖さが全く無い。
貴章は唯一の頼みの綱で、昨シーズンよりも成長が感じられるが、チームの状態が悪いため、苦しまぎれのロングボールが多く配球されている点が辛い。一昨年、昨年に比べマークが格段に厳しくなり、サイドに流れて起点を作ろうとするが、裏目に出てしまうことが多い。貴章に関しては周りの選手次第では可能性を感じる。
クロスの精度が悪いという現象はクロスが選手に合わないという意味で使われているが、ペナ内で人数もかけられず、動きも悪い前線にクロスが合うだろうか。
私には出し手側よりも受け手側の問題であるように見える。躍動感たっぷりに前線が動き回らない限り、どのような形であっても得点を重ねる事は難しいだろう。
私が考えられる対策はひとつしかない。アレッサンドロとダヴィをしばらく先発から外し、代わりに亜土夢と河原に目一杯動いてもらうことだ。
浦和戦でも先発のブラジル人より途中投入された彼らのほうが可能性を感じた。
アレッサンドロとダヴィはスペースの出来る後半20分以降に途中投入でチャンスを掴んでもらう。
ある程度スペースが出来る状態であれば、彼らにも働き場所があるだろう。鹿島のダニーロもスタメンでの起用ではフィットしないが、交代カードとしては十分機能する。それはプレスが甘くなり、スペースができる後半であればダニーロのテクニックは有効であるからだ。
ブラジル人の選手で来日して間もない状態でJリーグの勤勉なプレスに対応することは難しい。アレッサンドロとダヴィも交代カードとしてJリーグに慣らすことで対応させたい。
また寺川はボランチとして亜土夢と河原の欲しいボールを供給する側に回って欲しい。今の寺川ならば受け手の欲しいボール、局面を打開するボールが出せるだろう。千葉はアンカーのポジションで今のところ固定させたい。
残りの一枠には木暮か松下か。動きがチームにフィットするほうを随時起用したい。
アルビが大量失点を繰り返すのは「良い攻撃」が出来ないことに理由がある。攻守が連綿と入れ替わるサッカーという競技において、良い攻撃が数多く出来ない事は相手に数多く攻め込まれることを意味する。そのような状態では守備陣は冷静さを削ぎ落とされ、大量失点に繋がる。まずは攻撃からチームを変えていかねばならない。ノーゴールならばどのような試合も勝つことは出来ないのだから。
その他の気になること
・鈴木監督について
彼の思考は膠着しきっている。今の彼ではチームを良い方向に導く事は難しいだろう。
フロントは後任を早急に探したほうが良い。5月の中断期間前に新監督には何試合か経験を積ませたほうが、同じ負けるにしても後に繋がると思われる。
後任監督には守備の作り方が巧く、選手交代なども巧い布啓一郎(元市立船橋監督、元U-16代表監督)を起用したい。博打だが面白い人事だと思う。
それ以外の現在空いている国内の人材は実に乏しい。有力なS級保持者はかなり囲い込まれている。オリンピック終了後まで粘れば反町監督が降臨…なんて話はそれこそ夢想だろう。外国人監督は外れる危険性が高い。
・闘莉王のボランチ起用について
この試合でボランチを務めた闘莉王は得点を決め、今シーズンの浦和の初勝利をもたらしたことにより、各メディアから絶賛されているが、これ以上のボランチ起用はやめておいたほうが良い。
ポジショニングが悪く、前に行きたい気持ちが逸り、ゲームメイクでの貢献度は少なかった。ボランチは阿部を起用し、闘莉王はCBとしたほうが身のためだろう。
おわりに
浦和戦で負傷した本間の怪我はおそらく重いものであろう。5月の中断期間までの出場は難しく、泣きっ面に蜂とばかりにアクシデントが襲い続けるアルビ。
このような時こそ、戦う姿勢を前面に出したチームが見たくなるが、現在のアルビレックスはその戦う姿勢を見せることができない程、弱っているように見える。万策尽きる前にできる限りの手を打って欲しい。まずは監督人事だろう。鈴木監督はもはや限界だ。
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