1 今日のはじめに・1日目

なんだか、本当に始まったことに、少しおどろく。
時間の流れは決して止まらないんだね。
…何あたりまえのこと言ってんだ。
皆がまどを見るのに飽きるころ、
俺は外を見て笑う。
皆が遊びつかれて黙るころ、
俺は一人ではしゃぎだす。
言ってみればただのあまのじゃくだってこと。
見わたす限り田んぼの世界が見えている。
いつのまにか俺は黙り続けている。
雲の動きより速い機械を、
いつしか人は造っていた。
田園風景と、これからみるであろう都会風景を、
自分で勝手に対比する。
化け物の姿はまだ想像もつかない。
耳を突くトンネルの暗さ、
山の中の日のまぶしさ、
ひまであることの楽しみを、
ゆっくりと、かみくだいて、飲みこむ。
静かに気合いをいれよう。
そのままで力をいれよう。
かかとをうかせては立てないのに、
宙にうきたい気分になる。
寡黙なふりは難かしいものだ。
でもそれが楽しくもある。
意味なんてもともとこの世にはないかもしれない、
この世には何も無いかもしんない、
なーーーーーんてバカなことも考えつつ、
自分流の快楽を求めつづける。
そろそろ考えが堂々めぐりになるころ、
そして何も考えたくなくなり、
心に衣(ぬの)をかぶせることになる、かも、そして、
心の皮を1枚ずつはいで、
いろいろな人間におれは変身する。