2008/05/06 up.
くちミュースペシャルトラック

「くちミューcolors 初音ミクedit」


●作品発表●


------俺がVOCALOID2を手にしたら、きっとこういうことをやるだろう。

Calories 〜KUTIMULOID edit〜
  カロリーズ〜くちミュロイド エディット〜

DL(2分15秒, 3.12MB, mp3)

(ダウンロードするには、↑のリンクを右クリックして
「対象をファイルに保存」や「リンクを名前をつけて保存」を選んでください)


また、(初音ミク作品はニコ動にアップするのが定番だそうなので)
なんとなく動画も作りました。よろしければこちらも。

【ニコニコ動画】くちミューcolors-初音ミクedit (←別ウィンドウが開きます)



●ごあいさつ●

2008年アタマ〜春にかけて、初音ミクを使った作品をこさえました。

beatmaniaIIDXよりcolorsのくちミューを初音ミクで。
原作は2003年にぜんぶ自分で歌ったものです。

いやぁ、完成して良かった…長かった…

4ヶ月間、ひとりでぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃと作って来ましたが、
自信を持って「エス佐藤の作品です」とお出しできるクオリティになったと思ってます。
いやぁ良かった。長かった。

以下、例によって作品に関するぐだぐだを述べます。
音の作品なんだから、本当は音だけで完結すればいいんですが、
4ヶ月間書いてなかったことを吐き出してしまいたいので…

またしても非常に長い、そしてウザいぐだぐだになっていますが、
お付き合い頂ければ幸いです。


●作品に関するぐだぐだ●

---- 動機について ----

世の流行り廃りにはついていけない俺ではありますけども。

2007年末〜2008年始の物理部呑み会で初音ミクが話題になって、
普段音楽作品を作らないけど流行には敏感なひとたち(つまりは谺とかまみずくん)が
体験版つきDTMマガジンを買った〜と言ってたので、
これは結構おっきな話題になってるんだなぁ、と想像をしたわけです。

じゃあ俺ならどんなものを作ろうかなーと思ったわけです。

呑み会の場では「俺の声で歌声生成ができるようにする」とか
「むしろ、声を入れれば誰でも歌声ライブラリに『なれる』ようなツールを作りたい」とか
言ってましたが、その後調べたところ
歌声合成の技術はYAMAHAさんが長年研究されていることで、
個人でその技術を真似る(またはライセンスを買ってツールを作る)のは
不可能ではないけどとても難しいことだな、と知ったわけです。

ならば素直に、初音ミクのパッケージソフトを買って
俺なら何を作るかなーと考えたわけです。

あと、Prof.Kが(確か古町の田じで)言ってたこともちょっと気になったのです。
「初音ミクによって、くちミューは取って代わられた」と。

そうなのかな?と思ったのです。

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きっと世の中には、
初音ミクだけを使っていろんな楽器を歌わせてるような作品があるんでしょうねぇ。
それは多分にくちミュー的で面白そうです。

世の中にどんな作品があるのか敢えて知らないようにしてるので
全くわからないのですが、俺的には次の2点が気になります。

・(原曲がある場合)曲に対するリスペクトがあるだろうか?
・ミクで作ること自体が目的になっていないだろうか?

くちミューをやってた時、いつも心がけていたのは
「原曲の格好良さを再現することを目指す」ことでした。

曲の格好いい部分、肝になる部分を的確に掴み、再現すること。
それがうまくいけば、くちだけを使った奇妙な音源なのにも関わらず
聴いて格好いいと感じられる作品になり、
それはすなわち曲自体が格好いいことの証明になります。

「俺が全部歌ってるだけなのに格好いいだなんて、なんて素晴らしい曲!」

そういう意味の、原曲へのリスペクトをしていたつもりです。

もちろん原曲をくちミュー化すること自体も楽しいのですが、
あくまで最終目的は原曲の格好良さを再現することであり、
「くちで全ての音を歌うこと」自体を目的にしていたわけではありません。

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と、後付け的な大義名分はいいとして。

もう少しぶっちゃけると、
「音ゲーの曲を全部くちで歌う」ってネタを俺が以前やってたわけだから、
「音ゲーの曲を全部初音ミクが歌う」ってネタも当然あるんだろうなぁと思ったんですが、
探したらいっこも見つからなかったわけで。

( 俺の探し方がわるいだけ?(^^; )

なんだかなぁ、と。
じゃあ俺がやろうか、と。

当時の台本や録音した素材まで全部持ってるのは少なくとも世界に俺しかいないから、
俺が作るのが明らかに手っ取り早いわけで。
むしろ俺が作るのは義務かも、と思ったわけで。

まぁ誰でもやれるベタいネタだとは思いながらも、
「音ゲーの曲を全部初音ミクが歌う」作品を作ることを決断したのでした。

うーん。ベタい。
発想の起点にクリエイティビティを感じない。残念なことです。
それも以前の作品の再構築ですから、なんだかお手軽感が満載でありました。

( 実際の作業は全然手軽でなかったんですけど…(--; )

どの曲を再構築するかは、
女声の歌が一番映えるのはどれだろう、と熟考した結果
3秒でcolorsに決まりました。

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どうせ再構築をやるなら、徹底的に"再"構築をしようと考えました。

今回の一番大きな決め事としたのは
以前作ったくちミューcolorsを『原曲』とする、
ということでした。

つまりIIDXのcolorsを初音ミクが全部歌う、んじゃなくて
『くちミューcolors』を初音ミクが全部歌う、ということです。

制作中に何か迷ったときは、
必ず「原曲はくちミューcolorsである」ことを意識して選択をしました。

で、以前作ったくちミューcolorsを『原曲』とするということは、
前述の考え方で言うと
「くちミューcolorsが格好いいことの証明をするのが目的」ということになり、
つまり今回は自己肯定しかしてない作品であることに今気付きました(爆)。


---- 制作中に思ったことをざっくばらんに ----

制作中には、他の方のVOCALOIDを使った作品を極力参考にしないようにしました。

ニコ動で聴いたのは1作品だけ(ロックマンだったかな)、
あと参考書としてDTMマガジン2008年1月号増刊のムック。体験版つきのやつ。
このぐらいで情報は十分だと感じました。

定番のやり方とか、こう来たらこうする、みたいなセオリーを
知ってしまうのイヤだったんで。

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そしてもう、ミクさんなんか流行っていないんでしょうかね?
世の流行り廃りについていけない俺は、その辺の流れが全然わからんです。

でも、原作が2003年(ゲームの原作はもっと前)の作品を再構築するわけだから
流行云々はどうでもいいんじゃないかと思ってます。

タイミングを逸していても大丈夫。
1月にネタを思い立って、もう5月なんだもんな。

この作品が最高だと思う俺は、やっぱり
一度好きになったものがいつまで経っても好きなままのダメ男だと思っています。
そう日記にも書きましたね。

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途中1ヶ月くらい(3月〜4月中旬)、完全に制作が止まってしまう期間がありました。

これは悔しかった。
がんばろうとする気がないわけではないのだが、どうにも勇気が出ない日々。

完成まで誰にもネタを言わないと決めていたので、苦しかった。
一人だけでモチベーションを維持することは本当に難しいです。

誰かにオファーされたり強要されたりして、
なおかつがんばるときは自分ひとりだけががんばればいい、
そういう「誰かに見られている孤独な戦い」をしているときが
一番居心地がいいんだなぁと改めて思います。

本当に一人だと、何かを産み出すことが非常に難しい。
つーかたぶん新しい何かは産まれてこない。そんな気がします。

そしてこういう、孤独との戦いの中でごちょごちょとネタをこねて、
研ぎ澄ましたものを作りだしていくやり方は
今後はもうやらないかもしれません。

人と触れ合わないとできないこと、作れないものがありそうです。

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だから、俺の最後の作品だと思って、今できる最高を目指そうと思いました。

2月終わり頃の段階で、楽しくて格好いい作品にできあがることは確信したので、
丁寧に丁寧に、絶対に最後まで仕上げる責任を感じました。
ここまでやって途中で放棄することは作品に対して無礼だと思いました。

なんとか、ゴールまで漕ぎ着けましたな。
やればできるもんだなぁ…


---- 技術的なことっつーかいろいろ ----

今回VOCALOID2をいじって、技術的(というかくちミュー的)に難しかったことや
思ったこと、感想を列挙していきます。


■リバースシンバルの音が出ない!■
くちなら誰でも簡単に「しーー」って言えるんすけど、
初音ミクでこれをやるのはどうやってもムリでした…

VOCALOID2というよりは、初音ミクが「日本語を前提」かつ「歌う」ことを念頭に作られていて
「子音を継続する」ことはできないようになってるのかなぁと。

作中では、しょうがないから「しーーー」ってそのまま言っちゃってますよ。


■シンバルの音が出ない!■
「しゃーん」っていう音が出なかったっす。
「ささやき声」を「持続」する感じにすれば出るような気もするのですが、
うーん……

結局、「ちゃーん」にリバーブをふんだんにかけた結果、
偶然ながらなんとかシンバルっぽい音にはなったかなぁと。


■パンチの効いた怒鳴り・がなりが出ない、キックやスネア連打がしょぼい!■
もともと仕様として「叫び声は出ない」ってことは決まっているので
しょーがないっちゃしょーがないのですが、
なかなかドスの効いた音が出ませんな。

低音にするとゆるくなるし…
高音にすると細くなるし…


■ハモリはさすがに綺麗。■
単に2パートのメロディを重ねただけで、それなりに聞き栄えがしちゃうんすね。

反面、ユニゾンで歌声を重ねてもほとんど同じ音が重なるだけで、
全然おもしろくならないっすね。
この「ほとんど同じ音」を同じに聴かせないテクニックは色々ありそう。
今後の課題でしょうか。今後なんかあるのかいな。


■ボーカルパートにふんだんにブレスを入れてみた■
これは趣味です(爆)。
実は奥華子さんの歌い方をCDで聴いて+実際に見て、
曲の局面におけるブレスの長さ・強さを研究してみたりしてました。

ただ奥さんの曲は音数が少ない(基本はピアノだけですし)ので
ブレスが映えるのかな、なんて思います。
なかなか、音がたくさんある曲にブレスを潜り込ませるのは難しいのかなぁと。
これもテクニックが色々ありそうです。


……で、
今挙げたような課題を解決したひと、または解説した資料ってあるんすかね。

きっと、「ミクに自然に歌わせる」ことを念頭に置いた
参考資料はたくさんあるんだろうなぁと思いますが、
そもそもくちミューは自然な歌ではないわけで…

こちらサイドにはもともとミクを自然に歌わせる発想がないので、
そうなると資料がなかなかないのではないかな、と思います。


---- 最後に思うこと ----

以前くちミュー作品を発表していた時に、密かに「女声でくちミュー作りたいなぁ」と思ってました。
つーか未だに思ってますけども。

今回は半分くらい、その希望が達成できたかな?と思います。

でも人間なら簡単に出せるシャウトもリバースシンバルもドスの効いたキックも
女声で表現できてないです。
ブレスだって機械的です。

足りない足りない。やりたいことはまだまだこんなもんじゃない。

月並みですが、機械を使って作ってみて、
機械でできることとできないことがより明確になって、
なおさら人間でやりたくなった、というオチにしようと思います。

誰か女声でくちミューやってみません?(^^;
プロデュースしまっせ。
ただ人を使うのは機械を使うよりずっとヘタクソですけど…

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ミクの流行によって、DTMを久々にやったって声を雑誌等で目にしたんですが
俺もその類に漏れてないんだろなぁと思います。
結果的にくちミューをひっぱり出したわけなので。

1月に万代のYAMAHAでミクのソフト買ったときの高揚感と言ったら!
ほんとは叫びだしたいくらいだったのです。

エレキベース買いたいとか言ってたのはどこへやら?(^^;

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重ねて言いますけど、
もう一人きりじゃ新たな物を作りだせないような気がしてます。

やっぱりなんか作るならアイディアジェネレータのそばにいたいです。
(ムーさん、とびうお、Prof.K、等々…)
その部分は変わってないのかな。

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つーことで、1つのことしか同時にがんばれない俺は
ミクの追い込みで1ヶ月ギター触ってなかったので、
弦を交換してまた触りだすとしましょー。

4ヶ月間、機械の楽器を弾くことを楽しんできたので、
次はまた、機械じゃない楽器を弾いてみることに致しましょう。



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