●アルビレックス・ゲームレポート2008
第2節 vsFC東京(HOME) 2008/3/15
(文:オヤジ 2008/3/20)
まさか試合開始12分間で3失点するとは思わなかった(実質は6分間で3失点なのか?)。
私は怒りが沸々と込み上げてきた。アルビレックス史上最低の試合を見ている気分であったからだ。そして降格への足音が聞こえてくる…そんな予感が私の心の中に横溢している。
それは後半に2点を取り返しても消えることが無かった。前節の敗戦から何も修正の施されていないチームに焦りは募るばかりである。
縦か横か。それが問題だ。
現在のアルビを攻略することは簡単だ。中盤の4枚がボールを持った時点で、きちんとプレスに行けば、勝手にミスをしてくれる。これほど楽なチームは他にないだろう。
前節3月9日のゲームではアルビの中盤に激しいプレスを仕掛けた大宮は16日の京都戦ではさほど中盤にプレスを仕掛けていなかった。アルビの中盤は見抜かれた上に狙い撃ちにされたと考えられる。
気になることは本間と千葉の関係だ。
昨シーズン、シルビの代役として千葉が出場していた際、千葉はいわゆるアンカー(中盤の底。碇の意)の選手としてCBの2枚と中盤の他の3枚とを攻守につなぐ、または間を埋める関係であった。そして本間は千葉よりもひとつ前の位置で、司令塔の役割を担っていた。彼らの関係はしばしばメディアで「縦」と表現されるものであった。
今年の本間と千葉の関係は「横」だ。一見、本間と千葉は協力してゲームメイクを担っているように見え、パスの出所を豊富にするようにも感じられる。しかし現実は異なり、二人の関係と役割分担が実はあいまいになり、お互いのポジショニングが極めて悪くなっている。
ボランチを務める二人のポジショニングの悪さが、第一に本人のパスミスを大量に引き起こし、第二にバックラインの選手の負担(特に永田と千代反田)を増やす結果となっている。
この日の1失点目は内田が不用意なパスミスをしたあと、ガラ空きになったバイタルエリアを大量の選手に侵食され、マークの甘くなったエメルソンがきちんと決めた失点だったが、このときに千葉は何も出来ていない。
最初はなんとなくエメルソンに付いていたが、ボール保持選手に気が行き、あっさり動きを見逃している。バイタルエリアに陣取り、危ない場面を収めることも無ければ、DFラインに吸収されてでも水際で止めることも出来なかった。
この日の千葉は守備において「居て欲しいところ」にまったく存在しなかった。千葉は監督の指示で本間との「横」関係を構成していると思われるが、この2試合で弱点になっていることはもはや明白である。昨シーズンのような明確な役割分担に戻すことで、彼らのパフォーマンスは向上するだろう。ひいてはチーム全体のパフォーマンスを攻守において活性化することになる。
ここで千葉ではなく、他の選手の起用も考えられるが、どの選手を起用するにしても今のようなあいまいな「横」関係では全く意味を成さないだろうと私は考えている。
北野の判断ミスが試合の明暗を分けた
この日の北野は痛いミスを連発した。3失点目は言語道断。私が本当に気になるのは2失点目だ。
2失点目はFC東京側から見て左サイドのショートコーナーから、石川が入れ替わるように持った後、クロスを選択することなしに強烈なシュートを見舞い、北野がファンブルし、カボレが押し込んだもの。
ここで、北野は2つのミスを犯している。
ひとつはシュートの選択肢が頭に無かったかのように反応が遅かったという点である。
石川が持った後、エリア内のDFはクロスに対応するように動くが、GKはシュートとクロス両方の可能性が頭に無ければいけない。北野はクロスに的を絞っているようなポジションを取り、シュートへの反応が明らかに遅れている。
もうひとつはその場の攻撃を断ち切るためのパンチングに行かずに、キャッチを試みている点である。
石川は万全の体勢で強烈なシュートを放っているので、GKの選択肢は安全第一に、パンチで弾くべきなのではないだろうか。ショートコーナー崩れの状態でキャッチをミスすれば、押し込まれるに決まっている。
この日の北野はとにかく焦っているように見えた。安全第一に徹すればよい場面で、相手の攻撃を無理に断ち切ろうと気持ちがはやっていたのではないか。その結果が3失点目にも現れている。エリア内でキャッチし、相手の攻撃を断ち切りたい気持ちが先行し、目の前の今野が見えなくなっていたのだろう。
現在の北野の精神状態ではJ1レベルのキーパーとはいえない。野澤か黒河か、はたまた他クラブからレンタルか。早急な対策が必要である。
その他の気になること
・寺川について
この日の寺川は貴章の2点目をアシストするなど、サイドで出場した中では最高のパフォーマンスを見せたが、「怖さ」がないという点では変わらなかった。このポジションに適合しないという評価を変えるまでには至らなかった。
・ダヴィについて
日本のサッカーに慣れておらず、不必要にボールを持つ点も散見されたが、片鱗は感じた。祈るような気持ちで期待したい。
・アレッサンドロについて
エジミウソンとは明らかに違うタイプにもかかわらず、チームでどのように活かすかが全く語られていない。彼は良質なラストパスを供給できればゴールを量産できる選手のように見える。まずは中盤の構成力を確保することが先決か。
また、本人のコンディションも優れないように見える。こちらも祈るような気持ちで見守りたい。
・松尾について
集中力無く、酷いパフォーマンス。中野を起用してもいいのではないか。
・FC東京について
FC東京はこの日の後半10分から30分まで実に雑なサッカーをするようになってしまった。それまでいいところが全く無かったアルビが得点できたのはこの点に起因する。この程度ではFC東京の上位進出は難しいであろう。
おわりに
現状が余りに酷い中、無策に見える鈴木淳監督に苛立つ。第2節終了後に早計かもしれないが、今年は残留争いに巻き込まれることは、もはや動かしようも無い事実として捉えるべきである。
もし、鈴木監督が無策のまま3月を終えるようなことがあれば、監督解任と選手の緊急補強を講じる必要がある。
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